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異世界転生からの世界革命  作者: アーシャ
第2章 ウィルルアルトの幼児期
24/52

4節   完成、夢幻図書館

第2章4節の改訂版(15/2/8)です。

side ウィルルアイト・スヴュート



 ルーシャに初めて会ってから約5ヶ月が経った。


 俺はあの日からスキル開発に精を出しているが、中々うまくいかずに悶々とした日々を送っている。


 スキル作成を試みるには、具体的な効能をある程度定義することと大量のSP(スキル経験値)を用意することが最低限必要になる。作成に挑戦した結果、成功になるか失敗になるかは運としか言えないが、定義内容によって確率は左右されるのではないかと考えている。


 だが――この5ヶ月間、俺は挑戦(試行)することさえ出来ずにいた。定義が未完成すぎて【スキルメイキング】を使っても候補にさえ載ってくれないのだ。


 俺が作ろうとしているのは、本などの情報を脳内記憶ではなく脳内から参照できる形で外部に記録させておく方法の確立だ。


 スキルはあくまで手段ではあるが、この世界ではあらゆる技術はスキルとして表示される。つまり、スキルを手に入れることが技術の確立を意味するのだ。

 なので、スキルの完成が目標となるわけだが……目処が全く立っていない。約1ヵ月後に地球の大量の書籍が見ることができるようになっても、これでは意味が無い。


 焦ってもいい案が浮かぶわけもなく…俺は現実逃避気味に最近の近況に思いを馳せることにした。



 この5ヶ月は色々なことがあった。


 なんといっても一番は、トリシアさんとレオボルドさんに出会い、その子供であるジェルマン、マルコと友達になったことだ。


 ジェルマンは長男で何処となく父親に似た『鍛冶師』を持った子供だった。この年で家業の手伝いをしていると知った時は本当に驚いたものだ。聞けば、この世界では5歳ぐらいで弟子入りして働き出すことはそう珍しいことではないらしい。教育機関もあまり発達していないので、働きながら勉強するってことなのだろう。


 マルコは次男で、『付与魔法使い』を持った元気一杯悪戯大好きな3歳児だ。去年ルーシャが産まれる少し前に天職を覚醒して以来、付与魔法を使った悪戯を覚えてしまったらしい。

 意外と俺と気が合い、俺に自分が考えた悪戯を教えてくれてくれている。突飛な発想で魔法を使うため、意外な運用方法が見つかったりもしている。殆どが戦闘には使えないようなお遊びではあるが…

 お陰で俺達は色々なことを考えては馬鹿をして母さん達に怒られまくっていたりする。


 俺がしたかった何も考えずに遊べる友達を作るって目的の1つを果たすことができた。まだ1人だが、本当にこの世界に来てよかったと思う。


 んで、友達には多分まだなっていないが、ルーシャともおそらく仲良くなれていると思う……


 ルーシャはトリシアさん達の末っ子で、俺と同年代の天職『神凪』が未覚醒の女の子だ。俺を見かけるといつも這いよってきて、ペチペチいろんなところを叩く。

 最近、叩く勢いが強くなった気がする――多分親愛表現なのだと思いたい。断じて嫌われているわけじゃないと……


 天職で思い出したが……俺は前回(第2回)の勇者の集いで、天職の存在とその対応について議論した。

 転生者のうち既に半数の者が親里から離されていたが、その他の者は隠し通せているようだ。だが引き離された半数も、そう酷い扱いを今のところ受けている訳ではないとのことだ。

 しかし、前回から比べて召喚組は死者0に対し、転生組は生存者が27人から25人と死者を2人出している。慎重に行動しておいて損はないだろう。


 前回の勇者の集いといえば、1つ印象深いことがあった。

 どうやら召喚組は内部分裂をしたようだ。相変わらずタッチャンを中心としたグループが34人、離脱した者達が24人と母さんの情報どおりではあったが――あそこまでギクシャクしているとは思わなかった。

 何人かの転生組も気付き勇気あるものが質問したが、その時の荒れようといったら見ていられなかった。


 ああ、あと1つ印象深いことがあったな。

 離脱した者の中には【スキル閲覧】などの鑑定系のスキルを持った者が多数いたのだ。スキルレベル的にも能力値的にも偽装は見破れないとは思うが、レベルは相手のほうが圧倒的に上である。皆がいる前でバラされないかとかなりヒヤヒヤした。

 俺はタッチャンの行動は余り好きになれないので離脱した者か転生者の誰かを味方につけ、偽装がばれた時に援護してもらおうかと本気で悩んでいる。


 む、鑑定……【鑑定】――そうだ!!

 取得を控えていた【万物の知識】を取ってもう一度定義を考えてみるか!!


 本来【鑑定】を覚えるためには【万物の知識】などを習得していなければならない。だが俺には【能力値手動分配】があった。種族などの条件を満たしスキルに対する十分な知識あれば取得できるのだ。そのため、本来前提条件として覚えておくべきスキルを取得後に取得するかを選べるという変な状況にいる。


 そう、【万物の知識】は取得できるのにワザと取得していなかったスキルの1つなのだ。


 理由は幾つかある。


 1つ目は、先入観無しにまずはこの世界を見てみたかったからだ。

 【万物の知識】の効果は、取得者にレベルに応じた一般的な知識を与えるというものだ。つまり、取得者は一般常識に基づく知識を吹き込まれることになる。それは多方面からこの異世界を見るということを阻害する大きな要因になりかねない。なのでもし取得するならば、まずは自分の目である程度見て判断基準を作ってからにしたいと思っていたのだ。


 2つ目は、未知ならではの、発見、驚き、楽しさがあると俺は思っているからだ。

 通常の手段で世界が救えるならば、"神様"は俺達をワザワザ異世界から連れてきたりはしないだろう。つまり、俺達の"ビギナーズラック"に期待していたのだ。いきなり全てわかってしまっても面白くないと俺も思っていたので、ギリギリまで"神の意思"とやらに便乗しておいたのだ。


 他にも、必要性を感じなかったとか、【暗号解読】などでSPを稼ぐ邪魔になりそうで取得していなかったとか、取得を控えていたら存在そのものを忘れていたとかあるが……


 ま、思い立ったが吉日!

 ありとあらゆる"情報"を使って、あらゆる"環境に適応"することを目指す。これが俺のプランであり、俺が考える強者の姿勢だ。それに今は母さんの願いのためでもある。その為の努力を俺は惜しみはしない!!


 俺は【技能統制】を起動して、【万物の知識】を取得することにした。


 【万物の知識】は本来【○○学】とか【○○理論】とか【○○語】とか様々なスキルを累計千以上数以上所持し、それらを全て統合することで取得が可能なスキルだ。俺は該当するスキル数は18ほどしかなく、全然足りないので統合でスキルを取得する方法は使えない。


 なので【技能統制】で強制的に直接取得するしかないわけだが……スキルレベルはどうなるのだろうか?

 スキルレベルは統合の場合、一番低いスキルレベルが統合後のスキルレベルに適応される。本来の該当スキルのレベルが適用されるならば、レベルを全て10まで上げているので10になるはずだが、直接取得なので1になる可能性もある。ま、取ることには変わらないので、思い切って試してみるか。


 俺はSPを消費して【万物の知識】を取得した。取得直後のレベルは1だった。ちなみに、統合した場合と同様に【物理学】や【薬草学】などの俺が学問系統に分類していた全てのスキルは消えた。【万物の知識】に統合、集約されたようだ。

 ついでに【万物の知識】のレベルを上げられるだけ上げた。スキルレベルは10まで上げられた。



 さて、新たに得た"知識"でスキルの定義を見直しますかね。上手くいくといいんだが……



 その後何度か試行錯誤をした結果、【スキルメイキング】の作成可能項目に表示されるようになった。

 これで目的のスキル作成に挑戦できる。一度の挑戦に必要なSPは150万、何度か試すことができる量だった。


 早速、作成を試みてみる。見事7度目で作成に成功した!!

 すぐに決めていたスキルネームをつけて完成させる。


============================================

夢幻図書館[1]

派生:【固有図書館】+【鑑定】+【筆写】+【模写】+【データベース】+【時空魔術】(全てLv.10以上)


書籍などを仮想化(デジタル化)し保管(作成)、検索、参照が可能

・スキルレベルに応じて他スキルとの連動が可能になる

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 "夢幻"とつけたのは、実際にはその場には存在しない幻を扱う意味的なことと、"無限"に収容できるようにとの思いからの語呂合わせの結果である。無限に収容できるかどうかの検証や、収容方法(データ形式)をどのようにするかなどいくつかハードルがあるだろうが一応の完成した。


 【万物の知識】を取得したことにより、地球とこの世界との差を理解することで製作が可能になったのだろう。この世界の情報理論には独自の概念もあった。全体的に非常に未熟だが、計算機が発達していない世界でこのような情報を扱う学問があること自体が驚くべきことだろう。スキルでは一般的なことしか分からないが、後で実際に足を運んで詳しく調べてみる価値はある。


 最初に考えていたプランでは【固有図書館】の内部に仮想的な収納スペースを作る予定だったが、それでは上手く安定せず使い物にならなかったようだ。【時空魔術】を利用し時間が止まった空間――風化などによる情報の劣化がない空間を作れるようにならなければ、収納スペースはできずこのスキルは完成しなかった。『時魔法使い』を偶然獲得したから出来たようなもので、運がよかったとしか言えない。


 今思い返すと、かなりギリギリなプランだった。

 もっとも、今から実際に使ってみて思い通りの動きが出来るか実験をしなければプランが成功したかはわからない。明日はルーシャの誕生日で、色々と行う予定がある。無理のない範囲で確かめよう。


 俺は【夢幻図書館】のスキルレベルを最高にし、近くにあったメモ帳を使ってて検証作業を開始した。

ご清覧ありがとうございました。


投稿遅れてすみませんでした。最近、仕事が忙しくて思うように時間がとれなくて更正が遅れ気味です。


この節は書き直そうと何度もして、没になり結局旧版から殆ど変わらない状態で投稿しています。出来たら、説明くさいこの節をどうにかしたいのですが…いいネタが浮かびませんでした。ご指摘があった日常ネタ追加は何とか書けそうですが…更正って難しいですね。凄く時間がかかるよって言ってた意味が分かった気がします。

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