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明日へ  作者: yukko
43/57

相手

「断ったのね。良かったぁ~。」

「頑張ったな。」

「大変だったけど、断れてよかったよ。」


皆は口々に「良かった。」と言ってくれた。


「それで、電話の内容は?

 何だったの?」


美里に促されるように、私は電話の話をした。




スマホの着信音が鳴って、見ると知らない番号だった。

不審に思いながら、一応出た。

出ながら「これ、ヤバい奴だったら直ぐに切ろう!」と思った。


「もしもし、詩織さんですか?」

「……はい。」⦅聞き覚えがある……な……。⦆

「先日、お見合いさせて頂いた者ですが……。」

「あ! 先日は失礼しました。」

「いえ、断って頂いて実は助かりました。」

「そうなんですか?」

「はい。見合いする気は全くなかったんです。」

「そうなんですか……。」

「実は親にカミングアウト出来なかったんですが……

 僕は女性を愛せないんです。」

「あ!」

「今、恋人も居るんです。」

「そうなんですね。」

「それで、今回お断りしてからカミングアウトしようと計画したんです。

 僕も騙されてあの場に居ましたから……。」

「同じですね。」

「はい。貴女が来られる前にカミングアウトすると計画したんですよ。」

「まぁ!」

「あの後、カミングアウトしまして……理解して貰えませんでしたが……。

 見合いの話は今後ないと………。

 親には恋人を紹介するつもりです。

 許して貰えなくても、僕の人生ですから……。」

「そうですね。頑張ってください。」

「はい。……それで、お願いなんですけれど……。」

「何ですか?」

「貴女を気に入ったのが居るんです。」

「私を?」

「ええ! 貴女の話をしたら、会いたいと……友達が……。

 一度だけ会って頂けませんか?

 勿論、断って頂いても当然です!」

「会ってないのに、会いたいって思いますか?」

「変わった奴だと思われるでしょうけれども、僕にとってはいい奴なんです。」

「………そうですか……。」

「済みません。会いたくないですよね。」

「はい!」

「では、僕から話しますので……ご安心ください。」

「お願いします。」

「もう、この番号から電話が架かってくることはありませんので、ご安心くださ

 い。」

「はい。」


そう会話した翌日のことだった。

見合い相手の友人が会社に来たのだ。

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