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始まりの草原 ラウス平原 その2

「何で……襲ってこないんだ………?」


突然襲おうとしなくなったドラゴンに、驚きと戸惑いを隠せないヒビキ。

俺が何か発動させたのかと、ステータス画面を見ると、『スキル』の欄が追加されていて、そこにはただ一つ、『中立』と載っていた。



――――――――――――――――――



――これ、どうすりゃいいんだろう……と、心の中で呟く。

前より何体かドラゴンが増え、一番前にドラゴンの中でも威厳のある、ボスらしきドラゴンが現れた。

「どうした、そんなに慌てて」

ヒビキの耳に突然ドラゴンの声が聞こえる。

「へ?」

すごく情けない声を出したヒビキ。そしてこの声が幻聴ではないのかと思ったが、それでもボスのようなドラゴンが話しかけてきている事には変わりない。

ええい、どうにでもなれ! 勇気を出して話し出す。


「えっとう、そんなに、あうぁててないんと思うんですが……」


あかん、噛んだし声が裏返った。でもめげずに話し合いを続ける。無理でも頑張ってここを乗り切らなくちゃ、多分俺はここで死ぬ!と思い、勇気を振り絞る。


「何故、襲うのをやめたんです?」


何で急に口調が丁寧になるんだ俺………いや、駄目だ。今はそんな事考えてる場合じゃない、とにかく生き残る事を考えよう。


「ふむ………そこの少年、我等の声が分かるのか?」


どういうことだ?何か俺が特別な力を持っているとでも言いたいのか?


「分かりますが?」


やはりドラゴン達の反応は普通ではない。

俺とドラゴン達との間に凄く冷たい風が流れる。ムードは最悪だ。と言うよりも、早くここから逃げ出したい、そんな気分になっていた。

ドラゴンが何やら話し合いが終わったらしい。


「少年、我等に着いてきてくれるな?」


やっぱり着いていかなくちゃ駄目だろうなぁと思う。断ったら何とでもできる状況でこんな質問をしてくるとは……なんて卑劣なドラゴンなんだ………。


「はい、着いていきます!」


嫌がらせの意味も込めて精一杯の営業スマイルで言葉に応じた。今度はドラゴンがニカッっと笑って言ってきた。


「そうか、なら背中に乗ってくれるな少年?」


そのまるでこっちの態度に怒ったかの顔。よくある『こちらはなにもおこっていませんよー』的な笑顔がもの凄く怖い。全身から冷や汗が出てくるのを感じる。


「はい!喜んで!」


今度は引きつった笑顔でそう言った。



――――――――――――――――――



大空を飛んでいるドラゴンの背中の上で、ヒビキは呟く。


「今までは恐怖でよく見てなかったけど、この草原中々綺麗だなぁ」


ヒビキの言う様に、この草原は中々の場所だ。だが、綺麗よりはロマンがある、と言った方が分かりやすいだろう。横だけではなく、縦にも広い。

特にあのポツリと突き出している棒のような場所から飛び降りれたら、何て楽しいんだろう!とヒビキはお得意の妄想に浸る。


「突然すまないが、少年はどうして我等の言葉が分かるのだ?」


急にドラゴンが喋りかける。これに驚いたのかヒビキは落ちそうになるが何とか体制を立て直す。


「いや……よく分かりません…あ、でも一つ心当たりはあります」


またよく分からないスキルの部類か?と思いステータスのスキル画面を見るヒビキ。

冒頭と同じく、そこには『中立』の下に『翻訳』と載っていた。



頭を抱えるドラゴン達。


「そんなスキル、見た事も聞いた事もないぞ」


誰に聞いても、こう言った言葉しか返ってこない。ドラゴンにも分からないのか……思考がブルーになる。肌に冷たい風がダイレクトにくる……いや、このままじゃ駄目だ! そう思ったヒビキは、とにかく今分かる情報を集めることにした。

まずボスらしきドラゴンに聞く。


「おお、忘れていた。着いてきてほしい理由はな・・・子守だ」

「子守………ですか?」


んん?何か思っていた仕事と違うぞ・・・? それでもドラゴンとの関係は良くなる、いい事じゃないか!

と、ここで思っていた疑問を口にする。


「でもどうしてそんな仕事を俺に・・・?」

「そうだ。我々の人手が不足していてな。我等の卵が人間達の間では高く値がつくらしくてな。」

「はあ・・・」


人が足らない、と言うのは案外リアルな状況で張りつめていた緊張が解ける。

ドラゴンが疲れたような感じで話す。


「そのついでに、と冒険者達に子供まで倒されてしまう」

「じゃあその冒険者を追い払えばいいんですね!」

「いや、それでは駄目だ。まずお前がドラゴンの巣までたどり着いた冒険者達を倒せるのか?」


そうだった。まず戦闘スキルすら持っていないんだった・・・・・・


「それじゃあどうしろと?」


ドラゴンが何か紙の様な物を差し出してきた。


「ここに魔法の巻物がある。これを開ければどんな奴らでも倒せる筈だ」

「一体どんな魔法なんですか・・・!!」


中身がとても気になる!ロマンが燃える!なんと謎の巻物の魔法は・・・・・・!


「それは秘密だ」


うわぁ・・・今更だが凄い不安になってきた・・・


「まあ、子守をする事に求める対価は他に何かあるか?少年」

「えっと……その冒険者達が居る場所への地図と、住む所が欲しいですね・・・」

「そうか、分かった。住む場所は我々の巣でいいか?」


この条件さえ確保出来れば、後はどうにかなるだろう。


「はい、大丈夫です」


ドラゴンが満足そうな顔をして言う。


「よし、これで交渉成立だ」


「ふぅ・・・、これで当面の目標は何とかなったかな・・・」

と、心の中でヒビキは呟いた。



しばらくして、ドラゴンがまた話しかけてきた。


「あれが、我等の巣だ!」


本当なら何かしら言いたい所だが、流石に疲れがきたので、速く休みたい・・・・・・と思うヒビキだった。



――――――――――――――――――



新たなパッシブスキルを手に入れました。

1.中立

2.翻訳←new!


翻訳・・・"言葉"や"文字"の意味が分かる。

のんびりしてない……おかしい、何故だろう?

次回こそはのんびりする筈です。

ゆっくりみていってね!

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