運命への道
「ここがステーシャか?一年前とはだいぶちがうな。」
「それはそうでございます。一年前は裏道ですから。」
シルスがステーシャの事を話す。
シルスはステーシャとミリアのハーフでステーシャの地理にはくわしい。
城はまわりを森にかこまれている。
「ミリア国第一王子クラウスだ。」
兵が一斉に頭をさげる。
「よくぞ。いらっしゃいました。ご案内します。」
とうされた謁見の間ではすでに王が座っている。
ステーシャの国王サリアは国にあわず、穏やかな性格の持ち主らしい。
「よくぞ。来た。クラウス王子だな。」
「はい。そうです。
本日は我が国王からの手紙を預かってまいりました。」
「フム。どれみしてみよ。どれどれ。なるほど。クラウス王子は内容を知っているのかね?」
「いえ。
知りませんが私に関係が?」
「あぁ。
ステーシャとミリアの結び付きの話だ。」
「えっと。
それは、縁談という意味ですか?」
「あぁ、そうだ。
クラウス王子の元に我が国から嫁いでほしいと。」
もし、あの時の女との結婚だと喜ばしいが他なら今までの事が無駄になる。
どう返事したら…
でもこっちから言っといて断れないしな。
「そうですか。それは喜ばしいことです。」
「そうか。なら、我が国の姫に会っていけ。男だし好みがあるだろ。
ハッハッハ」
噂は本当みたいだ。
国王の笑い声に自然とクラウスにも笑みがこぼれる。
「では、そうさせてもらいます。」
「そうか。マイル呼んでくれ。」
家来に話かける。
「はい。かしこまりました。
3姫様をお呼びします。」
そう言うと王は難しそうな顔をする。
「いや。エリザベスだけでいい。」
「はっ。
かしこまりました。」
しばらくするとマイルは一人の女性と共にやって来る。
見惚れるほど美しいがその美しさはどこか妖しい。
「はじめまして。クラウス王子。
私、ステーシャの第二王女エリザベスです。」
エリザベスはひたすらクラウスに質問を繰り返す。
クラウスはめんどくさくて仕方なかった。
一方のエリザベスはクラウスの顔をみてからタイプなのか常に頬を赤らめている。
「では、そろそろ失礼します。」
そう言うとペコッとお辞儀をしてでていった。
はぁー
いくら綺麗でもあの姫と結婚なんて冗談じゃない。
「どうかね?エリザベスは?
なかなかのべっぴんだろう。」
このままではここに来た意味がない。
そう思いクラウスは王にきく。
「ステーシャの姫に金髪でアメジストの瞳をお持ちの姫はいらっしゃいませんか?」
「どうしてそんな事を問う?」
「それは…」
クラウスは少し言葉につまる。
しかし勇気をふりしぼる。
「昨年、ステーシャでお会いした姫が王族の印のネックレスをしておりました。
恥ずかしながら私は彼女に一目惚れをしました。
それから、后にするのは彼女しかないと考えております。」
すると王は途端に考え始める。
「うーむ。アメジストの瞳とはおそらくルイスの事じゃろう。けどなあいつは今結婚などできる状態ではないのだ。」
「どういう意味ですか?」
「それは今ははなせん。またミリア国の王と話し合いそれからじゃ。
今日の所は引き取ってくれ。」
本当はもっと問い詰めたいが流石に逆らえる相手ではない。
「わかりました。失礼します。」
城の中を歩きながらシルスが言う。
「残念でしたね。クラウス様。もう少しでしたのに。」
「別にいい。
どこの誰かがわかっただけで充分だ。
帰るぞ!」
城から出て庭を歩いていると
ドンッ
と誰かとぶつかった。
「すまない。
大丈夫か?」
コクッとうなずく彼女はあの時の彼女そのものだった。