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ワンダフルコネクト ~アリスとドラゴンのグレイテストロード~  作者: 稲葉トキオ
第2章 アリス・ハートランドと学校の大会

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第21話 本気の幼なじみ

 一回戦の試合がすべて終了すると、ほとんど間を置かずに、勝者とシード番の児童による二回戦が始まった。


 校内大会は急きょ前倒しで開催されたため、スケジュールがかなり押しているのだ。


 アリスは一回戦と同じ、2番コートで次の試合にのぞむ。


 対戦相手は――花菱(はなびし)緋羽莉(ひばり)


 緋羽莉は背が高く、小学生とは思えないスタイルでひときわ目立つ存在だ。


 バトルの腕前も有名で、さらにアリスとは大のなかよし。


 そのため、このカードは一回戦に続いて、またしても注目を集めることになった。


 ふたりはコートの端で向かい合い、それぞれ対戦の準備を進めている。


『ぶー。あのナマイキ青トカゲに、リベンジしたかったんだけどな~』


 緋羽莉サイドでは、【スカーレットチック】のアカネが、見るからに不満そうにほおをふくらませていた。


 一方、反対側のアリスサイドでは、アリスとミルフィーヌがしずかに作戦を確認している。


 ブルーは、さきほどの一回戦でかなり体力を使ったため、スマートウォッチの中で休憩中だ。


 緋羽莉は、そんなアカネをなだめるように笑って言った。


「まあまあ、アカネちゃん。ミルフィーヌにだって、リベンジしなきゃでしょ?」


 たしかに――。


 きのう、アリスの記念すべき初バトルで、アカネはミルフィーヌに敗れている。


『……そうね。そうだったわ』


 アカネは目を細め、金色のひとみをぎらりと光らせた。


『あのコとのインネンのほうが、ずっと深いんだもの』


 その声には、はっきりとした闘志がこもっていた。


 一方、コートの反対側。


「じゃあ、今回はおねがいね、ミルフィーヌ」


『ワンッ!』


【キャリバリア】のミルフィーヌは元気よく返事をし、しっぽをぶんぶん振った。


『ぼくのぶんまでがんばってね、ミルフィーヌ』


 スマートウォッチの中から、ブルーの声が聞こえてくる。


 ブルーはウォッチ内の空間に用意された、やわらかいクッションの上で体を休めていた。


 アリスがこの試合にも勝てば、またすぐ次の対戦が控えている。そのための温存だ。


『ミルフィーヌは、きのうアカネに勝ってるんだよね? なら、今回もだいじょうぶだよね』


 なにしろ、きのうは自分もアカネに勝っている。


 ブルーは、どこか安心しきった気持ちでそう思っていた。


 ――だが。


 アリスとミルフィーヌの表情は、どちらも引き締まっている。


 冗談や余裕は、いっさいない。


「……ブルー」


 アリスは小さく息を吸い、しずかに言った。


「きのう見たのが、アカネと緋羽莉ちゃんのすべてだと思ったら――大まちがいだよ


『え……?』


 ブルーは、思わず息をのむ。


「それじゃ、二回戦をはじめまーす! みんな、準備はいいかなー?」


 マミ先生の声が響きわたる。


「それでは――ファイトー!」


 合図と同時に、各コートでいっせいに試合がはじまった。


 どこか疲れたような声なのは、一回戦で燃えつきたからだろう。


「《イナズマダッシュ》!」


「《ラピッドファイア》!」


 開始と同時に、ミルフィーヌはジグザグに駆けだした。


 次の瞬間、アカネの高速火球が、まるで銃弾のように飛んでくる。


『え……?』


 ウォッチの中のブルーは、思わず目を見開いた。


 ミルフィーヌはそれを紙一重でかわし、そのまま体当たりを決める。


 衝撃で、アカネの体が宙を舞った。


 しかし――。


 アカネは空中でくるりと体をひねり、すぐさま姿勢を立て直す。


「《メガファイア》!」


「《パウシールド》!」


 空中から放たれた巨大な火球を、ミルフィーヌは肉球のバリアで受け止めた。


 ――ドンッ!


 巨大火球とバリアが同時に弾け、爆煙がコートをつつみこむ。


 あまりに速い展開に、ブルーもギャラリーも、声を上げるヒマすらなかった。


 ブルーは、ただただ圧倒されていた。


(……ちがう)


 アカネの動きは、きのうまでとはあきらかにちがう。


 バトル経験の浅いブルーにも、はっきりとわかった。


(きのうのアカネは……本気じゃなかったんだ)


 胸が、ちくりと痛んだ。


 くやしさはあった。


 でも同時に、それは当然だとも思えた。


 きのうの自分は――いや、今でも。


 バトルについては、まだまだシロウト同然だからだ。


 手加減されて当たり前で、くやしがる資格すらない。


(だからこそ……)


(この試合は、ちゃんと見なくちゃ)


 強くなるために。


 学ぶために。


 煙が晴れると、ミルフィーヌとアカネは、距離を取ってにらみ合っていた。


 さきほどの体当たりによるアカネのダメージは、すでに回復している。


 不死鳥の再生能力にくわえ、衝突の瞬間、全身にエナを集中させて防御していたんだろう。


「《音波砲》!」


『ワオーーーン!』


 ミルフィーヌが大きく吠え、空気を震わせる衝撃波が放たれた。


 おととい、犬童一味をまとめてふっとばした大技だ。


「《マジカルファイア》!」


 対するアカネは、螺旋を描く深紅の炎を吐き出す。


 きのうブルーに放ったものより、ひと回りもふた回りも大きい。


 音波砲と炎が正面からぶつかり合う。


 威力は音波砲が勝り、炎を打ち消し、そのままアカネを吹き飛ばした。


 ――だが。


 威力はかなり相殺されており、致命傷にはならない。


 自己再生でじゅうぶんに回復できる程度だ。


「やっぱりやるね、緋羽莉ちゃん!」


「アリスこそ、たった二日で、すごく上達してるじゃない!」


 大親友ふたりは、不敵な笑みと満開の笑顔で、おたがいを称え合った。


「きょうはもっともっと、本気出させてやるんだから! ミルフィーヌ!」


『ワンッ!』


 ミルフィーヌは、ついにご自慢の武器、背中の剣を口で引き抜いた。


 その切っ先を、まっすぐアカネへ向ける。


「うん! もっともっと見せてよ! アリスとミルフィーヌの本気!」


『そうよ! もっとアタシを楽しませなさい!』


 アカネは小さな翼をばさりとひろげ、金色の目を燃やしてにらみつける。


 ギャラリーも、ざわりとどよめいた。


「どっちが勝つかな……」


「さあ、こればっかりは私も予想できないね」


 りんごと閃芽も、息をのんで見守っている。


 気持ちとしてはブルーのためにもアリスを応援したい。


 だが、緋羽莉の底知れない元気と実力も、よく知っている。


『アリス……ミルフィーヌ……』


 ブルーはウォッチの中から、まばたきするのも忘れて試合を見つめていた。


 一瞬一瞬を目に焼きつけ、糧にするため。


 そして、全力で戦うミルフィーヌを、心から応援するために。


『ワフッ!』


『ピィーッ!』


 二体は同時に、センターサークルへと駆け出した。


 幼なじみ同士の本気のバトルは――いま、次のステージへと突入する。

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