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第24話 魔法都市アルヴェラ

 

 青の洞窟はほんとに短い洞窟らしく、ほんの1時間程度で抜けられた。正直、またなんか問題が起こるのではないがとも思っていたが、あっさり抜けられてちょっと拍子抜けだ。平和がいちばんだから、なんにもない方がいいんだけどね。


 洞窟を抜けてすぐに、アルヴェラへの門が見えた。門番さんにギルドカードを見せるとすんなり通れた。持っててよかったギルドカード。

 グランリールはレンガを基調とした中世ヨーロッパっぽいかわいい街並みだったけど、アルヴェラは真ん中に大きな古っぽいお城みたいな建物があり、それを囲むように塔がそびえ立ってる。古城みたいな建物は魔法の研究施設らしく、それに付随してる塔もその一部なんだとか。そのお城の中庭の奥に精霊樹があるらしいよ。

 アルヴェラは魔法都市だけあって薬草や魔術書など魔法関連のお店が多く、常に魔法の最先端をいく街で世界中の魔術師さんが訪れる街なんだってさ。


「どうしよう?すぐに精霊樹へ向かう?」

「そうね…フェリアン魔法研究所に行かないといけないわね」


 あの古城みたいな建物はフェリアン魔法研究所っていうんだね。なんでも、昔この世界の危機を救うのに力を貸してくれたフェリアンって名の魔術師さんがいて、その功績を称えて研究所が作られたらしい。フェリアンさんはとにかく魔法が大好きで、寝食も忘れて魔法の研究に没頭してたんだとか。

 初めはこんな大きな施設ではなく、ちょっとお金がかかった趣味程度の規模だったらしいんだけど、時代が進むにつれ魔法を研究する人が増え、今ではこんなに大きな建造物になったらしい。その研究所を囲むように人々が増えていき、立派な街にまで発展したのがこの魔法都市アルヴェラというわけだ。


「精霊樹は確か研究所内にあるんでしたっけ。そこに行くためにはどうしたらいいんですか?」

「一般的な見学とかならすぐにでも行けるんだけど、精霊樹は立ち入り禁止区域の奥にあるから何とか許可を貰わないとダメね」

「許可かぁ…」


 精霊樹はとても大切にされているので、一般的な開放はしてないみたい。研究所でも一部の人しか立ち入るのことが出来ないように、厳重な警戒をしているんだって。前は一般開放もしてたんだけど、心無い人達が精霊樹を折って売ったりしたため、こんな形になってしまったのだとか。けしからん。


「そもそも誰に許可をもらえばいいの?」

「確実なのは研究所の所長ね。研究所のあらゆる権限を持ってる人だから」

「なるほど…その所長、会えるんですか?」

「難しいわね、まず第一にアポが取れるかもわからないし」


 うーん。ということは、所長さん本人にアポを取るために、間に誰かを介さないといけないってことか。

 あっ、この街の冒険者ギルドのマスターなら面識あるのでは?冒険者ギルドは大きな組織だし、何かあった時の為に、ある程度協力しているのではないかな。


「ねぇねぇ、冒険者ギルドのマスターはどうかな?事情を話して所長さんに繋いでもらうの!」

「それはいい考えですね。いちばん可能性がありそうです」

「そうね、じゃあアルヴェラの冒険者ギルドに行きましょうか。こっちよ」


 ベルさんはアルヴェラの冒険者ギルドを知っているみたいなので案内してもらう。うう、キョロキョロしてたらまたシュウに手を取られてしまった。だから迷子になんてならないって言ってるのに。


「ここよ。私はギルマスとも面識があるから会えるはず」


 アルヴェラの冒険者ギルドはグランリールの冒険者ギルドより小さめになっている。1階には受付、買取カウンターと依頼の掲示板があるだけで、グランリールみたいに酒場はないみたいだ。グランリールはどちらかと言うと剣や槍を持った物理系の冒険者さんが多かったけど、アルヴェラはやっぱり魔術師の冒険者さんが多いね。ていうか、ここ物理系の冒険者さんは私以外いないんじゃない?

 私たちは受付カウンターに向かい、ここのギルマスさんを呼んでもらうことにした。


「ちょっとごめんなさいね。ギルドマスターのザールを呼んでもらえるかしら?」

「あっ、ベルガモットさん!お久しぶりです。今ギルマスに確認を取ってきますので、少しお待ちくださいね」


 顔を見ただけでわかるなんて、ベルさんはここでも名が知れてるみたい。高ランク冒険者さんはすごいなぁ。

 私とシュウだけじゃこうは行かなかったし、やっぱりベルさんに着いてきてもらえてよかったよ。


「ベルガモットさんとお仲間さん、2階のギルマスの部屋へどうぞ」

 

 受付のお兄さんが2階のギルマスの部屋へと案内してくれる。この部屋はグランリールと同じ作りだね。まぁ、家具は違えどどこの冒険者ギルドでもこういう作りなんだろうな。


「ベルガモットか、久しいな。息災だったか」

「ええ。ザールこそ、元気してた?」


 ベルさんはギルマスと面識があるからって言ってたけど、会話から察するに知り合いとうより友達な感じ?これなら何とかなるかもしれない。


「俺は書類仕事ばっかで肩が凝って仕方ないよ。んで、何か用か?コイツらは誰だ?」

「この子たちは今一緒に旅をしている仲間なの。リンとシュウよ。それでね、フェリアン魔法研究所の所長にアポを取って欲しいのよ」

「フェリアン研究所のとこの所長ってーと、ラルフの奴か。やぶさかじゃあねぇが、理由を聞いてもいいか?」

「うふふ、驚かないでね。この子たち、面白い物を持っているのよ」


 ベルさんが私たちを紹介してくれたので、ギルマスのザールさんにぺこりとお辞儀をする。

 それにしても、面白いものなんて持ってたかな?あ、妖精石?


「面白い物、ねぇ。よし、まずは見せてみろ」

「リン、シュウ、武器を出してくれない?」


 武器?っていうと、銃?ベルさんの言うおもしろいものって妖精石じゃなくて銃火器のことだったの?

 ひとまず言われた通りに倉庫から武器を出す。私はAK-47、シュウはM24をそれぞれギルマスさんの前に出した。


「何だこれ?武器なのか?初めて見るな」

「面白いでしょう?これを研究所の所長に調べて欲しいのよ」

「確かに、これならラルフの奴も興味を持つかもしれない。良いだろう、今すぐ手紙を転送するから、返事が来る間す、俺にこの武器を使っているところを見せてくれ」

「リン、シュウ、お願いできる?」


 ここは空気を読んではいって言うしかないよね、ということで、私とシュウは了承する。

 本来の目的は妖精王国だったはず、と思ったけど、いきなり都市伝説級の妖精王国に行きたいなんて言う怪しいやつには会おうとは思わないよね。本音と建前ってやつか。


 ザールさんに案内され、地下にある訓練所に移動する。ここの地下はグランリールの闘技場みたいに戦う訓練をするとこじゃなく、的に向かって魔法の訓練をする場所らしい。


「よし。じゃあ、あの的に向かって攻撃してみてくれ」

「わかりました。一瞬なので、よく見ててくださいね」


 AK-47を構えて、レッドドットサイトを覗く。的に照準を合わせ、軽く引き金を引くいた。ダダダっと大きめの音がしたと思ったら、木で出来た的は粉々になっていた。

 この距離で静止してる的なら私でも外さないよ。いや、嘘です当たって良かったって心から安堵してるよ。ふぅ、と一息ついたあとザールさんを見ると、大口を開けて固まっていた。


「それは一体なんだ!?」

「ね、驚いたでしょう?」

「そりゃあ驚くだろう!こんな強い武器なんて初めて見るからな!」


 なんかデジャヴ。グランリールのギルマス、エドガーさん再来かな?ってくらいにベルさんに詰め寄ってくるザールさん。こっちじゃなくてよかった。っていうか、やっぱり初めて銃を見るとこんな反応になるんだね。


「これを魔法研究所の所長に調べて欲しいのよ。確か〈鑑定〉を使えるって話だったわよね?」

「ああ、そうだな。それは面白いことになりそうだ。…と、もう返事が来たみたいだな」


 返事早くない?と思ったけど、手紙を魔法で転送するとすぐに相手の手元に行くらしい。日本で言うメールみたいなものらしい。

 所長さんは手紙をもらってその場で読んでその場で変事をしたってことかな。ザールさんが所長さんからの手紙を読んでいるのを静かに見守る。


「ぜひとも会いたいって言ってるぜ」




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