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異世界転生からの世界革命  作者: アーシャ
第1章 異世界ルールを覚えます!
2/52

1節(1) 異世界からのいざない (1)

第1章1節の改訂版(15/1/22)です。


分割した1番目です。

用語説明などが中心の回です。かなり長めの節です。

side 天宮(あまみや)(みつる)



 ある日仕事を終えて家で寝ていると…神様に拉致られました…

 そう表現するしかない。いや実際現在進行形でそのままだがな!


 時間は少し遡る。


 俺、天宮光(あまみや・みつる)は極普通の一社会人だった。

 中高とそれなりに名が知れた進学校に通い、一流大学に進学し、そこそこの企業に就職し、現在仕事もそれなりに上手くいっている。数年前お見合で俺には勿体無いぐらいの妻と出会い、今では1男1女の父として頑張っている。


 今年35歳となるこの歳で生活水準が平均以上の家庭を築けている俺は、世間一般的には所謂"勝ち組"って見えていることだろう。

 確かに俺も成功と思うが――ただ一点"妻の笑顔がない"のが本当に辛い。近所付合いとか社交辞令とかで普通に笑顔を見せるが、本心から笑った妻の顔は見たことはないのだ。

 "俺には妻を満足させてあげられないのか"とか"何処で間違ったんだろう"とか常に考えてしまっている。子供とも距離を凄く感じる。本当に家庭のこととなるとネガティブ思考になってしまう自分に嫌悪する。


 その日も平日のいつもとかわらない生活を送っていた。

 普通に会社に行き、夜遅く帰り、妻の作ってくれた夕飯を温めて独り寂しく食べ、妻を起さないよう注意して横に寝た。妻とは朝にほんの少しの会話のみ、子供とは話しさえ出来ていない。仕事のせいだとは言えなくもないが、休日も家族と会話しようとしても煙たがれる。

 どうすれば笑顔を見せてくれるのか……俺はいつものように改善策を模索しながら、眠りについたはず(・・)だった。



 最初、俺はこれは夢かなと思った。周りには白い光しかない。

 だが、すぐに違うと結論づけた。知覚などの感覚が凄くリアルで、試しに抓ったらちゃんと痛覚もあったからだ。

 この状況を説明できる科学的根拠は全くないが――死後の世界か、異世界召喚かのどちらかだろう。昔読んだ空想小説の場面と酷似していたのでそう仮定しておいた。


 しばらく周囲を注視していると、何も無い空間に次々と人が出現してきた。よく見ると、見知った顔が並んでいる。


「あれ、俺なんでここにいるんだ?ってかここどこだ?」

「ヤス!?久しぶりだな!ってここ何処なんだ?」


 どうやら高校時代の同期約300人が今この場に集まったようだ。

 久しぶりに会った級友と再会を喜ぶ声などがそこかしこで聞こえるが、何が起こっているのか分からず呆然としている者もいる。

 皆に共通していえることは、突然のことで酷く興奮しているということだろうか。俺を含めて、皆惑乱しているようだ。


 皆もそれなりに勉強をしており、管理職などのポストに就いている者も多い。そのおかげか、今は現状把握をすることが最優先事項だとすぐに皆が思い至った。

 すぐに代表が決まり、協力して情報収集ならびに方針決定をすることになった。後で思うと、これは未知の状況で集団行動で少しでもリスクを減らしたいという本能的な行動だったのだろう。



 代表が決まったタイミングを見計らったように、俺達の前に中性的な顔立ちの美青年が現れた。


「ふむ、流石だの…」


 突然現れた男が声を発した。私達に緊張が走る。


「あなたは誰だ?」


 さっき代表に決まった田中達也が答えた。


「突然のことで戸惑っている者が多かろ。ワシはお主達の概念で言うならば"神"というのが最も近いじゃろうな。お主達が今この場にいるのは、ワシが選んだからじゃ」


 どうやら、この男は呼出した張本人である"神様"らしい。

 突然のことで反応ができなかったのか、流石にいきなり怒鳴り散らしたりする者はいなかった。


 しばらくすると、極一部から怒鳴り声が上がったりもしたが、大半の者は静かにこの男の動向を慎重に見極めていた。今は情報収集が第一だとわかっているからだ。



 そうして冒頭に戻るわけだ。



 田中は顔を引き攣らせぎみに自称神様に尋ねた。交渉は何事も強気でいかないとダメと思って態度を変えずに尋ねているようだ。


「仮にあなたが神様として、俺達をここに呼んだ理由はなんだ?」

「まぁ、そう警戒するなっていうのも無理があるが、警戒はしないで、ワシの話を聞いてほしいがのぉ」

「状況が状況だからそこは例え神様だとしても許していただきたい」

「まぁいいがの。お主らを喚んだのは他でもない頼みたいことがあったのじゃ。最初に断っておくが、頼みなんで強制はしない。そのことを踏まえておいてくれ」

「わかった。話を聞く前に各々にメモ用紙などをいただけないだろうか」

「よかろう。個人のメモ帳を作ってやろう。この空間でのみ存在できる代物だがな」


 そういうとメモ帳が現れた。何もないところから物が出てくる。手品の類では無い…とすると本当に神様の可能性が出てきたな。


「では、ちと長い話になるが、辛抱して聞いてくれ。実はある世界が滅びに瀕しておっての、その世界を救ってほしいんじゃ。お主達を選んだ理由だが、それなりの頭脳をもち、もう一度やり直したいと思っている者が多いからじゃ。さっきの対応をみても状況を正しく把握しようと連携しておったじゃろ。また個々の能力においてもお主らは一定以上の水準の者が多い。自主的に行動する可能性が高い者を選んだ。過去の者達は上手く行かなかったからの。失敗からの経験じゃ」


 あまりの事で呆然と聞いている人もいたが、メモを取っている人が大半だった。

 俺もメモを必死に取りながら話を聞いていた。


 話はまだまだ続く。


 "過去の者たちは己の強大な力に慢心しダメだった"とか"向かう世界は剣と魔法のファンタジー世界だ"とか色々話していた。


「だいたい理解してくれたようじゃな。ここまでで何か質問はあるか?」


 皆、何か文句を言いたそうだが、とりあえず現状把握が先だと思い不用意な暴言はさけていた。


「仮に行くとして、元の世界の具体的なフォローの内容は?」

「具体的には死亡扱いにしっかりとする。あとは記憶をちょちょっと弄ったりもするぞ。まぁそれだけじゃ不十分ってやつも多いみたいだのぉ……ふむ、妻や子供が心配なのか。まぁその辺は心配せんでもいい。今回はワシが必要と思って集めたんじゃ。特別に今後20年の衣食住等をおぬしらがこの世界に居た時と同等以上になるようにしようぞ」

「どのような条件をみたすと世界を救ったことになるのか?」

「それは答えられない。ワシがあまり干渉してはいけないことになっておるんじゃよ。何でも全てを教えるというわけにはいかん。たとえ教えたとしてもその記憶は消去してから転移となる」

「世界を救ったとして、元の世界に返れるのか?」

「不可能じゃな。いくつもの魔法を上手く組み合わせて使うか新たな魔法を作ることで出来なくはないじゃろうが、限りなく不可能じゃろう」

「わかった、とりあえず一度仲間内で話合いをさせてくれ。ホワイトボードがあると助かるが…」

「うむ、よかろう。ホワイトボードを出そう。当然これもこの空間でのみ使えるやつじゃな」


 そう言うとでかいボードが3枚現れた。


「では話し合ってくれ。その後に行くか行かぬか聞くとしよう」



 みなは集まって今までの内容を検討した。


 胡散臭い話だが、あまりにもリアルで感覚のあるこれは到底夢とは思えない。メモ帳などが何も無いところから忽然と現れたことから少なくとも自分たちが知らない存在である可能性が高い。

 実際に全て本当だとした場合、これは人生がかかった内容である。皆真剣に今までのまとめを行った。もちろん、行くかどうかは多数決ではなく各々が判断することに決まった。


 ホワイトボートには言葉から推測される事態等もどんどん書かれていった。


=====ボード内容=====================================

1.異世界の救世主候補として神に喚ばれ、立候補するかどうか聞かれている

2.仮に立候補しなかった場合、今まで通りの生活にちゃんと戻れる

3.立候補した場合、今までの世界にはまず戻れない

4.異世界は剣と魔法のファンタジー世界で、ゲームのような世界である

5.方法は生まれ変るか、そのままいくか(召喚)と二通りある。

6.クリア条件(世界を救う)の具体的な条件内容は教えてもらえない

====================================================


 要点は皆粗方抑えているようだ。俺は判断のため俺のメモのまとめにも目を落とす。


=======天宮メモのまとめ=============================

・このメモ帳は異世界に渡る際に消える

・異世界の救世主として召喚されようとしている

・俺達には救世主としての素質がある(過去の失敗からの判断)

・力が強くても解決しない恐れがある

・向かう世界は滅びの危機に瀕している

・数値化されたファンタジーRPGゲームに近い世界と予想される

・元の世界に残す家族へのフォローは心配ない(神が保障する)

・行く場合は、転生と召喚とある

・一度異世界に渡ると二度と元の世界には戻れない可能性大

・異世界では魔法の開発が可能

・手ぶらで向かうわけではなく、特殊な力等を授けてくれる

・救う手段、方法などは影響の関係で言えない

・ここでの記憶は悪影響を避けるため消去される(全部ではなく一部と予想)

====================================================


 俺のメモにはボードの情報以上のものが予想として書かれていたが発言は控えておいた。本当は責任を気にせず発言すべきかもだが、あえて黙っていた。


 周りを見ると相談しあうものも結構いたが、俺は相談せずに独りで考えていた。己の道は己で決めたいからだ。

 俺は考えに没頭した。



 現実ではよくわからない変なパラメータばかりだ。

 "自分の本当の力はこんなものじゃない"とか"もっと上にいけたはずだ"とか、いい年こいて周りで言っている人もいるが――確かにこんな中二な発想の世界ならば可能かもしれないが、世の中そう甘くないだろう。


 行くメリットとしては、異世界ってことで今までの柵を皆無にできることだろう。転生でもすれば本当に人生をやり直すことになる。

 デメリットとしては、今の生活つまり妻子供を含めた全てを放棄しなければならないということだ。


 悩む、凄く悩む。妻と子供もいるが、あまり上手くいってるとはいえない。

 異世界に行くなら家族などのことは神様がフォローしてくれる。最低限先祖代々の家業がついでいくことと妻の安全さえ保障等を確約できれば、俺がいるよりもいいかもしれない。 俺がいなければ妻にもっとよい相手と一緒にいられるだろう。そいつに妻が笑顔を向けると考えたら殺してやりたくなったが、幸せになってくれるならば我慢しよう。異世界に行けば会うことはないだろうから、抑えられるはずだ。

 本当は過去に戻れるなら今の世界でやり直したい。


 本当に無責任な男だな俺は…これは家庭を守る自信がない言訳だな。だが、それでも…俺は異世界で人生をやり直したい。所謂逃げているのだろう。おそらくこのようなチャンスは二度とないだろう。



 俺はある程度考えがまとまると、周囲を見渡してみた。おおよそ各々決まったようだ。


「そろそろ決心はついたじゃろ。では行くものはこちらへ、元に戻りたいものはあちらへ移動してくれ。あまり長々としてはまずいからの。それと、これはタイムリミットじゃ。行くならば他にも色々言うことやチートを与える時間なんかもいるぞ。当然時間がくるまでしかできんぞ」


 そう言うといつのまにか現れていたタイマーを指し示しながら言った。


「みんな。いつまでも悩んでいても仕方ない。元に戻るにしても記憶無しで行方不明のまま時間がかなりたつのはまずいだろう」


 その言葉に後押しされたのかみなぞろぞろ動き出した。それぞれ半々ぐらいになった。

 もう移動する者がいないことを確認すると、神様が手を振った。すると忽然と元の世界を選んだ者達が消えた。元の世界に帰したようだ。



 残った者たちは多少の不安顔ではあるが、なにやら年甲斐も無く皆期待に胸を膨らませソワソワしていた。


 俺も浮かれているかもしれないが、独り静かに周囲の様子を見ていた。

 これから異世界に向かうんだ。情報はできるだけそろえて備えたい。


「さてと、お主らを送り出すにあたっての説明に移るかの」


 そう言うと"神様"は説明を開始した。内容をまとめるとこうだ。


========ホワイトボード(まとめ)======================

共通

種族、性別はここで決めたものとなる

職業、スキル、アイテムには5年の予約制で入手可能

召喚(転生)の時期と場所はある程度は指定可能


召喚の場合

1.召喚後すぐに意識は戻る

2.召喚時のレベルは設定可能

3.召喚時の年齢は人間種の年齢換算で15~30まで設定可能

4.外見を試しで今この場で見ることができる

5.名前はこの場で自由に設定できる


転生の場合

1.すぐには意識は戻らず、1ヶ月後に戻る

2.レベルは1で固定される

3.年齢は0歳で固定である

4.どんな外見になるかは今この場ではわからない

5.名前は転生後名付けられる

====================================================


 異世界における初期設定をある程度自分で自由に設定できるらしい。所謂ゲームでの初期設定みたいなもんだ。しかも、性別、種族、召喚(転生)場所、職業、スキルに所有アイテムなど設定項目は多岐に亘るみたいだ。


 何故こんなにも至れり尽くせりなのかと疑問に思ったが、理由をきいて納得した。

 その理由とは――過去に召喚(転生)した者達から得られた教訓だ。


 召喚の場合だが…召喚場所がマグマの中だったとか、昔はあったらしい。当然その勇者は即死…って有り得ないでしょ!それ聞いたときは馬鹿なんですか!?ホントって思った。まぁ今はランダムでもそのようなことが無いように、最低限の生命活動ができる場所にしっかりと召喚されるらしい。

 ランダムに無事召喚後、言葉が通じぬために処刑された等々、失敗例は色々あり…その反省を踏まえ、できるだけ召喚儀式で召喚してもらうようにしているとのことだ。今回はタイムリミットの時間に儀式を行うように各国に神託を通して伝えているとのことだ。任意の時間(タイムリミット後11ヵ月以内)に行くならば、場所は"○○国"とか"村の近く"とかそんなふうなアバウトな設定しかできないらしい。


 転生の場合、日付を指定されるとその日に生まれてくる赤子のどれかに割振られるらしい。反対に場所(親)指定するならばその子供が生まれる日が転生日時となる。ただし、一年以内に条件にあう親がいなければ、最後の日にランダムに飛ばすらしい。なんだか聞いていると赤子の命を書き換えているようだが、そのような心配はないらしい。まだ魂が宿ってない赤子にしか魂は入れないとのことだ。それを聞いて結構気が楽になったのは自分だけじゃないだろう。


 召喚時に年齢を設定できるのは、十分に肉体が動けるようにとのことらしい。どの程度がいいかは個人の好みで試せるらしい。

 スキルや職もなんで予約できるのか疑問に思ったが、過去の転生者が生後1ヶ月までの無意識のときにスキルを暴発させて死亡したらしい。職業の中には就くと絶対に覚えるスキルなんてものも存在するため、このような処置がとられるようになったとのことだ。

ご清覧ありがとうございました。


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