美里の結婚
あれよあれよという間に美里の結婚が決まり、今日はその華燭の宴。
教会での挙式で真っ白のウエディングドレスを着た美里は美しかった。
本当に美しくて……年下君を羨ましいと思った男性は多いと思った。
バージンロードを歩く美里とおじさん。
⦅おじさん、手放したくない気持ちあるんだろうな…。
嬉しいだけじゃないんだろうな……。
おじさん、良かったですね。
美里、めっちゃ綺麗だよ! おめでとう!⦆
知らぬ間に涙が頬を伝っていた。
⦅美里、翔太君も幸せな結婚をしたよ。
美里も幸せな結婚……出来て良かったね。⦆
拓海君の姿はなかった。
⦅まぁ、幼馴染ってだけじゃ呼ばないよね。
異性だし……。
拓海君、大丈夫かな?
今日が一番辛い日………だね。⦆
式は進んで、指輪の交換をして、そして……。
新婚の二人を教会の外で待ち、ライスシャワーが二人を優しく包んでいる。
ブーケトス……私は思いっきり離れた場所で眺めていた。
若い子が受け取って嬉しそうに頬を染めていた。
何気なく後ろを見た時に、拓海君の姿を見つけた。
⦅拓海君……来てた……。
拓海君、ごめんね。
私、嘘をついた。
あの日、拓海君から『どんな奴?』って聞かれて……
私が言ったこと嘘なのよ。
『優しそうだと思う。』も、『真面目だろうと思った。』も……
嘘だったの。
私にはそんな……人を見る眼なんてない。
ごめんね。嘘だったのよ。
そう言わないといけないと思ったの。
美里の幸せを一瞬でも疑いたくなかった……。
拓海君の…想いを振り切るためにも……
ごめんね。⦆
そう思いながら、私は拓海君が居る方へ向かっていた。
ゆっくり足が勝手に動いたような気がした。
その時は私の足元しか私は見えていなかった。




