絡みはじめる歯車
わぁ〜。
ミリアってすごいのね。
ミリアについたクラウスとルイス。
ルイスはさっきからずっと馬車から顔をだし外を眺めている。
幸いルイスはミリアを気に入ってくれたようだ。
すごいわ。
ステーシャのお城は辺りが森一面で、町にでる事はあまりない。
でも、いま自分がみてる景色はすごく素敵だ。
人々がそれぞれ笑顔で店を営み客も笑顔でそれを眺めている。
そして、広場では踊っている人もいて、まるでお祭りをしているみたいに活気づいている。
「ミリアを気に入ってくれたか?」
それにルイスは笑顔でコクコク頷く。
すると、クラウスも嬉しそうに笑みをこぼす。
「それはよかった。
近々ミリアを案内しよう。
いつになるかはわからないけど必ず時間をあける。」
〜ほんと?
嬉しいわ。
私この瞳のせいもあって外にでられなかったの〜
「俺もそうだった。
気になって仕方がなかった。
けどな後々バカらしくなってきたんだ。
自分が生まれて来た姿を今どう言っても仕方がない。
それに、母上はこんな俺を愛してくださった。
自分と同じ瞳の子供が出来てうれしいって抱き締めてくださった。
それだけで充分だった。
それに今はお前がいる。
母上よりも愛してくれるだろう?」
なっ
自分に頷かせたいのかニヤニヤしている。
もう。
でもただ頷くのは負けたみたいでイヤだわ。
〜あなたがそれを勝る愛で私を埋めて下さるのなら〜
「もちろん。
何倍もの愛を捧げてやるぞ。
望むだけな。
ほらっ」
馬車の中にもかかわらずクラウスはおかまいなしにルイスを抱き締める。
それに反抗して腕の中でルイスが暴れる。
「お二人方。
もう少しでお城に到着いたします。
なのでイチャつくのはそれぐらいに。
声がきこえてます。」
マイルは笑いながら告げる。
「いい度胸だな。
邪魔するなんて。」
「すいません。
そりゃ愛しい事もわかりますよ。
でも、後はついてからどうぞ」
まっすぐまっすぐ馬車が進んでいく。
そして、キキーッととまる。
ついたのかと思いルイスは窓から顔を覗かせた。
そこには、沢山の騎士が並んでいる。
「おかえりなさいませ。
クラウス王子。」
「あぁ。
遅くなってすまない。」
クラウスはルイスに手をのばしながら告げる。
まさか、この状態でおりろと?
目立つじゃない。
「どうした?
はやくしろ!」
そう言ってもダダをこねるルイスにクラウスはチッと舌打ちをする。
気がつくとルイスはクラウスに抱き抱えられておろされていた。
キャッ
何すんのよともおこれない。
そんな自分に腹がたつ。
クラウスはその後も抱き方をかえてルイスを離そうとしない。
バンバン背中を叩いても表情ひとつ変えない。
「我がクラウスの后。
ステーシャ国ルイス王女だ。
皆の者やさしくしてあげてくれ!」
騎士達はハッと言いながら下をみていたがチラチラとルイスをみている。
なんだか、恥ずかしい。
入り口についたクラウスは少し惜しみながらもルイスをおろした。
「今からすぐに謁見の間に行く。
しかし、ルイスは服をミリアの物に着替えろ。
その方が俺がおちつく。
おい。
マイル手配を。」
「かしこまりました。」
何でクラウスの気分で服をかえなければいけないのだろうか?
まぁでも今さらいやとは言えない。
「どうぞ。
こちらへ。
わたくし、これからルイス様のお世話をさせていただきます。
アイラと申します。なれないことが多く大変だと思いますので何でもおっしゃって下さい。」
ルイスはそれにペコッとお辞儀をして答える。
アイラは部屋にはいるなりてきぱきと服を着せ替えていく。
しかし、着せられた服はステーシャの物とちがい、胸の開きが目立つ。
これは、ちょっとねー。
「今から謁見の間にご案内します。
あら、何かございましたか?」
ルイスの様子にアイラは声をかける。
答えたい。
けど、声が出ないし…。
「どうぞ。
こちらをおつかい下さい。
クラウス様が届けてくださいました。
事情もきいておりますので。
あっでも私だけで他の者は知りませんので。
おきになさらず」
手渡された万年筆とメモは真新しくまるで、私のために用意されたみたいだった。
そこに、はじめて書き込むのがドレスについてとは、どうもしっくりこない。
あっ。
そうだわ。
一枚目をちぎりさらりと文字を書き込む。
それは、しまいこみ二枚目にドレスの事をかく。
〜このドレス。
露出多すぎない?〜
アイラはフフッと笑う。
「そんな物ですよ。
とてもお似合いです。
さぁ参りましょう。」
案内されは謁見の間にはすでに国王や従者がそろっていて、入った瞬間視線があつまる。
そんなもの慣れてきた。
怯む事なくドレスを少しつかみ挨拶をする。
「よく。
来てくれた。
私はミリア国、国王メリスだ。
事情はクラウスからきいている。
何か言いたかったらメモにかいてくれ。」
ルイスはお礼がわりにもう一度お辞儀を繰り返す。
そして、クラウスの横へと行く。
「ドレス似合ってるぞ。
万年筆は気に入ってくれたか?」
ルイスは問いには答えずさっき切り取った一枚目のメモをクラウスの服につっこむ。
「ホッホッホ。
仲がよさそうでよかった。
これで、ステーシャとミリアは安泰じゃ。
最近はアジファーの動きが気になるからのぅ。」
「はい。
ステーシャでもそれは同じみたいです。」
「そうか…
まぁでも先に祝いだ。
今日の晩餐は共に祝おうではないか。
それには王妃もつれていく。
そうじゃ結婚式の日程や内容もきめなきゃならんのう。」
王妃様は私に会いたくないとか?
「ルイス。
王妃は俺が嫌いなだけだ。
気にするな。
行くぞ。」
クラウスは心配そうなルイスの手をひっぱり謁見の間から連れ出す。
「今日は城の中を案内してやる。
迷子になられちゃ困るからなぁ。」
なっ
いくつだと思ってるのよ!
でも広そうなお城だものね。
クラウスと、廊下を歩いているといつの間にかアイラが後ろをついてきていた。
そして、辺りの侍女はすれ違うたびにルイスをみる。
私やっぱり変かしら…
「ルイス様。
みんな珍しいからみてらっしゃるだけです。
気になさらないで下さい。
ルイス様は美しいのですから」
さらっと言われた言葉にルイスは頬を染める。
「当たり前だ。
我が后だからな。」
当然だとばかり言うクラウス。彼はとても機嫌がよさそうだ。
恥ずかしい。
けどこんなにもうれしい事はない。
たしかにミリア国に金髪はいない。
クラウスは赤髪だし。
まぁ髪の色なんてどうでもいいけど…
歩いていると前から黒髪の男の子があらわれる。
「あー。
お兄様。」
「久しぶりだな。
セリオン。
紹介しよう。
ルイスだ。」
「はじめまして。
僕は弟のセリオンです。
よろしくね。
お姉ちゃん」
この黒髪でアメジストの瞳をもち男の子どこかであった気がするのだけど…
うーん。
気のせいかしら。