秋天ベイビー
『秋冬温まる話企画』最後の作品でございます。
今回はあることにもチャレンジしてみました(笑)
だんだん気温が下がってきた。動くのが億劫な時期になっている。太陽の熱を吸収したところに座っても風が来るから寒いのは変わらない。ここは譲らないと決めて寝転んだところでザリッと足音が聞こえた。
『お』
あぁお前か
『なんか久々だなお前』
あぁ2週間ぶりだな、どうでもいいけど
『もしかしてさ、この寒いのにずっと歩き回ってたの?』
それ以外に何があるんだよバカか
『お前相変わらず何も言わねぇな』
お前が喋り過ぎなんだと思う
『あ、そうだコレ! 無添加だから、身体にいいよ』
お前なんか適当に言ってるだろ俺でもわかるぞ。……うん、まぁ味は悪くない。
暑い時期が終わるとすぐに日が落ちる。もうこの時期になったら夕空を見る間もなく真っ暗になる。コイツからもらったスナックを食べて腹は膨れたからもうここを出て温かいところに行こうかと考えていたところで背中に触れられた。なんだなんだと戸惑っているうちに今度は身体が勝手に動いて、気がつけばコイツの腕の中だった。
『おー! やっぱふわふわだぁ! すげー』
そりゃ寒くなったからね、と心の中で毒づいた。
……なんか温かいなコイツ。
『お前温かいな』
それはいいけど頬ずりすんな気持ちが悪い
『……お前がいなくて寂しかったよ』
身体の締め付けが強くなった。すん、と鼻をすするような音も聞こえる。顔は分からない。ゆらゆらと身体が揺れている。この心地よさは、どこで感じてたっけ……?
『ホントはね、こういうことあんまり言いたくないんだけど……』
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さっさと腕の中から抜け出して地面に降りた。「あっ」と言うアイツの声が聞こえたけど知らない。今晩もあそこの白い箱で眠ろう。あの寝床は多分誰にもバレてないから。
『また来るから……バイバイ』
来るのかよ鬱陶しいな。……仕方ない。久々にいい思いしたから、また相手してやってもいい。
「ニャー」
足音を立てずに立ち去る、べらぼうに細長いニンゲンを見てた。
……ん? アイツが言ったの、あれどういう意味だろう?
『ホントはね、こういうことあんまり言いたくないんだけど
ダイスキ』
ありがとうございました
『秋冬温まる話企画』とても楽しくやらせていただきました。
銘尾友朗先生に心から感謝を。
今後はpixivに旅立ったり、なろうに戻ってきたりという形になります。
現在はなろうでオリジナル作品を執筆中ですので、完成次第あげていきます。
この素晴らしい企画をきっかけに、私の作品がたくさんのユーザー様の目に触れることを祈っています。