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明日へ  作者: yukko
3/57

後の二人

露天風呂を出て、部屋でゆっくり過ごしていると無性にしたくなった。

……それは……ピンポン!


「ねぇ、ピンポンしようよ。」

「ピンポン?」

「そう! 温泉旅館と言えばぁ………ピンポン!」

「やろう!」


二人で部屋を出て、部屋の鍵を閉めて……すると、目の前に……。


「なんで、あんたがいるのよ!」

「なんでって……おじさんに貰ったから……。」

「もぉ―――っ! お父さん!」

「おひさ~、拓海君。」

「おう、おひさ。やっぱり詩織ちゃんだったんだ。」

「やっぱりって何よ!」

「おじさんから、2枚美里に渡して、もう2枚を俺に…って聞いてたから……。」

「お父さん! 私には何も言わなかったのに!」

「そりゃあ、直ぐ傍に居る俺の方が言いやすかったんだ。

 お前、たまには実家に帰って来いよな。おじさんとおばさん、心配してるぞ。」

「分かってるわよ! あんたに言われたくないわ!」

「また始まったね。いつもの……犬も食わないやつ……。」

「犬も食わないやつ!じゃないから!」

「犬も食わないやつ!じゃないから!」

「おお―――っ! 流石、息が合ってる。」

「合ってません!」

「合ってない!」

「プッ……そこも……合ってる……。

 ……お久し振り……。」

「お久し振り。元気だった? 詩織ちゃん。」

「ありがとう。元気よ。翔太君は?」

「ありがとう。元気だったよ。」

「詩織、早く行こ!」

「うん。……じゃあね、拓海君、翔太君。」

「うん。」


美里と二人で歩き出すと……後ろから拓海君と翔太君が付いて来た。

気が付いていないのか?…美里は「腹立つぅ~!」と言ってからは無言でフロントに向かっていた。


「教えてください。ピンポンは出来ますか?」

「卓球台はこの先にございます。

 真っ直ぐにお進み頂きますと見えて参ります。」

「ありがとうございました。」


振り返ると拓海君と翔太君が直ぐ傍に居て、拓海君が美里に言った。


「なぁんだ。卓球するのか?」

「悪い?」

「否、面白い! なぁ、勝負しないか?」

「勝負?」

「うん。ダブルスで!」

「やってやろうじゃないの!

 負けないわよ! ねぇ、詩織。」

「絶対、勝つ! 翔太、やろうぜ!」

「美里、不利よ。」

「なんで?」

「実力差がありすぎるわ。

 私はピンポン! あちらは卓球! 勝てないわ。」

「そうだなぁ~、頼んだら……ハンデありにしてやるよ。」

「頼んだらぁ~!」

「なぁ…拓海、組む相手変えよう。」

「変える?」

「うん。俺と美里ちゃん、お前と詩織ちゃん……そうすればいいんじゃね。」

「そうして貰えると嬉しいな~。」

「詩織ちゃんがそう言うなら……。」

「美里ちゃんは? いいかな?」

「いいわ。それで……。」

「じゃあ、卓球大会開催だぁ~!」

「ピンポン! ね。」


「ピンポン! ね。」と呟いた言葉を多分……誰も聞いてなかった。

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