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異世界転生からの世界革命  作者: アーシャ
第3章 (タイトル未定)
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1節   出発と再会

第3章1節です。


しばらく、ルーシャ中心に物語りは進みます。

side ルーシャ



 昨日の激戦から一夜明けた。私は今日王都に向けて旅立つ。


「ルーシャ、準備はできた?」

「うん。行ってくるね、ママ」

「本当は俺も一緒に行きたかったんだが……」

「ごめん、マルコお兄ちゃん。急ぐから……」

「わかってる。あの速度で移動なんて俺には無理だからな。今回は諦めるさ」


 今回の旅は時間との勝負だ。移動に時間をかけていられない。ウィルくん家と私の家みたいに転移陣を設置できればお兄ちゃんとかを連れて行けるけど、残念ながらあれは簡単に設置できるような代物じゃない。


 私達に残された時間は約30日――実際にはもっと短いかもしれない。私はこの間に何としても、ウィルくん達を助ける方法を見つけなくてはならない。


 ウィルくんの仮説では、妖精族かハイ・エルフ族を探せば見つかるみたいだ。また、大昔のことを知っている人じゃなきゃダメだから集落なんかを探すといいともウィルくんは言っていた。

 なので、私は集落を探すことにしている。


 何処に何の集落があるとか、この国の情報が一番集まってそうな場所は王宮だろう。まずはそこで集められるだけの情報を仕入れる。


 それに、王宮に行くならできたらエルちゃんとアリシアちゃんにも1度会いたい。あれから月1程度の手紙のやり取りしかしていないし、ウィルくんはエルちゃんがもつある可能性を示唆していた。お姫さまなので色々面倒事に巻き込まれるかもしれないが、協力を仰ぐのもいいかもしれないと。なので1度会ってみようと思う。



 さて、出る前にもう1度【以心伝心】を使ってみますか――うん、やっぱり反応しない。

 あの境界によって魔術的――霊的に内外が分断されているようだ。特殊空間な場を造るつもりだったので当然といえば当然だけど、ウィルくんとすぐに連絡できないのはかなり不安だ。

 さっき、1ヶ月分の食料を余裕をもって渡してきたとき色々話して少しは自信がついたけど……それでも不安に思うのは仕方ないだろう。

 だけど、そうも言っていられない。ウィルくんは動くこと出来ないし、もしお兄ちゃんとかが王都に行こうとしたらそれだけで1ヶ月近く掛かってしまう。私が何とかしなければ!


「ルーシャ、最後にこれだけは覚えておいて。貴方には帰ってくる場所があるってことを」

「うん。絶対見つけて、お家に帰ってくるね」

「そういうこと言ってるんじゃないんだけど」

「?」

「ええ、待ってるわ。行ってらっしゃい」

「行ってきます」



 早速私は王都に向けて旅立った。

 町の外れ、人気の無い木が陰になる場所まで急ぎ足で進む。

 おそらく盗賊かな。何人かが町を出てから付いて来ている。気配を消しているつもりだろうけど、私にはバレバレだ。気取られないように【鑑定】を使って確かめたところ盗賊だったので、襲ってきた時に一気に殲滅しておいた。本当は騎士団とかに報告するべきなんだろうけど、時間がもったいないので打ち捨てておく。


 完全に周りには人の気配が無いことを確認して、私は全力で王都に向けて"木々の上を"走り出した。私はAIGが"普通"の人より高いので、走った方が馬車などで行くよりも圧倒的に速度が出るからだ。戦闘時みたいな複雑な動きをしないのであれば、時速200kmぐらいは出すことができる。ただ、人身事故?だったかしら、ウィルくんが言うにはそんな事にならないでいいように人気のない場所でしか使っちゃ駄目だって話だ。


 本当は町を出てすぐにこの速度で走ってもよかった。

 でも、高速の伝令兵でも私達の速度は中々出せないみたいだし、人目に付かないように走らないと色々トラブルに巻き込まれるって言われている。不要なトラブルで時間を取りたくもないので、盗賊達を殲滅して出来るだけ木々が生い茂っている場所を一気に駆け抜けることにした。


 この世界の馬車の移動速度は普通の商人がもっている馬車で1日100kmぐらいだと言われている。道が悪かったり、盗賊や魔物なんかに襲われたらさらに移動距離は短くなる。だけど、私はこの速度で大抵の魔物は振り切れるし、例え盗賊に見つかったとしてもこの速度で動いてる限り素早い魔物が通過していったと考えることが多いだろう。

 私の町から王都まで直線距離でおそらく約2,000km。途中山や渓谷なんかもあるので多少は時間を喰うだろうが、休み無く飛ばせば今日中には王都に着くことができるはずだ。


 私は一路王都に向けてひたすら走り続ける。



 朝早くに出発したおかげか、夕方日が沈む少し前に王都に辿りつくことが出来た。


 大きな都市は城壁で囲まれていることが多い。そうした城壁には大抵侵入者を察知する魔法がかけられているそうだ。一種の結界のようなもので、"魔法を使って"出入りする者は事前に通達しておかないと警報が鳴る仕組みになっている。空や地中などからの侵入を防ぐためだ。ステファニア国の王都も城壁で囲まれているが、他の国と比べて高さはそう高くない。10mぐらいだし、助走を付ければギリギリ魔法無しでも乗り越えられるだろ。

 時間が無いし強引に王都に入ってもいいけど、少し時間はかかるが門から入ることにした。城壁の上には巡回の兵士もいる。不用意な衝突を起こす方が時間を喰うだろうしね。

 夜が近いためか、門に並ぶ人はそう多くない。列の最後尾に回ってもいいが、私は身分証も無いし今回は"紹介状"を利用するので通常の窓口だと荷が重いだろう。


 私は槍を持って立っている警備兵に近づく。


「すみません。取り次ぎしてもらえないでしょうか?」

「……なんだ?」


 不審者を見るような目つきに少しイラっとするけど、警備兵としては当然の対応し寧ろ褒めるべきだろう。


「まずは、これを」

「何を……ッ、陛下直筆の書状?!」

「今、身分証なんかは持っていません。ですが、"アルン町のウィルルアルの使が来た"とお伝えしたらわかるはずです」

「は、はっ!唯今御取次します。まずはこちらに」


 門番の人と一緒に門の詰め所に入る。途中、【鑑定】を使って色々調べておく。王都だからか、支給品の質は私の町より若干良いが特に高級な物を使っているわけではなさそうだ。"辺境までちゃんと支給できるだけのモラルがこの国にはある"とシャル小母さんが言ってたのは本当みたいだ。


「交代にはまだ早い…という訳でもないか。そちらのお嬢さんは?」

「はっ、このような書状を携えております。すぐに王宮へ連絡するべきかと」


 上司――【鑑定】によるとセルブロ・ローランド、警備隊長のようだ。書類を見たセルブロ隊長は少し考え込み、部下に指示をだす。


「お嬢さんの相手は私がしておこう。お前は警備に戻っておれ」

「了解しました」


 どうやらここからは隊長さんが案内をしてくれるようだ。


「さて、王宮に行く前に確認したいことがある」

「何でしょうか?」

「俺の【ステータス閲覧】では職業なしでレベル5となっておるが、本当のレベルはいくつだ?」

「どういうことでしょうか?」

「お譲ちゃんは完璧すぎるんだよ。見た目やステータス、気配なんかも子どものそれだろう。だが、位置どりが絶妙すぎる。それに、一見隙だらけに見えるが、あまりにも隙だらけすぎて逆に手がだしずらい。完璧すぎる擬態のせいで逆に熟練の猛者のように感じるんだよ、俺には」

「・・・・・・」

「と、言っても本当に間者の訓練を受けている感じもしない。正面からこんな方法で接触しようとしないからな。それに書面には判断できないときはセバスに伝えろとも書いている」

「なら、せめてセバスさんに取り次いでもらえないでしょうか?急いでいるので」

「本当は内容も聞きたいんだがな。"緘口令付きの紹介状"なんて何がどうなったらこんな書類を陛下に用意して頂けるんだよ、全く……」

「はは…、私も知りません」


 ウィルくんと王様の間で何が有ったのかは知らない。

 とりあえず、セルブロ隊長と一緒に王宮に向かうことになった。


 側にとめてあった馬車に乗車し、王宮に向けて出発する。

 馬車から王都を見る。沢山の馬車が行きかい非常に活気のあるみたいだ。少し前の戦争などで世界的に治安が悪いそうだが、女性や子供も普通に出歩けているところを見るとやはりこの国の治世は上手くいっているようだ。流石、エルちゃんのお父さんだ。



 馬車に揺れること約40分、王城の正門に辿り付いたみたいだ。


「お待ちしておりました。ルーシャ様」

「えっと、お久しぶりです。セバスさん。えっと、何で様付けなんですか?」


 驚いたことにセバスさん自ら出迎えてくれた。いきなり様付けされて少しビックリしている。


「お客様には当然の対応です。して、急ぎの用とのことでしたが、生憎陛下は謁見中でして今の方が終わり次第になりますが、よろしいですか?」

「はい、お願いします。あとエルちゃん達も呼んで欲しいのですが」

「かしこまりました。"個人的に"会われるのですよね?」

「はい。そうです。謁見すると色々と問題が起こるかと…」

「存じております。寧ろこちらからお願いしている手前、否はありません」

「そう言ってもらえると助かります」

「では、こちらに。セルブロ隊長殿、一緒に来て頂けますか。ルーシャ様の護衛を頼みたいのですが」

「了解しました」


 セバスさんのお陰で随分スムーズに話がいった。若干セルブロ隊長の顔が引き攣っているみたいだけど、それは気にしないでおこう。



「ここで少々お待ちください」


 セバスさんはそう言うと部屋を出て行った。


「お譲ちゃんは何者なんだい?この部屋は各国の大臣クラス用の貴賓室だぞ。そこに案内されるなんて、どっかの貴族か何かか?」

「一応、唯の1国民なんですが…縁あって、エルちゃん――第5王女と友達になったぐらいです」

「それにしては、対応が丁重すぎるんだが……」


 しばらくすると、エルちゃんとアリシアちゃんが来た。


「ルーちゃん、久しぶりー」

「久しぶり、ルーちゃん。まさか王宮まで会いに来てくれるとは思わなかったよ!」

「手紙出してたけど、やっぱり寂しかったよ。2年ぶりだね、エルちゃん、アリシアちゃん」

「だねー」

「そうだね」


 週1で手紙のやり取りをしていたとはいえ、伝えそこなったことは沢山ある。私達は王様が来るまでの間、しばしの歓談を楽しんだ。


ご清覧ありがとうございました。


次回は、王様との会談が中心となります。


最近、仕事の関係で毎日更新が出来ずにすみませんでした。色々あって、毎日更新は少し苦しいですが、予約投稿を活用してしばらくは毎日更新を心がけたいと思います。

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