16節(2) シャルロットの過去 (2)
第2章16節を分割した2番目です。
まだ、説明が続きます…。
サッカー見終わって、ページ開いたら更新してなくて慌てて更新しました。遅くなってすいません。
side ルーシャ
怖い。
――――多分、この説明が終わったら、私達の日常は終わりを告げる。
私は今シャル小母さんの説明を受けながら、崩れゆく日常を脳裏に描いていた。
気付けば、ウィルくんが私の手を握ってくれている。
ああ、そうだった。
私は1人じゃなかったんだった。
先程から、心では話を聞きたくなくても――半分以上話が頭を素通りしていっても【夢幻図書館】の自動記録機能でしっかりと会話が記録されていっている。強制的にきることは出来るのだけど、それは小母さんの後継者としてできない。きっとこれは小母さんが一生を費やして取り組んできた記録なのだから。
ウィルくんだって母親の余命幾ばくも無いことを聞かされたんだ。内心穏やかではいられないだろう。それでも私を励ましてくれている。せめて私も最後までしっかりと聞こう。
小母さんが話してくれた過去は私の想像を遥かに超えていた。
小母さんが勇者とパーティを組んだことがあるのは知っていた。だけど、人気英雄譚として語られている勇者パーティの聖王女様だとは思わなかった。
でも、それよりも驚いたのは魔王との決戦だった。物語とは全然違う、人の欲望丸出しの醜い虐殺――私の中の勇者に対する憧れはもはや無くなった。ウィルくんとかは素敵な勇者だと思うけど、全部が全部そんな勇者様じゃない。そのことがよく分かった。
その後に話してくれたことも驚きの連続だった。
小母さんは、魔族の認識を改める旅をしている最中何度か魔王とも戦ったらしい。
そして、魔王が倒されることによって、その周辺一帯に短期間ながら魔力が満ちる現象があることを知ったそうだ。詳しく調べると、それは勇者や他の魔物でも僅かながら同じことが起こっていたそうだ。
疑問に思った小母さんは更に調査した。そして、世界から緩やかに魔力が消えていっていること、同時に世界中の魔力濃度の濃淡のばらつきが拡大する傾向にあることを突き止めた。魔力濃度が高い場所ならば、魔素濃度も高い傾向にある。魔族はもしかしたらこれが原因で出現しはじめたのかもしれないとのことだ。
このままでは、魔力がある前提で廻っている食物連鎖や文明は崩壊する。殆ど魔力で出来ている精霊や妖精族は死に絶えるだろうし、私達でも体内から魔力が全て無くなったら生命維持が困難になる。魔力の完全な消失はなんとしても避けなければならない。
また、極端な異常な濃度の魔力内でも殆どの生命が適応できずに死ぬだろうとのことだ。魔族がいくら魔素を取り込める体質になっているとはいえ限度がある。濃度が高くなっているところは、ずっと変わらず増加傾向にあるそうなので、何れ住めなくなるのは時間の問題らしい。
「なるほど。それが僕達が呼ばれた理由か」
「おそらくそうでしょうね」
「魔王が倒れることで一時的に周辺に魔力が潤う――"魔王討伐は応急的な救済処置として正しいが"という僕の仮説にも一致する。とすると、魔力という資源が何らかの原因で枯渇している。その原因の排除し減少を止める、もしくは魔力生産量を向上すればいいわけか」
「それだけじゃ不十分です。この世界の住人の魔族も今の境遇から救わなくては本当の意味で救ったことにはなりません。彼等もこの世界の住民なのですから」
「なるほど。それが母さんが目指しているものなんだ」
「ええ」
何だか、世界規模でどうにかしないといけないとは漠然とわかってはいたけど、ここまでとは思っていなかった。
「私が行ってきた、詳しい調査結果などは地下室に本の形でまとめて保管しています。今からいう課題にクリアできたら見てください」
「課題?」
「単純な課題です。私を倒してください」
「…………………………」
ウィルくんが沈黙した。
見ると凄く厳しい顔をしている。見ていると私まで不安になってくる。
どうしてだろう、胸騒ぎが止まらない。
「それは……それは命のやり取りをするという……こと?」
「えっ?!」
つい、素っ頓狂な声がでたのは仕方の無い事だろう。何でいきなり命のやり取りという発想になるの?
「ええ。私の残り少ない命全てをかけて行います」
「何故?!」
「それは、私のステータスを見るとわかるでしょう。今、スキルは課題の難易度を下げないために隠していますが、他は何も偽装していません。【鑑定】してみなさい」
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シャルロット・スヴュート Lv.97,854 人間族・女 309歳
職業:アークビショップ[81,112]/勇者[79,843]/巫覡[79,805]/魔王[79,799]
/料理人[75,223]/裁縫師[75,112]/ヴァルキリー[72,988]/暗殺者[70,008]
/パラディン[68,777]/ウィッチ[66,896]/ソーサラー[65,978]/契約術師[65,955]
/古代魔導師[65,470]/召喚術師[62,210]/修験者[57,989]/陰陽師[50,406]
/アークエンチャンター[50,221]/呪術師[45,555]/精霊術師[45,484]
/ドルイド[45,320]/メイジ[44,216]/賢者[44,119]/指揮官[35,040]
/探索者[32,887]/剣聖[32,066]/鍛冶師[30,748]/錬金術師[25,400]
/武闘家[21,003]/アヴァタール[16,866]/魔神[10,240]
称号:神剣の継承者/真なる勇者/伝説の勇者/真なる魔王/堕ちた聖女/神々の敵/歩く災厄
/生還者/探究者/神殺し/竜殺し/挑戦者/治癒の達人/回復の達人/戦場の天使
□AP 0 □Exp 11,024/978,630
□SP 0 □SC 2,690/4,407
HP: 105,852/478,158,398,987 (-478,110,583,148)
MP 56,231,850/762,583,714,747 (-762,507,456,376)
STR 35,287,921,009 (-35,284,392,217)
VIT 40,059,457,952 (-40,055,452,007)
INT 86,368,574,250 (-86,359,937,393)
MEN 98,296,479,802 (-98,286,650,155)
DEX 58,798,712,590 (-58,792,832,719)
AGI 55,387,183,287 (-55,381,644,569)
スキル一覧
なし
状態異常
治癒効果無効化 Lv.∞
回復効果無効化 Lv.∞
オートHP減少 Lv.235,121
オートMP減少 Lv.235,121
加護
女神の祝福 Lv.144
神々の怨嗟 Lv.321,451,331
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私は小母さんのステータスを見せてもらって固まった。
多分誰でも固まるのでは無いだろうか。職業や称号の多さとか、持ってる職業で『魔神』なんていう意味不明なものがあるとか、数値が私達と桁が違うとか……もう指摘すればきりがない。
横ではウィルくんも流石に驚いているようだけど、すぐに真剣な顔になった。
「母さん、取り外し不可能な称号なんて、僕は初めてみましたよ。そして全てが本人にデメリットがある内容ばかり……加護も片一方は名前からしてよくないモノと思ったが、本当にロクなもんじゃないよ!!」
加護は基本的に自由に取り外しできない。また、授かるには色々条件が必要で、時間経過で自然消滅することもある。なので、加護を持っている者は少ないと言われている。
小母さんが所持している加護、"女神の祝福"は各種パラメータのアップや成長の助長効果など明らかに有意義な効果が揃っているが、"神々の怨嗟"はパラメータの減少やHPを常に削ったりとかもうデメリットしかない。
称号の場合は、私はこの時まで"取り外し不可"なんていう効果がある称号なんて見たこと無かった。そもそも私が今まで取得した称号の半分以上は何も効果が無く、デメリットだらけの称号なんてものは1つも無い。
でも、小母さんが付けている称号の約半数がデメリットしかない。
なんでそんな称号を――いや、取り外せずに仕方なく付けているのか。
「なんとなく予想はつくけど……どうして、そのような加護や称号を手に入れたのか聞いてもいい?」
「ウィルくん?どういうこと?」
「名称がそのまま答えになってると思う。そうだよね?」
「ええ、そうです。私の行動を快く思わない者は何も人間だけじゃなかった。そう"神"の中にも私の邪魔をするものがいたのです」
この世界の神――地上をうろついている(実体を持つ)神は、しばしば神話や宗教的な神と混同されたりしているが全くの別物だ。実体をもつ彼等は、存在としては精霊などに非常によく似ているとのことだ。詳しい話をしてくれたけど、私は半分も理解できなかった。
ただ、小母さんは実体を持つ神と何度か対峙し、何柱かの神を屠ったそうだ。その結果、"神々の怨嗟"という神の呪を斃した神々から受けることになったらしい。称号の"堕ちた聖女"、"神々の敵"、"歩く災厄"は神を殺していたら手に入れた称号で、全てつけ外しが出来ない呪われた称号とのことだ。
これらの称号の結果、小母さんのステータスは元のステータスの1万分の1にまで低下している。
例えばHPだと本来は478,158,398,987あるが、-478,110,583,148の補正を受けて47,815,839 しかないそうだ。それでも私達からすれば高いのだが、さらに悪いことに一切の回復手段が無い状況でHPが持続的に減る呪いをうけている。現在のHPは105,852しかない。
「普通に暮らすだけならば、HPが10万もあれば数年は暮らせます。ですが、戦闘などをすればタイムリミットはもっと短くなります。私の目的のためには神等との争いはつき物です。今の現状でも1戦ぐらいはなんとか出来るでしょうが、とても完遂できるとは思えません。そこで私は後継者を育てることにしました。それが貴方達です」
「わ、私達が、神様と戦う……」
「…………」
「神と再び戦うかどうかは分かりませんが、それに近い存在とは衝突するでしょう」
「だから、最後に対神戦とかの練習相手として立ちはだかるというわけか」
「ええ、それに私に勝てないようでは、この先に立ちはだかる困難に打ち勝つことなどできないでしょう。私が志半ばで断念しているものです。私を超えなくてどうしますか」
「……それに、もし俺達が勝ったら、経験値など形で最後の贈り物が出来ると……」
「ええ、そうです」
「…………正直、僕はこの試練を受けたくない」
「ウィルくん」
「でも、これを受けなければ、これまでの母さんの人生が――努力が無駄になってしまう。だから受けるよ」
「そう。ありがと。ルーシャはどうです?」
「わ、私は……一晩考えさせてください」
「わかりました。どちらにしろ戦うのは明日の予定です。一晩じっくり考えてください」
「はい……」
今晩は眠れない夜になりそうだ。
「さて、ウィルルアルト」
「はい」
「明日に向けて、今から少し準備があります。その準備をしながら、貴方の父親の話をしたいと思います」
「えっ?!」
ああ、まだお話はあるんだ。
ウィルくんの父親の話なんて、1度も小母さんはしてくれなかった。何か理由があるとは思っていたけど…………これは本格的に私は今夜寝れそうにないな。
ご清覧ありがとうございました。
次回は第2章16節が続きます。ラスト、ウィルくんの父親の話+αです。
もうちょっと書き方を工夫できたら説明回っぽいのが減らせるんですが、力不足で本当に設定書き並べているような状態に(次回前半まで)なっています。やっぱり、読むのと書くのでは全然違うなぁと痛感してます。
P.S.
昼に更新しとったとつい勘違いして遅くなってすみませんでした。サッカー見てたらこんな時間まで気付けませんでした。2重の意味でごめんなさい。
サッカー、日本代表勝利おめでとうございます。




