4節(1) ブラッドオーガ襲来(1)
第3章4節を分割した1番目です。
諸事情により更新が遅くなってすみません。
side エルヴィアンヌ・フォン・ステファニア
人が死んでいく――また、妾のせいなのだろうか?
王都を出て5日目の昼、妾達は襲撃を受け現在交戦中だ。
この5日間、町での多少のトラブルはあったが、大して問題にならずに旅は順調に進んでいた。これも父上や皆の尽力で国内の治安がよく、国民性も穏やかな方が多いおかげだろう。
一昨日、小規模な盗賊団に襲われはしたが、馬車の護衛に就いていた冒険者達によってすぐに処理されていた。1週間(6日)以上に1度盗賊に出くわす程度なら、この世界の常識では安全な旅路の部類である。ステファニア国内は10日に1度程度と言われ比較的安全と言われている。アルトヘイム国内なら毎日襲われても不思議ではないし、セリノイス国でも7日程度といわれていることからも治安の高さを理解できるだろう。尤も、他所から盗賊が侵入してきたせいで、この国でも治安が若干悪化しているそうだ。侵入しないように国境でかなり食い止めているが、多すぎて完全には防げていないらしい。
だが、今回の襲撃は違う。ルーちゃんが感知していた敵の探るような動き、規模に対する連携の練度、偽装しているが装備の質の高さ……盗賊を装っているけど、どこなの特殊部隊――暗殺者なのだろう。
護衛の冒険者達には、それとなく何度も情報を渡した。が、冒険者に登録しているアリシアでさえ冒険者ランクが1の子供の言うことなんて当てにされなかった。騎士として――妾の護衛として活動していたアリシアは、冒険者として殆ど活動する暇がなかった。実力的には護衛クエストを請けられるランク4は軽くある。しかし、身分を明かせぬ手前、能力を誇張しているだけと言われるのが精々だった。年齢的にも容姿的にも受け入れられなかったようだ。ルーちゃんの圧倒的な力を見せる案も出たが、今迄の対応から逆に問題が大きくなるだけで今後の旅にも支障が出るだろうと結論になった。
当然、そんな状況なので妾達は戦線に加われず、馬車内に待機になったのだが……
「後に回りこまれた!カバーをたの、ぶぇ・・・」
「キース!!畜生ぉぉぉっ!」
トシュ、トシュ!
怒号が飛び交い、幌馬車に矢が突き刺さる。全面防風防矢用の布で覆われて薄暗い車内に外の光が漏れ出し、近くにいる者が悲鳴を上げる。
車内にいる人々は小さく蹲り鞄などで頭をガードしていたり、壁に護身用の真新しい盾を脅えながら構えていたりと、早くこの騒動が過ぎるのを脅えながら待っていた。襲撃の規模から見て、彼等も木っ端盗賊とは違うと気付いているのだろう。
(ルーちゃん、今どんな感じ?)
妾達は後方の出入り口付近で何時でも飛び出せるように待機しながら、布越しに感知を続けているルーちゃんに状況を聞いてみる。
(盗賊(偽)の残りはあと僅かね。護衛の約4割が倒されているけど、問題なく護りきれそうよ)
内緒話などし易いように、妾達は常にパーティを組んでいる。今みたいに周りを不安にさせぬように配慮する場合などにはルーちゃんの【命令伝達】はもってこいだ。
(ただ……あ、確定したわね。エルちゃん、アリシアちゃん、戦闘の準備を)
(!?)
(来るか来ないか微妙なところだったけど、どうやら魔物が来るみたい)
(魔物だって!?周囲には魔物はいなかった筈じゃ?)
(仕掛ける時にはね。邪魔にもなるし、敵も充分索敵していたんだろうけど……)
(あー、すっごい時間かかってるからねぇー。血の匂いで引きつけられたかぁー)
(アリシアちゃんの予想どおりだと思う)
(なるほどの……)
こんな事態にならないように、色々な対策をしている。それでもこのような事態になっているのは――――これも、妾の称号が引き起こしていることなのだろうか?
(エルちゃん?)
(……いや、何でもない)
アリシアとルーちゃんが心配そうな顔をして見ている。どうやら顔に出ていたようだ。
(悩むのは後だ、今はこの場を何とかしないと。ルーちゃんどんな魔物か分かる?)
(【鑑定】で確認できていないから何ともいえないけど、敵はおそらく3~5メートルクラスで数は5体。レベルは50は超えてないと思う)
(って50って言えば結構高レベルじゃない!護衛の平均は確か35ぐらいだったよね?)
35レベルの者が50の魔物に挑む場合、16人(2PT以上)は集めないといけないと言われている。ウィルやルーちゃんみたいな複数職もちなどの例外はいるが、レベルが高いとはそれだけで脅威になる。
(まだ距離があるみたいだし、こっそり倒しに行くのも考えたけど……)
(……妾達が危ないか)
(うん。ただ単純に森の中を移動するだけなら結構早く動けるけど、今の状態の戦場を横切り森を高速に認知されずに移動するのは難しいかな)
(魔物の到着までの時間は?)
(5分ぐらいだね。盗賊(偽)との戦闘は後10分ほどはかかりそうだから、大混戦になる。魔物が見えてきたら外に出て戦うしかないと思う)
(流石にその状況なら妾達が戦闘に参加しても文句は言われないか)
(だねぇー。連携に支障があるとか色々言ってたけど、既に連携とか出来る状況にないようだし)
(うん。そうだね。じゃ、護衛が魔物に気付いたタイミングで出よう)
久々の実戦だ!
ただ、脅えるだけの昔の妾ではない!
ご清覧ありがとうございました。
諸事情により、更新がおそくなってすみませんでした。分割した残りのが書きあがり次第投稿します。
本当は4節全部書き上げてから投稿しようと思っていました。分割もする気はなかったですが、余りにも書くのに時間がかかっているのでキリがいいところで分けました。
夜に追加投稿する予定でしたが、間に合いそうにないので明日以降にします。




