犬耳男
「銃声だ!」
倉庫の上の階で銃声が響き、警官と刑事達は大急ぎで階段を駆け上がった。
「きゃああぁぁぁ!」
「うわ、があああ!」
倉庫の事務所と思われるドアから男の叫び声と誘拐された女の子の声が聞こえ、銃を構えた刑事達は突入に備えた。
(お前は……っ!)
中からもう1人男の声が聞こえ、刑事達は目配せした。
「警部じゃないな」
先に犯人を追い掛けてバーグ警部が倉庫に入ったが、声の主は警部では無かった。
「うあああっああ!」
「行くぞ!」
刑事達がドアを蹴破り、拳銃を構えながら突入し。警官達は更にライトを照らしながら後に続いた。
「あああああぁぁぁ!」
膝立ちになり叫び声を上げる男と、剣を持ち仁王立ちする男が見え、刑事達は叫んだ。
「警察だ!武器を捨てろ!」
「ニューヨーク市警だ!武器を捨てて手を上げろ!」
男は驚いた顔をしつつも刑事達の命令を聞き、剣を床に置くと手を上げた。
「警部!」
刑事の1人が倒れているバーグ警部に気付き走り寄る。
バーグ警部は撃たれたのか、胸の辺りから血を流していた。
「嘘だろ……」
拳銃を向ける刑事の顔を見て、剣を持っていた男は困惑した表情を浮かべた。
「床に伏せろ!」
革製の鎧を身に纏ったおかしな男だ。他に何か持っているとも限らないので刑事は男に命令した。
「カニンガム?」
「!?」
男が警官の1人を見て言葉を漏らした。
「警部!バーグ……警部!」
男は、ゆっくりと倒れていたバーグ警部の方を見て更に言葉を漏らした。
「……俺!?」
「……なんだ?……コイツは!?」
男には犬の様な耳と尻尾が有り、刑事は困惑した。