2.地平の光
ハヤトとユウキと他愛のない話をしながら登校し、今日も退屈な授業が始まる。とはいえ、仮にもこの高校は進学校。授業のスピードはすごい。が、いくつかの教科は大学受験までにカリキュラムが終わらないらしいからたまったもんじゃない。その点に関しては、成績お察しな俺でも改善していただきたいものだ。
ユウキはこの授業スピードに最初から対応出来ていたが、他の人達(俺も含め(泣))は順応できていなかった。しかし入学から半年以上経ち、とりあえず全員(俺は除く(泣))授業スピードに順応できている。前回のテストでは、ユウキのように授業スピードに順応できている人以外は、ほぼ赤点(俺はなんとか回避)だった。しかし、次回のテストからは大幅に平均点も上がり、尚且つ、赤点も大幅に減る事が予想される。平均点が上がる以上、俺も他人事ではないので、受験生というわけではないが、本気で勉強に取り組まないとヤバイ気がする。
ちなみにハヤトはどうかと言うと、現状は、俺と横一線だが、部活をあれだけやって、部活をしていない俺と横一線というのはすごい事だ。彼は文武問わず、努力ができる人なのだ。本当に尊敬する。
とりあえずハヤトに勉強では負ける事がないようにしないと・・・。と考えていると、何か、窓の外で光った気がした。それは、窓の外と言っても近くではなく、地平線の彼方で、米粒一粒程度の光が見えた程度だ。しかしそれは頭から離れず、俺はずっと窓の外を見ていた・・・
「・・・き、水城!」
「・・・え?、あ!せ、先生・・・」
「何、ぼうっとっしてるんだ!授業に集中しろ!!」
「は、はい・・・。すみません・・・。」
知らない内に、授業はかなり進んでいたようだ。先生に言われるまで気づかないくらい窓の外の光の方角に、何か吸い寄せられるような感覚に陥り続けていたようだ。また、自分以外の人はちゃんと授業を受けていたようだし、窓の外に目線を吸い寄せられてもいない。・・・というか、俺というKYを、驚いたように見ていた。とりあえず周りに会釈で、授業を止めてしまった事に対し、謝罪の気持ちを示した後、授業に集中しようとした。しかし、その光は頭から離れず、集中できないまま、時間だけが過ぎていった。