魔神信仰団体?
「 吾輩は72柱が一柱 魔神・総裁 オセ である。召喚に応じ現界してやった。吾輩を召喚せし理由を述べることを許す」
本当に偉そうだなこいつ。
名乗りを聞いたローブのやつらは魔神が召喚出来ていたことに安堵したのか、全員膝をつき神を崇めるかのように敬意のこもった視線を俺に向ける。
「おおおお!! オセ様!!私どもは『魔神信仰団体・魔の咆哮』と名乗っております。 私どもの聖地が襲撃を受け壊滅。親交のある他の団体にも助力を求めたのですが・・・・・・連絡がつかず。お力を貸していただき聖地奪還を果たしたいのです」
なるほど。よくわからんが聖地を取り返したいのか。
オセに会話を続けさせる。
「自分でやれ」
「え?」
「え?」
「え?」
「え?」
え? こいつ今『自分でやれ』って言った?
その場にいた全員が素っ頓狂なをあげる。
魔神信仰ってことはオセのことも信仰しているわけでしょ?
あまりにもかわいそすぎないか・・・・
そんな一言で切って捨てなくとも・・・
周りの空気が止まっているのがわかる。
誰も何も言い出せない。
オセの次の言葉を待っているようだ。
なんか大変そうな事だし、俺は関わりたくない。
はよ帰りたい。
そんな空気を打破したのは
「ワン!!」
ココ!?
俺に集中していた視線が一斉に声の主を見る
「え!?」
「え!?」
「え!?」
「え!?」
え!? トイプードルのココの背中には大きな鷲のような翼が生えており、丁度俺の目の高さを飛んでいる。
片翼1メートル近くあるのではないだろうか。
翼にココがくっついているように見える。
「ココちゃん!? どうしたのその翼!?」
「ココ!? おぬしの背中なんゾ!? 」
よつばもクローディアもそれ以上の声がでないようだ。
「プ・・・・プルソン!? 」
俺の体でセトがプルソンと言う。
なんだそれ?
《あれは・・・・・・おそらく 魔神・王のプルソンだ・・・・・・》
お前より強いのか?
《あれは魔神72柱の最高位、王の位を持つ9柱が1柱。吾輩と同列ではない》
あれはお前と同じ状況か?
ココが支配しているのか、もしくはプルソンが支配しているのかどっちだ?
《あの犬もお前と同じ魔力無しか? もしそうならプルソンといえども支配はできない》
そうか、会話は俺が代わるぞ。
「ココ! お前ココだよな? ココなら一回ワン! だ」
「ワン!!」
お? 1回ワンだな。ココにしては賢いな。
もしかして魔神プルソンか?
あやしい。
「ほんとにココか? もっかいワンだ! 」
「ワン!」
「そうかそうか、じゃあココじゃないならワンだ! 」
「ワン!!」
だめだ、やっぱり話の通じない犬畜生だな。
ということはココだろう。
まぁ敵意はなさそうだし、おそらくココだろうし、もうココでいいや。
ココの出現で話が逸れてしまったが、まずはこの状況をどうにかしよう。
「全員聞け、どうやらこの犬、ココには魔神・王の一柱、プルソンってやつが召喚されたらしい。 俺の中のオセがそう言っている。そしてプルソンはどうやらココに支配されているようだ。ココは俺が好き、つまり俺は魔王ってことになる」
「え!?」
「え!?」
「え!?」
もうこのくだりはいい。
「あの・・・・・・本当に先輩は先輩なんですか? それとも魔神なんですか?」
どうやら疑っているようだ。
目の前で魔神召喚を見せられたんだ、そりゃそうだよな。
仕方ない・・・・・・
「俺は童貞の花岡陽介でお前の先輩だ、おっぱいを揉む約束忘れるなよ? 魔神は俺が支配しているようだ」
よつばは「童貞」の単語でやっと俺だと確信できたのか、腰が抜けたかのようにその場にへたり込んだ。
治療魔術の使い過ぎで魔力が枯渇しているのか顔に疲労感が見える。
さっさと教会に帰って休ませてやりたい。
「魔神様を支配!? どうやって!? 」
ローブのやつらは驚愕しているもののその理由を知りたいようだ。
俺を縛り付けてエロドージンみたいなことをしようとしたやつらに教えてやらん。
「それは教える必要はないな。それよりもオセはお前たちに協力する気はないみたいだよ? どうするの?」
ローブのやつらはこんな状況は想定していなかったようで動揺を隠せていない。
首飾りをつけたローブのやつを中心に話し合っているようだが意見はまとまらないようだ。
よつばとクローディアはココの翼を撫でまわしている。
クローディアは撫でまわすだけじゃ飽き足らず匂いまで嗅ぎ始めた。
「犬臭いのじゃ!!」
犬臭いらしい。まぁココ犬だしな。
翼も犬由来のにおいがするのだろう。
それにしてもこいつには緊張感が足りない。
俺とココ死にかけたのよ?
少しすると首飾りを付けたローブのやつが俺の前に来た。
「失礼、私の名前は『ペレ・ヘクセライ』と言い、魔の咆哮の長を務めている者です。どうにかあなたと魔神オセ様の力を貸してはくれないだろうか・・・・・・」
すごく嫌だ! こいつらの話は聞かなかった事にしておうちに帰りたい。
なんで見ず知らずのやつらの手助けなんてしないといかんのだ!
そもそも俺のこと生贄にしたんだぞお前!?
オセ!断ってやれ!!
俺はオセに会話の許可を出す
「ふん。本来ならばそれぐらい造作もないことだ。しかし今の吾輩はこの身体を支配できておらぬ。お前たちが選んだ吾輩の現界用の生贄が悪かったな。猛省しろ」
「オセ様! そこをなんとかなりませんか!? このままでは魔神信仰は廃れてしまいます! 私たち信徒を何卒お救いください!! 」
魔神信仰が廃れるのか。オセ?いいのか?
《かまわん。大した問題ではない》
大した問題そうだが・・・・・・いいならいい。
はよ帰りたい!
「オセ様! 魔神信仰が廃れたとなると聖神や火神、水神辺りが勢いづき勢力を伸ばすでしょう!」
「火神共か。それは少しばかり憤りも感じるが、吾輩の支配者はもう帰るとうるさい」
「そ、そこをなんとか!! 陽介様とおっしゃいましたな!? そこをなんとか!!」
よし、オセ代わるぞ
「ペレさん、陽介に代わりました。今日はもう帰ります!! そういえばアンドラはどうしたんですか?」
「アンドラ?」
「赤毛のヘソが出たシーフっぽい女です」
ペレは少し考えるそぶりをするとすぐに思い出したのか
「あの冒険者ですね? 私たちに陽介様達を引き渡して直ぐにいなくなりました」
俺達を引き渡した?! アンドラが!? あいつが俺達を売った!?
心臓の鼓動が一気に早くなるのを感じる。
アンドラが俺達を売った理由はなんだ!?
金か? 金にはがめつい感じはしたが、恨まれるよな事はした覚えがない。
舐めまわすようにお乳とおヘソを凝視してただけだ!
「どういう事!?」
「い、生贄が必要でしたのでなるべく家族のいない、身寄りのない人間を探しておりました。その際にある筋を通して依頼をしておりました」
その内容であれば俺達はまさにうってつけだろう。
だからといって人を生贄に差し出して心は痛まないのだろうか?
そんな冷たい女には見えなかったが、結局は騙されたってことか。
俺に女を見る目がない事を痛感する。
女なんてほんとクソだな。ほんと信用できない。
ちょっとおっぱいが魅力的すぎて生足を舐めたくなりすぎていいにおいがするだけだ。
結婚したい。
「もう今日は疲れた。帰る」
「お待ちを! どこに帰られるのですか!? せめてそれだけでも!」
俺達はエアロの街に帰る事を伝える。
そもそもここどこだ? 街から遠いのか?
「エアロの街までですか、それでしたらこちらで足を用意します!」
お読みいただきありがとうございます! ブックマーク 評価、よろしければよろしくお願い致します! いったんここで一区切りとなります。 次話から2章と致します!





