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異世界転生からの世界革命  作者: アーシャ
第2章 ウィルルアルトの幼児期
32/52

11節 魔王、退治する  ★

第2章11節です。


やっと、○○が退治されます。

退治方法を変えようと考えています。候補として、死霊か魔物を利用する案がありましたが、色々あって没にしてます。いずれいいのを浮かんだら修正しますが、ストーリーの関係上旧版を載せておきます。

side ティティア・ベルナール



「やはり腐りきっているわ、こいつら」


 この5年間、神託の勇者達の動向を見てきたけど、この一派はダメだ。害悪にしかならない。これが御爺様と同じ異世界から来た勇者だと思うと吐き気がする。つい口調が汚くなるのは、気にしないことにした。


 思えばこの一派は最初から兆候があった。国に分不相応な要求をしたり、無謀ともいえる作戦を実行したりと狂気の沙汰としか思えない。最初の年はこの世界に慣れていないからと大目に見ていたけど、この集団には全然改善の兆しが見えない。

 良識のある一部の者がこの狂った集団から距離を取ったのは仕方のないことだろう。本当は説得してもらいたかったけど、これまでの行動を見るに無理だったんだろうな……


 年々、この狂人集団の行動はエスカレートしていっている。これを誘導してるアルトヘイム国王は、狂気に駆られているとしか思えない。


 アルトヘイム国の神剣の機能を王族が操れなくなったらしい。噂だが国王の行動を見るに本当のことだろう。


 だが、それを隠すためとはいえあの狂った勇者に神剣を持たせるとは、何たることか!

 仮にも国の守護を国家を象徴する宝剣だ。それを何故、あんな雑魚勇者に貸し与えるのかが分からない。


 この数ヶ月で、あの集団のメンバーは所持品まで含めてほぼ完全に把握できた。

 これ以上、奴等に村を――町を滅ぼされてなるものか!!


 私は明日に備えて、最終調整を行うことにした。




side タッチャン(田中達也)



「ちっ、ロクなもん無かったな」


 俺は悪態をつきながら、先程まで楽しんでたモノを蹴り飛ばす。


「そう言うなよタッチャン。一番いいもんヤっといて」

「生娘だったんだろ?顔もまあまあだったし、使えんかったら売りゃ良かったんだよ」

「最後は絞めて楽しんでたしな。あれいいよなギュッと締まる」


 俺達は今魔王討伐の邪魔になる村を潰しに来ている。俺たちを支援しない隣国の村にだ。何処の世界にも馬鹿はいるということなのだろう。神の使徒たるこの俺達に歯向かうとは、愚行もいいところだ。


「これなら他の村にしときゃ良かったぜ」


 俺は王国軍として今回の作戦に参加してやっている。俺は中隊を率い、美女が多いという噂のこの村を担当したが――噂は所詮噂でしかなかった。蓄えも少ないわ、大した金品もないわでもう最悪だ。


 第4回目移行の勇者の集いも俺は毎回出向いている。生き残り人数を確認するためだ。最初は俺達の仲間に入りたい者も勧誘するつもりだったが、奴等の態度を見てそんな気は失せた。そして俺が真の勇者を選ばないといけないことを痛感した。

 もう駄目と最初から分かりきっている村上達は無視し、俺は転生者の同志を集めることにした。愚鈍な者達に邪魔されたりもしたが、当然そういった輩は処分した。いい掃除になったことだろう。見つけた転生者の中には天宮みたいなこと抜かしやがる馬鹿がいたが、そいつらはちゃんと引導を渡してやった。あと、俺達の中にもトチ狂ったこと抜かしやがる野郎には相応の報いをくれてやった。

 そんな感じで、しっかりと選別し、俺は元々の30人の仲間に加え14人の転生者の者同志を得た。


 俺が率いている中隊は、王国兵が106人と俺達44人の計150人で構成されている。王国兵は俺達についていけるレベル90前後の猛者達だ。隊長のおれにいたってはレベル98だ。しかも【限界突破】のレベルは8もあり、使えば通常の15倍の出力が出る。なので、最近の戦闘はマジで詰まらん作業になる。せめてもの救いは、戦利品で楽しめることぐらいだろう。


 今回俺達44人が全員参加しているのには理由がある。友好を深める意味ももちろんあるが、一番は全体――特に転生者のレベリングを行うためだ。今年の目標は目指せ全員90以上で、俺は100を目指している。そして、魔王城に攻め込むのだ!

 国王の話だといつ魔王討伐ができるのか不安になってきているそうだ。せめて魔王城の入口付近に行って戦闘し、攻略していることをアピールしなければ暗愚な国民どもは安心できないだろう。


 それにしてもこの村はハズレだった。大して楽しめんかった。まあ、いいや。次の村でその分楽しもう。


「出立の用意は?」

「できてるぜ、いつでもいける」

「よし、では広場に行くぞ」


 広場に出ると、既に全員準備を終え揃っていた。

 出発の合図を送ろうと、中央に用意した箱の上に上った時、俺の視界は1人の女をみつけた。

 女は長い綺麗な薄桃色がかった銀髪を靡かせ、こちらに向かってゆっくり歩いてくる。年は17,8才くらいか。一目遠目で見てもわかる、凄い美女いや美少女だ。旅の剣士なのだろう。腰には細いレイピアのような剣を挿している。


 俺の視線に気付いたのか、他の連中も彼女に引き寄せられるように顔を向けた。

 こいつはいい女だ、手篭めにしたい。


「お譲ちゃん、この村に用があったのかな?」

「…………」


 おっと、いけない。いきなりすぎて警戒されたか。


「ここの村人達は?」

「ああ、あいつらは重犯罪者だったんだ。俺達が成敗したからもう安心だぞ!」

「…………そう」

「もう俺達は出発する。こんな所にいてもアレだ。お譲ちゃんも一緒に来いよ」

「…………お断りするわ」

「そう言うなよ。悪いようにはせんからさ」


 近くにいた仲間が手を伸ばす。


 ザシュゥゥゥ


「へっ?」


 伸ばしていたやつの腕が宙に舞った。


「ほう、中々の腕前だな。気に入った。青木、ヤツの腕を直してやれ。っと、自己紹介がまだだったな。俺はタッチャン、神託の勇者だ!」

「……この状況でもまだ理解できていないようですね」

「は?」

「私は貴方達蛮行を止めるためにきたのですよ」

「ぶぁははは!」


 俺は思わず笑ってしまった。今何といった?蛮行なんて、神の使徒たる俺に間違っても言っちゃダメだろう。ま、それよりも何より――


「俺達を止めるだと?レベル20程度のお前が?レベル90以上がごろごろいるこの俺達を?」


 そう、それは圧倒的なまでの俺達の差をこの女は分かっていないのだ。俺は第3回目の失敗を活かし、【ステータス閲覧】を取得している。相手の能力が丸分かりなのだ!


 わざわざ鴨が葱しょってきたようなものだ。これを笑わずにいられようか!


「そういうことなら、ちょっと痛い目みてもらおうか。安心しな、譲ちゃんは上物だからちゃんと活かしてヤルさ!」

「下種が」


 いいね、その反抗的な態度!後で泣き顔が楽しみだ。


 俺が女と話してる間に、皆臨戦態勢に入れたようだ。


「わかってるとは思うが、殺すなよ。楽しめなくなる」

「へぃへぃ。俺達に回すまで壊さないでくださいよ」

「おう。努力しよう」


 女は相変わらず自然体で立っていた。馬鹿なヤツだ。レベル差をハッキリ言ってやったのに、まだ力量差を理解できていないようだ。


 女の背後から隙を窺っていた王国兵が、サーベルを振り下ろした。あー体に傷入っちゃったかもしれんな。


 ドサッ!


 俺はそう心配して見ていると、"王国兵が前のめりに倒れた"。

 慌てて女の姿を探すと、離れた所で剣を振りかぶっていた。


 いつの間に移動したんだ!


 女が移動した後には、俺の部隊の死体の山が築き上げられていった。


 何なのだこの女は!


 "先程見た"ステータスからは想像もつかないような、速度で次々と俺の精鋭部隊を屠っていく。


「注意しろ。思ったよりやるようだぞ!」


 どうなってやがる!?

 俺は注意を呼びかけながらもう一度【ステータス閲覧】を起動してみる。先程みたのと比較してみる。やっぱりレベル20のごく平凡な剣士だ。


「そうね…貴方達には少し"絶望"というのを味わってもらうのもいいかもしれないわね」


 不意に女がそう呟いた。そしていきなり俺が【ステータス閲覧】で見ていた画面にノイズが走った。

 慌てて注視すると、ノイズが消えた後には信じられないモノが表示されていた。


==================================================

ティティア・ベルナール Lv.8793 『ヴァルキリー』『魔王』『行商人』

HP: 247156/247156 MP: 169878/169878

STR   24679   VIT   24504

INT   25483   MEN   22780

DEX   16965   AGI   18827

==================================================


 桁が違った。全て俺のパラメータと2桁違う。


「あ、ありえん!!」


 俺は、思わず叫んでしまった。よくよく見ると職業欄に――


「『魔王』だと!何故こんな所に!!クソっ」


 美しい姿をしていて騙されていた。魔王め姑息な手を使う……


 だが、どうする?俺には神剣の力と【限界突破】があるとはいえ、いくら強化しても敵の能力値には遠く及ばない。

 撤退するしかない。世界のために何としても俺が生き残らなくては!!


「助けてくれ!」


 気づいたら俺は土下座をしていた。


「…………」

「そ、そうだ!俺が手を回せば、討伐隊を引かせることができるぞ。な、助けてくれたらそう取り計らってやってもいいんだぞ?」

「助けを求めた人達に、貴方方はどうされましたか?」

「あいつらは、どうしようもなかったんだ!俺達の言葉に耳も貸さずに……」

「もう良いです」


 そう聞こえた後、俺の意識は暗転した。





side ティティア・ベルナール



 やはり、こいつらは最後の最後まで腐っていた。

 何故、もっと早くにこいつらを始末しなかったのか、後悔の念が付きまとう。

 私がもっと早く――、一日でも早く決断していたら少なくともこの村は滅びなかった。


 リーダーを倒した後少しばかり生き残らせようかとも思っていたけど、身勝手な命乞いしかしなかったので殲滅することにした。

 前日まで、個々の能力や逃走手段を念入りに調べていたので、問題なく1人も逃がすことなく退治できた。


「はは、勇者を退治する魔王か――御伽噺と全く逆だわ」


 つい、呟きがもれてしまう。


 かつて御爺様たちに読んでもらったお話の勇者と魔王の立場が真逆。

 勇者の血を引きながら『魔王』の職業をもつ私。

 いつ見ても歪な存在に私は思えてしまう。


 魔王の称号と職業を手に入れてから、何度も死のうと思った。だけど、出来なかった。自ら命を絶つことは教義に反してしまうからだ。


 ならば、せめてこの魔王の力を私の家族を奪った戦争を止めるために使おう――そう私は決心している。


 さて、長居は無用だ。

 神剣を回収して、しかるべき者に渡してもいいけど、リスクが高すぎる。

 それでなくても、このアルトヘイムの神剣は現在マスター権限所有者が不明で大問題なのだ。これで紛失でもして不用意に問題を大きくするのは良くない。


 私は、"魔物の襲撃で被害が出たのでこの村へ増援を頼む"というニセの救援要請を伝書鳩に持たせ別部隊に向けて放った。

 その後、数キロ離れた遠くから別働隊が到着して神剣を回収するのを見届けてから、完全にその場を離れた。



 新暦5005年6月11日、アルトヘイム国神託の勇者全滅の報はすぐに世界中を駆け巡った。

ご清覧ありがとうございました。


次回は第2章12節です。次回はウィルくんたちのお話です。


勧善懲悪ができるのは物語の中だけといわれます。物語でもこういうのは少なくなってきているそうです。そして、主人公が無茶苦茶やる物語も増えてきているそうですが、やっぱり罰がない(犯罪)無双なんてのはどうも私の性に合わないようです。今回は主人公じゃありませんが、限度が過ぎるものには罰がないといけないと思っています。まあ、異世界だから犯罪じゃない可能性あるんだけどね、法律違うし、国によっては適応外だから…。


最近、投稿直後に読み直す時間が取れずに添削もれが多数でてきてるようです。すみませんでした。

そして、指摘箇所の手直しが遅れ気味で、指摘してくださっている方に本当に申しわけなく感じています。ちゃんと見てますのでどんどん指摘してください。

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