表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生からの世界革命  作者: アーシャ
第1章 異世界ルールを覚えます!
6/52

3節(2) 無鉄砲な赤子 (2)

第1章3節の改訂版(15/1/23)です。


分割した2番目です。

母親との会話が続きます。

side ウィルルアイト・スヴュート



(ところで、ウィル。どうして急に死にそうになったか心当たりある?)

(まったく有りません。ごめんなさい)

(謝らなくていいわよ。ん…昨日までは称号も無かったんだけど、いつ称号手に入れたかわかる?)

(日付までは分かりませんが、夜意識を取り戻してからとりました)

(ということは、昨日の夜ね。そのとき他に何かあった?スキルとか職業とかいつとったの?)

(とくに何もなかったと思います。スキルや職業は称号をとったのと同じぐらいにとりました)

(んー、とするとそれが原因かなぁ。いきなり魔力が膨れあがったと思って来てみたらステータスが異常に上昇してて驚いたわ。来てみたらウィルが苦しそうな表情していたから、病状を調べるために【鑑定】を使ってみたの。そうしたらHP4/154と瀕死になってて…本当は薬か魔法を使おうとも思ったんだけど、結局何もしないで看てただけだったわ)

(え?)

(当然の反応よね。無責任な言訳に聞こえるかもだけど、母さんは体の負担になることは避けておいたのよ。状態異常もなかったし、赤ちゃんの体には回復魔法や薬はできれば使わないほうがいいのよ。ほんとうよ)

(あ、いえ、母さんを責めているわけじゃないです。原因がわかったので、つい)

(原因がわかったの!?)

(はい。多分職業を獲得したからです。そういえば職業の封印をといたあとに急に眠気がしました)

(ウィル、それは本当?)

(はい)


 母さんは、俺の説明を聞いてかなり真剣な表情になって考えていた。


(ウィル)

(はい)

(職業獲得するときはね、普通回復役の人が付添うんだよ。急に増えたHPとMPで体調を崩す場合があるからね)

(そうだったんだ)

(おそらくね、睡眠中に自動的に封印解除すれば問題なかったんじゃないかな。急激なパラメータ変動があった後は睡眠をとって体に馴染ませる必要があるのよ。いっぱい訓練してパラメータ上げてもすぐには体がついていかないのよ)

(こんどから、気をつける)

(ええ、そうしてくれると母さん嬉しいな。あ、でもウィル、今回のことで色々スキル増えたんじゃない?)

(増えていませんよ?)

(え?うそ?)


 母さんは俺を真剣な表情で見つめていた。おそらく【鑑定】を使っているのだろう。


(本当、【言語理解】のレベルUPと【セリノイス語】を取得しただけだわ。どうして?)

(もしかしたら【能力値手動分配】のせいかも知れません)


 そう言うと母さんは真剣な表情でまた俺を見つめていた。もしかして【鑑定】にはスキルの内容がわかるのかもしれない。


(なるほど、ウィルの予想はおそらく正解だわ。【能力値手動分配】の効果でスキル熟練度がSPにパラメータ上昇値がAPに一時的に格納されているのね)

(はい。本来自動で割振られるSP,APを手動で任意に割振るスキルです)

(Lv.1で"スキル取得の際にはSPが10以下のスキルに限る、パラメータ上昇はAP10毎に1"か。これおもしろいわね)

(え?そんな詳しいことわかるの?スキルの説明みてもそんな詳しいこと書いてないんだけど)

(【鑑定】はレベルに応じて入手できる情報が増えるのよ)

(へぇ~、母さんすごい!)

(ウィルも【能力値手動分配】があるからすぐ覚えられそうね)

(覚えたい!)

(あはは、ウィルったら元気ね。すぐにでもレクチャーしてあげたいのだけど、その前にちょっと聞いて欲しいことがあるの)

(なんですか?)


 母さんは一度顔をあげ、どこか遠くの何かを見つめていた。

 いったい何を思って黄昏ているのだろう。今にも壊れそうな儚げな表情でしばらくいた。

 何か重要なこと、それもとても重い話をするのだろう。



 やっと言う決心がついたのか、母さんは話しはじめた。


(ウィル、この世界には自分の意思できたの?)

(はい)

(そう。その目的は?)

(世界を救うためと聞いています)

(そういことを聞いているんじゃないわ。あなたの目的、本心を聞いたいのよ)

(僕は…僕は人生をやり直したいんです。僕の前世は、後悔ばかりなんです。神様に呼ばれたとき、別に生きていくだけならば問題ない立場にいました。おそらく一生何不自由なく平穏に暮らせたはずです。でも、本当に心から許せる友達はいませんでした。僕が僕自身が招いた愚かな行いのせいです。僕はとても頭でっかちでした。ただ"一緒に遊ぼう"そのひとことでよかったはずなんです。気付いた時は手遅れでした。いえ、気付いても気付かないように自分に嘘をついていたんです。気がつけば立派な大人になっていました。責任ある立場でした。僕は完璧な僕を演じるために、嘘を重ね続けました。だけど、本当は嘘をつきたくなかったのです。前世の家族へのフォローを神様に約束できたので、僕はもう一度新しい人生を、自分に嘘をつかなくてすむ人生を送りたいんです。自分に嘘をつかないですむ、そういうやさしい世界を作りたいんです)


 一度話し出すと取り留めも無く言葉が出てきた。そんな俺の話を、母さんは笑い飛ばしもせず真剣に聞いてくれた。


(そっか。それがウィルがこの世界に来た理由なんだね)

(信じてくれるの?)

(母さんは【看破】を持っているからね。嘘を見抜くのは得意なのよ。それにウィルの眼はそんな曇った眼じゃない。綺麗な眼をしているから、たとえスキルがなくてもわかったわ)


 何だが無性に目頭が熱くなってきた。俺、この世界で母さんの子供として産まれてきてよかったよ。これだけでもこの世界に転生した甲斐があったと思えるぐらいに。


(ウィル)

(はい、母さん)

(今のこの世界はね、凄く歪んでるの。それこそ崩壊しそうなほどに)

(そう聞いています)

(この世界に住む人の殆どは、その事に気付いていないでしょうけどね)

(そうなんですか)

(ええ。現に召喚された勇者達が世界崩壊の危機と言っても、世界崩壊=魔王が現れたとしか考えていないのよ)

(え?魔王を倒すのが救うことにはならないの?)

(そもそも神様に魔王を倒してくれってたのまれたのかな?)

(いえ、"世界を救ってくれ"としか。その方法や原因は制限の関係で言えないとのことでした)

(やっぱりね。それでも、召喚された勇者達は魔王討伐こそ救済なのだと疑ってないわ。この世界の住民の大半もそうよ)

(どうして母さんは違うとわかるの?)

(魔王が何故産まれるか知っているからよ。根本的な解決策はまだわからないけど、間違った解決策はわかるわ)


 なんと!魔王誕生に関わることを母さんは掴んでいるみたいだ。それ故に、魔王討伐が世界の救済に繋がらないことを断言している。ひょっとして、ひょっとしなくても母さんは凄い人なのかも知れない。


(魔王って何故産まれるの?)

(それはウィルにはまだ教えられないわね。いずれウィルにも時がくれば教えるわ)

(母さんがそういうなら、僕がまだ知るのは早いってことだね)

(あら、随分買ってくれるのね。母さん嬉しいわ)

(だって僕の母さんだもん)


 自信をもって断言する。傍からみれば俺はただ鵜呑みにしている愚か者に見えるだろう。だが、それでもいい。

 母さんは、キョトンとした表情で俺を見つめている。


(そう)

(うん)

(ウィル)

(なに?)

(やさしい世界が創りたい?)

(うん。そのために色々と考えてスキルを貰ったんだ)

(そう。もし、世界の法則さえ変えることができるとしたら、どうする?)

(どうもしないかな。僕には重過ぎるよ。…ってもしかして歪みって!?)

(そうよ。この世界の法則そのものが歪んでいるのよ。ゆっくりとだけどこのままでは崩壊するでしょうね)

(どうして母さんはそのことを?)

(長年研究してきたからよ。ウィル、あなたに言わないといけないことがあるわ)

(なに?)

(私はね、ウィル…私ができなかった世界の救済のために、あなたを産んだのよ)

(…………)


 俺は突然のことで、一瞬何を言われたか分からなかった。


(おそらく、私の寿命はもうそう長くないわ。私の代わりが必要だったの)

(……何故それを、今言うの?)

(言わないでいられるほど、私は強くなかったということかしらね。自分でも驚いているわ)


 自分の子に対する罪悪感がひしひしと伝わってきた。相当苦悩していたのだろう。


(母さん…母さんがどういう理由で産んだにしろ、僕は母さんの子でよかったと思うよ)

(ッ…!)

(だって母さんを見てると、そういう理由だけじゃない、ちゃんと愛してくれているんだと思えるから)

(ウィル…)


 クエストで母さんの気持ちがそれだけじゃないと分かっていたのだから。クエストを通じてしか愛されていると理解できないのは問題だろうが、クエストなどを活用して気持ちを知るのは決して悪いことではない。少なくとも俺はそう思う。今この瞬間、母さんのあの言葉を聞いても、本心がそれだけじゃないって許せるのだから。例え利用するために産んだとしても俺は甘んじて受け入れよう。


(出来るかどうかわからないけど、僕は母さんの"願い"を継ぐよ。母さんの愛した世界だ。救いたい)

(ウィル。ありがと…)


 母さんは涙をながしながら"ありがとう"と何度も言った。俺は、こんな母さんだからこそ、本気で母さんの愛した世界を救いたいと思った。

 それから母さんから色々な話を聞いた。召喚された勇者の話、この世界の常識、そして【鑑定】からわかる俺自身のこと。話は多岐にわたった。母さんは、この世界を救おうと必死に世界中の魔法の知識や技術、情報を集めていた。一部見せてもらっただけでもその量は莫大だった。ある国の機密文書とか、裏取引の情報とかいったいどうやって手に入れたんだろうと思うようなものまである。母さんが言うには、この中には間違った情報も多々あるが、7割以上は正しいと情報だろうとのことだ。


 こうして、母さんの指導のもと俺は世界を救う準備に取り掛かるのだった。

ご清覧ありがとうございました。


以下、参考資料。主人公の3節終了時のステータスです。

============================

ウィルルアイト・スヴュート   人間族・男   0歳

        職業:武神   称号:異邦人(転生)

Lv.1      Exp   0/100

【AP:308】

HP  154/154  MP:  104/104

STR 101    INT  31

VIT 101    MEN  31

DEX 101    AGI  101


【SP:28247】

<アクティブスキル>

 能力値手動分配[1]

 固有図書館[1]

<パッシブスキル>

 解析[1]

 究明[1]

 言語理解[5](+4up!)

 体術[1]

 武技の真髄[1]

 セリノイス語[1](new!)

============================

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ