3.質問攻め
「どうしたんだよ、レン。先生に叱られる程、窓の外なんて見たりして。お前らしくもない。」
授業が終わるとハヤトが俺の席に来た。どうやら俺が心配なようだ。
「俺にもよくわからない。」
「・・・はぁ!?わからないってなんだよ、それ!」
「本当によくわからないんだ。何か、地平線の向こう側に米粒程度の光が見えたと思ったら、その方角から目が離せなくなって・・・。」
「俺は、黒板を見ていたから分からなかったが、本当なのか?」
ユウキも来た。
「あぁ・・・。本当に突然のことだったんだ。」
「そんな光、見えなかったけどなー。」
「ハヤトは目がいいからって、さすがに窓の反対側の席から窓の外の地平線の向こうの米粒みたいな光は見えないだろ。」
「でも私、窓側の席だったけど、そんなの見えなかったよ??」
超天然女が現れた。彼女は檜山リノ。ハーレム系の青春漫画やラブコメ漫画、ラノベに絶対一人はいる天然。別に成績が悪いわけではないのに、会話の流れが読めなかったり、突然、蝶を見つけてどこかへ行ってしまったり・・・。絵に描いたような天然女である。そして、顔も整っているので同学年の女子の中でのモテ度はトップレベル。
また、目が超絶いい。とりあえず、十数メートル離れた場所から人混みの中にいる友達一人を一瞬で見つけられるレベルだ。そして天然と相まって人当たりが良く、すぐに気づいて名前を知っている人に対しては男女関わらず、すぐに満面の笑みで挨拶をする。これが男子にも女子にも愛され、特に男子からモテまくるその理由である。・・・。
「リノでも見えなかったような光、お前が見つけられんのかよー?」
「失礼な!俺だって視力には自信あるわ!!それに見えたっていうより引き込まれたというか」
「光に引力があった、ということか?」
「まぁ、そんな感じだな」
「でも私とか、他の子達が同じ方角を見てることはなかったから、レン君しかその引力?は働かなかったんだねー」
「でもなんで水城ピンポイントだったんだろうな」
「だよなー。」
そう。一番の疑問はそこだ。もしも本当に光に引力のような力があったとして、それは何故俺だけを対象にしたのか。あの光の中で何が起こっていたのか。本当に気になって仕方がない。
キーンコーンカーンコーン
「お、授業始まんじゃん。」
「えっと、ユウキ君、次の授業って何だっけ??」
「次は、数Ⅰかな?」
「じゃあ、レン君、次の休み時間の時も説明してもらいますからねっ(キリッ)」
「お、おう・・・」
リノのメガネをくいっとする仕草(リノはメガネを掛けていないのでエアーだが)を最後に、その場はお開きとなったが、その後、休み時間の度に俺はさっきの出来事を聞かれ続けた。しかし、先生に注意されたこと以外、特別な出来事ではなかったので、聞かれた所で、曖昧な返事を続けることしか俺にはできなかった。