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異世界転生からの世界革命  作者: アーシャ
第2章 ウィルルアルトの幼児期
27/52

7節   ウィルとルーシャの日常 その1

第2章7節の改訂版(15/2/12)です。


訓練?の様子を描いた節です。

side ウィルルアルト・スヴュート



 意外と為せば成るものだ――最近の俺はそう実感している。



 例えば、俺の内面的な問題も、時間はかかるが解決できると感じている。


 "自分を変えるためにまず一歩"と決意したあの日以降、俺は劇的に行動を変えたわけではない。ただ心持ちを変えて行動しただけだ。その結果、今までに見れなかった景色を多数見ることができている。

 マルコとの関係も悪戯をするただの悪餓鬼同士から自信をもって腐れ縁の"親友"と言えるようになっし、トリシアさん一家を見ても尊敬と憧れの念を純粋に持てるようになった。

 自責の念が無いといえば、嘘になる。未だ消えないのは俺が過去を忘れていないということだが、最近の俺はそれでいいと思えるようになってきている。その失敗があったからこそ今の俺があるのだ。傍から見るとさぞ酷い男に見えるだろうが、次に活かすことでしか過去が無駄でなかったと証明できないと俺は考えている。もしもだが、もしも前世の家族に何かできることがあったなら、俺は可能な限り何でもすると秘かに決意している。


 他にも、俺の考えていたチート能力も、気分を変えて考えていたらあっさり出来た。何事も前向きに、積極的に行動すれば自ずと結果は出てくるものだな。

 種を撒かないと芽は出ない――失敗を恐れて行動しなければ何も結果はでない。考えてみれば、当たり前のことだ。"これがダメならば次を次を"と切り替えることができれば、失敗の数だけ目標に近づくことができる。二度目の人生で初めて真の意味で理解できた。


 ああ、そうそう。ここで俺の作った【夢幻図書館】の機能とかの再確認をしておこうか。


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夢幻図書館[10]

派生:【固有図書館】+【鑑定】+【筆写】+【模写】+【データベース】+【時空魔術】(全てLv.10以上)


書籍などを仮想化(デジタル化)し保管(作成)、検索、参照が可能

・スキルレベルに応じて他スキルとの連動が可能になり、処理速度も向上する。

 Lv.1 【データベース】との連動

 Lv.2 【筆写】及び【模写】可能なモノを仮想化し保存

 Lv.3 術者本人の行動記録(ログ)の自動保管

 Lv.4 パーティの行動記録(PTログ)の自動保管

 Lv.5 【鑑定】との連動

 Lv.6 【固有図書館】との連動

 Lv.7 【夢幻図書館】内で、新規で仮想書籍執筆可能

 Lv.8 【並列思考】等の脳内処理速度向上スキルとの連動

 Lv.9 【暗号解析】等の解析スキルとの連動

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 一部説明文が変更になっているが、これは【スキルメイキング】を使って一部を"作り直した"からである。

 この再定義ができたことで、スキルの仕様変更は可能であることが俺自身でも証明されたわけだ。先例をあげるならば、火属性の基本的な魔法【ファイアボール】などがある。【ファイアボール】は火の玉を作り出して攻撃するスキルだが、最初期では火のボールを手のひらに出してそれを投げる仕様だったらしい。それが長い年月をかけて、玉に回転が加わったり、玉が直接飛んでいったり、複数の玉を作る術者がでてきたりと色々変更されていったらしい(その結果派生したスキルもある)。

 まだハッキリとした検証はできていないが、スキルの仕様変更に必要なSPは使用者の数が多ければ増大するのではないかと感じている。俺が作ったオリジナル以外のスキルでは仕様変更ができなかったからだ。これは、仕様変更の影響がでるのは変更後に取得する者に限ることにも影響しているかもしれない。

 これらのことを考えると、この世界の法則は常に住民によって干渉されているといえるのではないか?無秩序な干渉の結果、滅びに向かっているのではないかとも感じている。が、これが法則内での出来事の可能性も高いので今のところ何とも言えない。


 閑話休題。


【夢幻図書館】は、魔力で出来た実態のない書庫だ。


 前世の書籍関連が一時的に入手可能になったとき、俺はその特性を最大限活かすためにまずはIT関連の書籍を取り寄せることにした。

 前世の情報処理に関する技術はこの世界よりも遥かに進んでいる。物理法則が違うので一部は実現不可能なのは織り込み済みだが、予想以上に利用できた。これは情報理論や情報処理論の本質が数式を取り扱うものであったからだ。俺の直感――数の数え方などの概念や法則などは共通だろうという予測が見事に当たった結果だ。


 そこで、俺は"記録の仕方"などを大幅に改善し、それまで以上の高速処理を可能とした。


 その後は流れ作業だった。

 【固有図書館】に取り寄せた本を格納、データの吸出しと記録用データへの書き直しをして【夢幻図書館】にデータを保存する。全て終われば次のを取り寄せ、同様の作業をする。この作業をMPが許す限り、母さんとルーシャとの訓練の合間にせっせとした。


 全ての前世の書籍などを変換し終わったのは、タイムリミットである俺の2歳の誕生日の5日前だった。

 ギリギリだったが、なんとかなった。

 ちなみに、タイムリミット後に記録している情報が消える心配があったが、そんなことは起こらず今も俺の【夢幻図書館】に格納されている。

 今は格納した莫大な情報を整理し、同じものを纏めたりしてできるだけ無駄を排除する努力をしている。【夢幻図書館】に大量の情報を格納しても魔法処理能力は変化しないし、一見意味ないように見える。が、検索対象を少なくすることで検索速度は上がるし、何より【夢幻図書館】に蓄積できる情報量には限度があるからだ。もっとも俺のMP増加させたりデータ形式を工夫することで、この限界値は引き上げることは可能ではあるが。



 そして今、俺はルーシャとの訓練に向かうために用意をしている母さんを待ちながら、日課となっている【夢幻図書館】の書庫整理を行っていた。




side ルーシャ



 あたしの名前はルーシャ。もうすぐ2歳になります。


 だだいま、マルコお兄ちゃんとウィルくんちに遊びに来ている。


 ウィルくんはよく分からない子だ。


 最初会ったときはなんだか凄く嫌な感じだったウィルくんだったけど、次の日に顔を合わせた時にはそんなの感じなかった。なんでなんだろうと、みんなに聞いても"あたしのおかげだー"って言ってくれるだけでよくわかんない。

 ウィルくんは暇さえあれば、ぼーとしているかスキルの訓練ばかりしている。あたしやお兄ちゃんが誘わないと、ずーと遊びもしない。ウィルくんにとってはスキルの訓練があたしの遊びなんだよ、ってシャルおばさんが言ってたけど――お絵かきとかのほうがずーっと楽しいのに、よくわかんない。



 あ、ウィルくんを発見した。相変わらずウィルくんは椅子に座ってぼーっとしている。


 お兄ちゃんを見ると、ニコリと笑って頷いてくれた。

 早速、あたしとお兄ちゃんはスキルを準備する。今日はお兄ちゃんとの合作だ!


 お兄ちゃんがウィルくんに【レビテーション】を一瞬早くかけ、その隙にあたしが【生活魔法】で椅子を後ろにずらす!

 【レビテーション】は対象を軽く浮かせたりすることができる付与魔法で、浮いてる時間も調整できるから便利なんだって。


 いつもどおり、ウィルくんはあっさりとお兄ちゃんの魔法にかかっちゃった!

 ウィルくんってホント魔法にかかりやすい!

 パパたちにしてもレジストされちゃって、いっつも上手くいかないのにウィルくんはいつもかかっちゃう。


 あたしが椅子をずらすと、ウィルくんはあっさりと転びました。


「「いぇい!!」」


 成功だ!

 あたしは兄さんとハイタッチをしました。まだウィルくんは起きてきません。


「いつもながら、ウィルはかかりやすいなー」

「隙だらけだもんねー」


 あたしはウィルくんのほっぺを突いてみます。まだ反応がありません。


「……ふぅ。相変わらず突然来るよなー、マルコとルーシャは」

「はは。相変わらず隙だらけだな、ウィルは」

「うんうん」

「ったく、俺じゃなきゃ下手したら怪我するぞ?」

「ウィルくんだからするんじゃない!」

「お前じゃなきゃレジストされて出来やしないよ」

「そりゃどうも。はぁ…いい加減、強制中断の方法みつけんといかんな……」

「なんだ、またスキル訓練でもしていたのか?」


 ウィルくんは1人でいるときはいつもスキルの練習ばかりしています。

 おばさんに褒められたいのもわかるけど、あたし達みたいにもっと楽しい遊びをすればいいのに――何だか頑張りすぎな気がします。


「ところで、今朝はこんなに早くにどうしたんだ?もうすぐ母さんと一緒にお前んちに行くんだが?」

「ふふふ、今日こそは突破してみせるのだ!」

「のだー!」

「あ――あれか。ま、やってみっか」


 あたしの家には特殊な結界が張られています。シャルおばさんが町中は危険なのであたしの安全のために設置してくれました。もうちょっと成長したら出られるようになるらしいのですが……お兄ちゃん達は普通に出入りできてずるいって、思っちゃうのは仕方ないよね。

 なので、あたしの家から外に出ることはできないのです。


 そこで、ウィルくんちなのです。

 ウィルくんちにはそんなの全く無いのです。ウィルくんちは大きなお庭に囲まれています。今日こそはお庭の端まで行ってみるのです!



 あたし達はさっそくお庭に出ました。おばさんが気付くまでが勝負です!


 スタスタスタ……


 あたし達は歩き続けます。いつもながら、木がいっぱいの所にはすぐ入れるのに、中々奥に行けません。


「うーん。全然先に進んでる気がしないなー」

「そりゃ、進めていないからだろ。はぁ……歩く以前の問題なんだがな…………」

「ウィルくん最後のほうよく聞こえなかったんだけど?」

「あ――俺達いつも方向感覚失ってるなーって」

「何言ってるんだ。俺はわかるぞ、家はあっちだ」


 そういってマルコお兄ちゃんが家の方を指差します。あたしでも、"屋根が見えている"ので余裕で方向がわかります。


「ウィルくんって本当に方向音痴だよねー」

「はぁ…………そうだね」


 なんだかウィルくんが疲れたような顔をします。


「この分じゃ母さんの"結界内"の幻術を見抜くのはまだ先かな……」


 まだ何かウィルくんがつぶやいています。悔しかったのかな?ちょっとかわいい。



 しばらく歩いていると、シャルおばさんに捕まりました。いつも気配もなく突然後ろから襟首をぐっと持ち上げられます。


「マルコ君、ルーシャちゃん。今日のお遊びはここまでよ」

「シャルロットおば…」

「お、ば?」

「お、お姉さん」


 いつも、お兄ちゃん達はシャル"おばさん"のことを"お姉さん"と呼びます。


「今日もダメだったなー。シャルおばさんが来ちゃった」

「まあ、ここは母さんの"庭"だしなー」


 さて、今日の冒険はここまでです。

 今日はシャルおばさんは何を教えてくれるのかな。いつも楽しいお話を一杯してくれるので楽しみです。

ご清覧ありがとうございました。


ルーシャ達子供組がウィルの実力を理解できないときの日常風景を描いています。

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