翔太の心
拓海君と翔太君からラウンジバーで飲もうと誘われて4人で行った。
4人で飲んでいて、翔太君が席を立った時に追いかけた。
お手洗いの所で待った。
出て来た翔太君は驚いていた。
「詩織ちゃんも?」
「……違うの。待ってたの。」
「俺を?」
「うん。」
「何?」
「……今、付き合ってるの?
21歳の子と付き合ってるの? 今も……。」
「あぁ……。あの子とは別れたよ。」
「別れたの?」
「うん。」
「めっちゃ早くない?」
「そうだね。」
「あの……、どうして?」
「『好きだ。』って言われて付き合って1か月くらい経った頃に……
『結婚』が出て来たんだ。
俺は結婚したいと思わなかったから……。
そう言ったんだけどなぁ……。お気に召さなかったみたいで…。」
「じゃあ、彼女から?」
「いいや、別れ話は俺から。
何度も『結婚する。』と俺の気持ちなど無視して決めてかかったから…。
『結婚したいと思うほど好きじゃない。』って言ったんだ。」
「それを納得してくれたの? 彼女……。」
「時間かかったけどね。
付き合う時に言ったんだよ。
『好きになるか分からない。』って……。
『それでもいい。』って言ったから付き合ったんだけど……。
どうやら、最初から結婚が目標だったみたいで……。
なんか……早く家を出たかったみたいなんだ。」
「……ねぇ……。」
「うん?」
「今もあの人が忘れられないの?」
「……そうだな……忘れられないよ。今も……。」
「……お願いがあるのだけど……。」
「何?」
「もう、とっくの昔に気付いてるんでしょ。美里の気持ち……。」
「……うん。」
「もう前を向かせてやって、お願い。」
「でもね、美里ちゃんから告られて無いから…。」
「告らせるわ。」
「えっ?」
「もう拗らせ過ぎだもん。何年よ!ってくらい翔太君しか見て無いからね。
それから……拗らせてるのは…翔太君も……。
もうさ、4人とも三十路よ。
変わろうよ。そろそろ……。」
「……変われたらね…。
振ってもいいの? 美里ちゃんを…。」
「骨は私が拾うから、安心して!
それに、結果は分かってると思う。美里は……。」
「分かったよ。自分の気持ちを素直に話すから……。」
「お願いね。じゃあ、私先に戻るわ。ゆっくり戻ってね。」
「分かった。」
席に戻って、ゆっくりカクテルを一口飲んだ。