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side7 ある日のルズベリーの光景

リアル事情で更新ができませんでした。またのんびり更新していければと思いますので、よろしくお願いします。

 

「ここがリントルテのお菓子を売っている店?」

「そうだよ!ここのお菓子はどれも美味しいんだから!」


 最近、ここルズベリーではリントルテのお菓子がすごく流行ってる。なんでも、ある冒険者がルズベリーのお菓子大会で優勝したときのお菓子がリントルテのお店で食べられるみたい。優勝したときのお菓子以外に、その冒険者が考案したお菓子がいくつか買えるらしいんだけど、そのどれもが今までにないお菓子でとってもおいしいんだそうだ。


「でも高いんでしょ?」

「そうだけど!それでもあの美味しさは値段以上の価値があるんだよ!」


 甘いもの好きの友人はリントルテのお菓子にハマっているらしく、リントルテのお菓子の良さを私の横で熱弁してる。

 私は普段お菓子なんてほとんど食べないんだけど、友人たっての希望でリントルテのお菓子を買うためにこうして並んでいる。

 オープンして1週間は経つはずなのに、開店前の店はすでに大行列だ。みんなリントルテのお菓子を買いに来てるのかな。あんまり興味なかったけど、ここまで人気だとちょっと期待しちゃうね。


 まだ開店までは時間があるし、営業時間前で閉まっているお店をじっと眺める。

 赤と白を基調とした食べ物のお店に見えないくらいオシャレなお店だ。ルズベリーにある食べ物屋の中で1番凝った作りになっていると言っても過言ではない。入り口のドアの横にはかっこいい男の人と可愛い女の人の絵が書いてある看板が見える。2人とも、このお店のカラーである赤と白をメインとした服を着てるね。

 私がじっと看板を見ていると、それに気が付いたカルラが興奮したように私には話しかける。


「あの絵ね、シュウさんとリンさんだよ!私はリントルテのオープン初日に並んだからあの2人を実際に見たんだけど、もうほんとにあの絵そのままで感動したよ!」

「へぇ、そうなんだ」

「女の子の方がリントルテのお菓子を作った冒険者なの!横のイケメンとパーティを組んでるらしくて、2人ともすっごい強いみたいだよ!」


 カルラはすっかりリンさんとシュウさんとやらのファンになっているみたい。確かに、シュウさんはこの辺ではあまり見ないくらいにイケメンだし、なんとなく気持ちはわかるかも。リンさんはこんなに流行ってるお菓子を作ったんだから、すごい人だし。


「あの挨拶がまた良かったんだよ!シュウさん、童話の中の理想の王子様そのままだったんだから!」


 カルラが開店前にしたというリンさんとシュウさんの挨拶の様子を教えてくれた。うん、なんていうかシュウさんは相当リンさんを大切にしているっていうのが伝わってきたよ。

 カルラはどっちも好きみたいだけど、シュウさんに惚れてリンさんを妬む女性も少なくないとか。イケメン過ぎるっていうのも大変なんだなぁ。


「あっ、ほら!オープンするみたいだよ!」


 時間になり、お店のドアが開いた。並んでいる順番に案内されていき、だんだん私たちの番が近づいてくる。

 すでに先頭付近の人は買い物が終わったのか、笑顔で店から出てくる様子を見て期待が高まる。


「少し楽しみになってきたかも」

「でしょ!お菓子をそんなに食べない人でも絶対気に入るって!」


 遂に私たちの順番になり、店の中に案内される。店内も内装がとても凝っていて、お菓子屋とは思えないくらい素敵だ。


「いらっしゃいませ!本日はリントルテにご来店ありがとうございます!」


 店員さんに声をかけられて少し驚いた。露店なんかは無愛想な人が多いのに、ここの店員さんはとても感じがいいし、着てる服も白のブラウスに赤のエプロンで可愛い。こんな素敵なお店で、可愛い服を着て働けるなんてうらやましいな。


「この中から選ぶんだよ!どれにしようか悩んじゃうね!」

「なにこれ、すっごい綺麗…」


 私の目の前にあるのは透明な板でできたお菓子の入っている箱。ガラスっていうのでできてるショーケース?だって。氷の魔石を使って中を冷やしてあるみたい。ガラスも氷の魔石も高いものだし、お菓子の値段が少し高めなのも仕方ないのかもと思う。


 ショーケースの中に並ぶお菓子は私が知っているお菓子とは見た目から全然違うものだった。私はお菓子大会で優勝したときのお菓子〈シュークリーム〉を選び、友人は〈シュークリーム〉と〈スイートポテト〉を選んだ。

 白い紙に赤い花とリボンが描かれた可愛い袋に入れてもらい、お菓子のお金を払って外に出る。お店とかお菓子そのものだけでなく、お菓子を入れる袋にも凝っているなんてとても細かい。


「さ!早く食べよ!リントルテのお菓子は、冷たい所に置いておかないとダメになっちゃうとこだけが欠点なんだよねぇ」


 友人に連れられて広場のベンチに腰を下ろし、先程もらった袋を開ける。

 これがシュークリームというお菓子か、見たことないお菓子だけど…思い切って口に入れるとサクリとした食感の後、甘いクリームが口の中で溶ける。なにこれ、今まで食べたことない味けどすっごくおいしい。思わず夢中でシュークリームを食べ切る。こんなにおいしいもの、初めて食べたよ。

 隣りに座る友人もシュークリームをペロリと食べ終え、スイートポテトを食べようとしていた。あれも見た事ないお菓子だと思い、じっと見ていたら、友人が苦笑いしながら少しくれた。少し申し訳ないと思ったけど、誘ったのは私だからと差し出したくれたので遠慮なく受け取る。


「シュークリーム、すごくおいしいよね。このスイートポテトは初めて食べるけど、お芋を使ったお菓子らしいよ」

「お芋ってこんなにおいしいんだ!」


 スイートポテトを口に入れると、芋とミルクとはちみつの調和の取れた優しい味が広がる。シュークリームもおいしいけど、このスイートポテトもすごくおいしい!


「うん、やっぱりリントルテのお菓子はおいしいね。今度、お金を貯めて2人であのハニーレモンのチーズケーキを買ってみようよ」

「あれも食べてみたい、そうしよう!」


 友人の素敵な提案に私は笑顔になる。リントルテのお菓子が人気な理由がわかったよ。初めは高いと思ってたけど、実際に食べたみたらあの値段じゃむしろ安いくらいだと思う。それでも私たち一般市民にとっては高いものに違いないから、自分へのご褒美にちょっと奮発して食べるお菓子って感じだね。私も友人同様、すっかりリントルテのファンになってしまった。


 いつか、リントルテを作ったリンさんとシュウさんに会ってみたいな。そんなことを考えながら、次にリントルテのお菓子を食べられる日を楽しみに待とう。





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