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異世界転生からの世界革命  作者: アーシャ
第3章 (タイトル未定)
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2節(2) ルーシャの初交渉 (2)

第3章2節を分割した2番目です。


ルーシャ初の王様との交渉+結果です。


side エルヴィアンヌ・フォン・ステファニア



「それじゃ、エルちゃんに頼みたいことを言うね」


 ここまで凄く長かった気がする。途中、告げられた事実が衝撃的過ぎて忘れかけていたけど、ルーちゃんは妾達に助けを求めてきたんだった。


 ウィルは今少し厄介な状態にあって、ルーちゃんは助けるためには妖精族のところに向かっているそうだ。ただ、妖精族がいる場所が特定できていないこと、妖精族に会えたとしても解決できない可能性があること、猶予が期間が1ヶ月(予想)ということ、と問題が山積みで解決の目処は全くたっていない。

 正攻法ではとても無理――ならば"突撃娘"のもつ称号の特異性に頼る外無いのでは、と。効果の確認も制御も出来ていない、そんな力に頼ることの危険性を承知の上でのお願いだった。昔、妾の身を危険に晒した可能性が高いこの能力を使わせて欲しい、と。


「エルちゃん、無理言ってごめんね。でも、それに頼るしか無いの。今のところ"ウィルくんの"命には別状ないけど、正直どうなるか分からない」


 先生やウィルが対処できないことをあることのほうが驚きだ。参考になる事例が全く無いから、この先どうなるか予測は不可能。聞けば聞くほど正攻法では無理な気がする。


「ルーシャ殿、少し聞きたいことがある」

「何でしょうか?」

「何故、先程あのタイミングであのような確認をしたのじゃ?」


 父上が言うのは尤もだ。

 友人を助けるのは当然だし、依頼内容を聞いてから判断を促すのでも問題なさそうに見える。先に覚悟を促すことのメリットがあまり無いような気がする。


「ふむ、不慣れなようだの。ルーシャ殿、それにエルヴィ、アリシアもよく覚えておれ。情報の価値は人それぞれじゃ。思い込みで目を曇らせてはならぬ。もし判断材料がない場合、如何にして対話の中でそれを探せるかが重要じゃ」


 ウィルが動けない状況にいるからといって、妾の対応が変わるわけがない。


「王族には王族の義務がある。それを放棄させる可能性を心配しておったのは流石じゃが、そもそも何を持って王族の義務とするかは本人次第じゃ。無責任に聞こえるかも知れぬが、万民が思うような義務とやらを全て満たすことは不可能じゃ」


 我々は空想上の登場人物ではなく生きている人間だ。当然限界はある。王族の義務を果たせるよう常に努力する必要があるが、それは妾達本人の意思でするべきこと――王族ではないルーちゃん達が心配するべきことではない、と父上は言った。


 父上達によると、ルーちゃんは不安のあまり少し空回りしているみたいだ。失敗の可能性に脅えて、それをなるべく消そうと無駄なことに気を回しすぎだと。


「なに、これぐらいのことは何とかするのが先人の務めと言うものじゃ。そなた等は若い。少しは頼ってもバチは当たらん」

「父上…」

「ありがとうございます」



 話が纏まり、妾は久々に"突撃娘"の称号を使うことになった。

 思い描く目的は"ウィルを助ける"だ。


「久々にセットしてみてどう?」

「特に何も無い…かな」


 体には異常は全く感じない。それよりも、昔は匂いとして何となくどうすればいいか分かったが、今は全く感じないことのほうが問題かもしれない。本心から思わないと称号は効果を発揮しない(と予想されている)。つまり、無意識にウィルなら大丈夫とか、ウィルを助けたくないとか思っているかもしれないのか、妾は。


「ごめん、ルーちゃん。何も分からない。無意識に妾は……」


 妾はこんなにも薄情なものだったのか。


「まだ始まったばかりだから、そんなに落ち込まないでエルちゃん」

「でも!」

「この場では無理だっただけかも知れない。王様、資料の閲覧の許可とエルちゃん達との旅の準備をお願いできますか」

「よかろう。護衛の騎士もつけよう。あまり大人数では支障が出るじゃろうから1人か2人じゃがな」

「感謝します」



 資料室に行こうと廊下を歩いていると、何だか妾の部屋に行ったほうが良い気がしてきた。もしかして、もしかしなくても称号の効果が現れ始めたのだろう。


「ルーちゃん。資料室に行くより妾の部屋に行ったほうが良い気がする」

「!もしかして、エルちゃん?!」

「うん。多分だけど称号の効力が発揮できた――と思う」


 称号の検証は危険だから控えていたのを忘れていた。称号は付与している間、常時効果を発動しているが、その関係で明確な形で効果を体感できないことがある。"突撃娘"の場合、妾は明確に"匂い"という形で効果をよく実感していたが故に何もアクションが無いのは発動していない――妾がウィルを助けることを無意識に拒んでいる――と、早とちりしてしまった。

 無為に自己嫌悪してしまったが、まあよしとする。


 昔は"匂い"という形だったが、今は直感として頭にぼんやりと現れるようだ。

 何故このような違いが出たのか、本当に大丈夫なのか――とりあえず、皆にはその事を知らせた。機会があったら検証するけど、今はそれよりもするべきことがある。




side ルーシャ



「この本と、これ……ぐらいかな。幼児用の童話とかが主だけど……」

「了解。ありがとう、エルちゃん」


 私はエルちゃんから本を受け取り早速【夢幻図書館】に複写する。本のタイトルは一般的な童話だったけど、細部が違う可能性がある。容量的には何の問題もないので、文章としてだけでなく画像としても記録しておく。


 やはりウィルくんの予測は凄いと思う。これがどのように影響するかは分からないけど、何も無いところから切欠を作れた。

 エルちゃんにも感謝してもしきれないな。完全には掌握できていない能力を使っているんだ。身の危険性も十分にあるし、何よりウィルくんを心配してくれるその気持ちが嬉しい。後は、私がエルちゃん達を称号の余波から護ればいい。


 っと、考え事している間に複写が終わった。本はエルちゃんに返そう。


「エルちゃん、ありがとう。写し終わったから」

「えっ?」


 あーっと、エルちゃん達は私達のスキルなんかは全く知らないんだった。さっきの交渉もだけど、私は1つのことを考えていると他の事に意識が向けることが出来ないようだ。

 知ることによって危険になることもあるが、一緒に行動する上で最低限のことはきちんと伝えないといけない。私はエルちゃんとアリシアちゃんに【夢幻図書館】の説明などをした。


「…と、だいたいこんなところかな」

「「・・・・・・」」

「えっと、一度じゃ分からないことあるだろうし、その度に聞いてくれたのでいいよ」

「あ、ああ……いや、そういうわけではなくてね……」

「もぉー、凄すぎて反応に困ってる感じかなー。ルーちゃん」


 私達が異常なのは分かっていたけど、こういう反応されることがあるとは……。


「話を聞いていると、妾達がついて行くのは足手まといな気がする……次元が違いすぎる」

「だねー。エルちゃんは称号があるからまだいいけど、あたしは何の役にもたたなそう」

「そんなことないよ。信頼できる友達が側にいるだけで凄く気持ちが楽になるし」

「うむ。それにアリシアは妾の護衛でしょ。妾と行動を共にするのは当然の権利よ」

「うーん、そこまで言われるとは思わなかったなー。ありがとう」


 お互いに笑い合う。


 その後、明日出発出来るように準備をした。かなり夜遅くまでかかった。その日の夜はエルちゃんのベットで3人で一緒に寝た。寝るまでの間、お話してたらかなり盛り上がったのはいい思い出になった。



 翌日、朝起こしに来てくれたメイドさんの声で起きた。

 エルちゃん達はぐっすり寝ていて中々起きそうになかったので、少し強引に起こすことにした。寝ぼけたエルちゃんとアリシアちゃんは少し可愛かったな。口調もいつもと違ったし、もしかしてこっちが素なのかな?


 朝食を部屋に運んでもらって食べていると、王様とセバスさんが来た。

 軽く挨拶をした後、さっそく本題に入った。


「エルヴィとアリシアの用意が出来た」


 寝る前に必要な物などは粗方セバスさんに伝えておいたのだが、それをもう用意してくれているとは。夕方頃に出発出来ればいいなと思っていたけど、昼頃にでも出れるかもしれない。王都内で馴らしの一泊をと考えていたのは中止の方向でいよう。


「要求どおり、この魔法鞄の中に必要なのは入れておる。【アイテムボックス】のように万能ではないがの。悪目立ちしないよう、一般的な(最低ランクの)鞄にしておる。このリュックの中に入れて使うといいじゃろう」


 魔法鞄は簡単に言ってしまえば【アイテムボックス】を再現した魔法の道具()だ。使用している素材によって入る容量(限界)が違い、多いほど高級とされている。

 今回用意してもらった鞄だと、容量は約50kgぐらいだ。非常用の携帯食料や水、魔法薬などが入っている。私は時空魔法があるから本当は必要ないんだけど、人前で物を出す時の言い訳用に用意してもらった。エルちゃん達の分は、もし遭難などしたときの備えのために用意してもらった。

 リュックは魔法鞄を入れるために用意してもらった。いくら最低ランクの魔法鞄とはいえ結構な値段がするし、初心者風の女の子があからさまに持つと火種になるだろう。簡単なカモフラージュだ。尤も、上級者と一緒に行動している初心者でも持っている者がチラホラいるらしいから、そこまで念入りに隠さなくても最低級なら大丈夫だろうが。


「さて、問題は護衛に誰をつけるかじゃが…それはなしにした方がいいじゃろう」

「何故ですか、父上?」

「ルーシャ殿にとっては出来る限り人目がないほうが力を使い易いからじゃよ。公にしたくないようじゃしの。代わりに国内だけだが現場の者に随時協力を要請できるように書状を認めておる」

「ご配慮感謝します」


 かなり強力なバックアップを受けることが出来た。後は行動あるのみ!


 私達は朝食を足早に終え、セバスさんからその他の必需品などをもらい昼前には乗り合い馬車で王都を出た。

ご清覧ありがとうございました。


更新が凄く遅くなっていること大変申し訳ない。仕事の関係で3月と4月の前半ぐらいまで土日の休みも無しなので、書き溜める暇も中々ありません。まあ、人の移動があるときが仕事のあるときと分かってこの仕事しているので文句は言えないんですがね……。

この二週間近く、初めて小説を書きながら過ごしたのですが、結構辛いです。というか、この期間は毎日はまず不可能って実証されちゃいました。周1か2ぐらいならいけそうなので、しばらくはこのペースで行きます。

4月の中旬ぐらいから元に戻せると思いますが、それまでペースダウンすることをご了承ください。

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