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決着と叶った夢

 一つ相手の弱点となるべき要素を見つけることはできたが・・・

天使の能力に関しては、まるっきり分からん・・


 謎の結界術 

 空中浮遊

 光線


 ロイドの背後から急に出てきた光線これはこの半円状の結界全てから発動可能という考えて間違いない。最初っから背後に展開しなかったのは、さっきの不意打ちのために隠してたってとこかな?

 つまり、不意打ちが終わったてことは隠す必要はないわけで・・・

 本気の何かが来ると思い・・空中浮遊を解除し地上に降りた。


最大出力・・・天の射光(しゃこう)


「やっぱり出してきたな」

「ま、出さない意味も無いしね」


 さっきの光線・・天の射光と言われる技の最大出力、

しかも隠す必要が無くなったのか半円状の結界全てを覆うように発射される。


「この結界、やっぱり逃さないって意味も入ってたのね」

 その発言が遮られる様な形でロイドに直撃・・とてつもない轟音が鳴り響く。

結界の中が土煙で蔓延しロイドの姿が見えなくなる。


「やったかな?いやぁーあの余裕そうな発言からして何か隠し種も持ってるね、あれは」

 土煙が晴れ、姿が見える様になった頃、

少し土煙を被り。

「げほっげほっあー煙けむ」


 やっぱりかと呆れた顔をした天使は、それでも傷が一つもないことについて聞く。

「どうやったのそれ?」

「聞く余裕あるの?」


 そういうと、突如天使の横に黒い玉が出現、それに視線を移した瞬間・・・

ロイドがそれに引き寄せられる様に天使の視線の前に突如として現れる・・・


 ロイドは拳を握りながら嬉しそうに

「よお、さっきぶり」

と発言し、天使を地面に向かって殴るのだった。



 天使を殴った時に違和感があった。何かで防御されたような、肌の表皮を見えない何かで覆っているのか?天使は地面に叩きつけられ、右鼻から鼻血がたらりと出ながら・・

何かが確信に変わったように喋る。


「さっきの攻撃でわかった。君の能力は__重力だ。君が近づいた時、咄嗟に避けようとしたのに体が急に重くなって体が動かせなかった。

さっきの黒い球はブラックホールみたいなものかな?対象を選択できて引力での高速移動をしたって感じでしょ」


「すごいな、そこまで気づくか、この引力球いんりょくきゅう、あの攻撃の中で一つ作るの結構大変だったんだぞ」

ロイドはポンポンと掌の上で引力球と言われる玉をシャボン玉のよう弾ませる。


 ロイドの能力は__万有引力


 さっきの黒い球・・引力球は、対象一名を選択して引力で引っ張る技。対象を天使に選択して、圧死させる事も考えたが時間が無いせいで引力を練るのが甘かった、対象をロイドにして明確な一撃を与える方が確実だと考えた。


本来ならば、引力球をたくさん作り、分散・高速移動での撃破が好ましいが、そんな隙はない、一個作るのが精一杯だ。

 

「てか・・ブラックホールを作る事ができる能力者がこの程度なわけない・・・手加減してるでしょ」

「まあな」

「全力出してよ」


天使は少し怒った表情で手を前に出しながらそう言う


「全力?わかった、ちょっと待ってろ、あーあー聞こえる?」


 ロイドは右耳についているインカムのボタンを押しながら何もない空間に喋る。


「あ、ロイドさんまだ生きてたんですか」

「死んで欲しかったみたいな言い方だな、まあ要件だけ伝えるわ、お前・・・俺と心中できるか?」

「え?嫌ですけど」

「ありがとう一緒に死んでくれるんだな」「え?ちょっ」


ブチッと言うインカムをガチャ切りしたかの様な音が響く・・

ロイドは平然な顔をし、地面に降りながらストレッチをし、語りかける。


「よし、今からこの大陸を破壊するつもりで技放つからな、お互い気合いを入れていこう」

「それはいいんだけど相手、本当に許可とった?」

「地球が壊れて、地獄に堕とされるのは俺じゃなくって本部だから大丈夫」


 少し呆れた笑いをする天使がストレッチを終えたロイドに話す。


「ここからはお互い、恨みっこ無しだからね」

「もちろん」


 そう言うと天使は赤く腫れた頬に手をかざし、能力を発動させる、変な風が発生し傷が引いてゆく。それをロイドは静かに見つめ、


「これで終わりかもだからな・・名乗れよ」

「君もね」


「・・・シュテルクスト・ロイド 

  役職最強 これから命を賭ける」

「スペランツェ・エリーナ  

  天使序列1位 僕もオールインで行くよ」


 ロイドは真面目な顔をし、天使は微笑みながら名乗り・・

2人は大技(最大火力)を発動させる


 最大出力———《木漏れ日》


 発動スピードは天使の方が速く、ロイドは大技の発動準備に6秒の演算時間を要する。

つまりロイドは、発動準備の大技を解除せず、残り枠1つの技でこれを乗り切らなくてはならない。


「これ・・・受けずに避けたら流石に無職だな」

そういうとロイドは受け止める覚悟を決めた


《木漏れ日》による地上に差し込む圧倒的質量の光が———亜光速でロイドに赴く。


 ロイドはそれを防ぐために最大出力の歪域を発動させる。

 

能力・演算を司る脳の部位は小脳である。

 特にロイドの能力は重層的であり———

空間に存在するすべての質量を予測し、その未来の重力場を先回りして書き換え続ける、つまりとてつもない演算能力が必要なのである。それを行うのに適した脳が小脳でもある。


 ロイドが二つしか技を同時に発動できない理由は、

能力の負荷が高すぎて小脳の神経が二つ以上を受け入れられないからである。


 正確には通常技は二つ同時にしか発動できない・・大技最大火力はこれに当てはまらず、使う時は他の技を発動することができない。


発動の意思→小脳の神経を通る→小脳で演算→発動という手順だ。


 ロイドの現在の脳は大技の演算で手一杯、それに加え最大出力の歪域わいきを発動しようものなら精度・威力の低下+脳のパンクによる何らかの後遺症は免れない。


そこをロイドは小脳の次に演算に向いている頭頂連合野に一時的な演算の補助とリスク分散を行い、最大出力技二つの同時演算をするに至る———

まさに荒技———これが最強



「ハハハッやっぱり俺は最強だ、こいよ止めてやる」


 ロイドは《木漏れ日》に向かって手を伸ばしながら狂気的な高笑いをする。

その狂気的な顔の目鼻からは演算の負荷により血が漏れ出ていた。


 能力演算による過度な脳消費によりロイドは一時的なハイになっている。


 ロイドは腕の前に最大出力の歪域わいきを発動・展開し《木漏れ日》を歪ませる。


 腰を右に曲げ、バットを振る要領で横に流す。腕からはバキバキッという音が鳴り、防寒着が二の腕まで擦り減ってゆく。

 ロイドは悲鳴にも笑い声にも聞こえる叫び声を出しながら、腕を思いっ切り

右に振り逸らし《木漏れ日》は亜光速で宙に消えていった。


「ハァ、ハァ、天使!!お前の能力についてはこれっぽっちも理解できんかったがな、お前の攻撃の性質は必ず光だった!!これが偶然かわ知らんが重力使いの俺にその攻撃は悪手だったな、歪ませ易かったぜ」


 そう呼吸を荒くするロイドの腕は血が滲んでおり・・・

滲んでいる箇所を見ると腕で言う二の腕に該当するところであった、そこから先は血で滲んでいない。というより・・・無い。


 つまりロイドの二の腕から先は木漏れ日により消し飛ばされていたのである。

 

 脳からドーパミンが溢れているからだろう。腕が消えているにも関わらず、狼狽える様子を見せない。


「演算が終わった。命を賭けて計算したんだ・・・受け取れよ」


 最大出力———《天葬(てんそう)


ロイドは大技を放ち雪の積もる地面に伏す。


 直径数メートルの黒く歪んだ点が出現するその点からあり得ないほどの引力が発生し、天使だけを対象に引き寄せられてゆく。


「なにこれ、今までの引力の比じゃない、僕でも抑えられるかな?」


 天使は少し引き攣った笑顔を見せ腕を捲り、光・火・水・木・土など多種多様な技と防御を発動させる。


「引力が正体なら吸い込める量にも限界があるはず、僕を吸い込むより先に腹パンパンにしてあげるよ」


 天使が技を発動するたびに、眼から血が溢れ出ている。能力の負荷に脳が悲鳴をあげているのだろう。

 天使もまた自傷を気にせず、技を無制限に撃ちまくる。

 この引力への抵抗を10秒ほど続けると

 天葬が急激に停止を開始する。


天使は勝ちを確信し血塗れになった顔で、

勝利の宣言を言う。

「この勝負僕の・・」

束の間、赤黒くなる雪に埋もれた顔をあげ、被せるように言う。

「俺の勝ちだ」


 天葬はロイドが使い道はないと思ってはいたが作った恒星崩壊をモチーフにした技である。

 恒星崩壊とは大質量星が寿命の終盤に核融合の燃料を使い果たし、自身の重力を支える圧力を失って急激に中心部へ潰れる物理現象である。そしてこのプロセスにより 

()()()()()を起こす。もう一度言おう

天葬は()()()()をモチーフに作られた技である。


 天葬は壮絶に輝きながらとてつもない衝撃波を放つ。ロイドは意識が朦朧としながら天葬の対象を 比率で天使2・地面3・空5へと振り分ける。

「もう、完全に防げるだけの脳の容量ないよ」

 天使は今できる最大の防御を展開、周りの環境を利用、最初から張っていた結界を収縮・天葬に纏わせるようにし威力を下げる試みをする。


 天葬は全てを壊し、威力減衰をしながらも天使に直撃・衝撃波でロイドの真横まで吹き飛ばされる。



「生きてる?」

「何とか・・・でもこのままじゃ死ぬね」

「手が動くなら、俺の右耳についてるボタン押してくれねぇか、俺両腕吹き飛んじまったから押せねえんだよ」

「ふっ・・いいよ」ポチッ

「こちらロイド、天使の撃破完了、死にかけだから助けに来い・・・

ガチャ

これでいいかな」

「お互い死にかけだねぇ」

「ああ__ちなみに俺は、全てを捧げるに至る実力だったか?」


「・・・・・僕はこの技にオールインして負けたわけで実際の実力差や相手の弱点を見つけるところとか・・・・・・」


「こっちももう小脳が一部機能しなくて意識朦朧としてるから端的に頼む」


天使は口をもごもごとし、血塗れた顔が赤くなりながら恥ずかしそうに言う。




「・・・・僕の全てを貰ってくれ」



「___いいよ」


「僕重い女だけどよろしくね」

「処理が重いのは行けたし大丈夫だろ」

「ふっなにそれ」


「「ぶっははは」」


「生きてたらよろしく」

「こちらこそ」

ロイドの二の腕と天使の手の甲をぶつけあい


———2人は長い眠りにつくのだった


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