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明日へ  作者: yukko
2/57

露天風呂

二人で着いた旅先は、有馬温泉。


「ねぇ、どうして有馬温泉なの?」

「聞いてないわ。聞いといた方が良かった?」

「ううん、別にいいよ。……でも、なんでなんだろう?」

「何なんだろうなぁ~。

 ……あっ! お料理ね。」

「うんうん。」

「肉にしたから……変えたからね。」

「変えた?」

「うん、うちの両親、会席を頼んでたから…。

 勝手に変えたけど、たぶんOKでしょ。」

「うんうん。OK!」

「肉好きだもんね。」

「うんうん。大好き~ ♡

 神戸牛だよね!」

「その通りでございまするぅ。」

「やった~~~っ!」


着いた旅館の部屋は竹林を望む露天風呂付客室だった。


「うわぁ~~~っ!

 露天風呂付きじゃん!」

「いいねっ!」

「二人で貸し切りだね。」

「うんうん。」

「ねぇ、おじさんとおばさんにお礼言いたいな。」

「じゃあ、電話するか。」

「うんうん。」


「おじいちゃんね、少し体調が良くないらしいんだ。

 だから、おじいちゃんとこに行ってるのよ。

 あ! 思い出した!」

「なになに?」

「有馬温泉は、おじいちゃんの新婚旅行先だっ!」

「おじいちゃんの?」

「うん。おじいちゃん、おばあちゃんを連れて行くためだったわ。」

「……ねぇ、それ何人で?」

「知らない。」

「単純に4人だよね。

 おじいちゃん、おばあちゃん、おじさん、おばさん……。」

「あれっ? でも、私2人分しか貰ってないよ。」

「あと2人分は? どこ行ったぁ~。」

「まぁ、いいじゃん。

 兎に角二人でお肉食べて、ゆっくり露天風呂を楽しもうよ。」

「そだね。」


そして、美里は父親に電話を架ける。


「あ……お父さん……。」

(おう、着いたか?)

「うん。着いた。」

「おじさん! 詩織です。」

(詩織ちゃん! 美里と行ってくれたんだね。

 ありがとう。)

「お礼を言うのは私ですよ。ありがとうございます。

 露天風呂付きのお部屋、素敵です。」

(そう、喜んでくれて嬉しいよ。

 竹林を見ながら入れるらしいから……露天風呂。)

「そうなんですよ。めっちゃ素敵です。

 本当にありがとうございました。」

(喜んでくれてたら嬉しいよ。

 無理やり行かせてしまったからね。)

「おじさん、無理やりじゃないですよ。

 予定が無かったクリスマスを美里と二人で楽しめてるんですから!」

(そう? ありがとう。

 美里と仲良くしてくれてありがとね。)

「こちらこそです。」

「お父さん、おじいちゃんは? どうなの?」

(ちょっと転んだけど、骨折はしてなかったから!)

「良かった~。」

(二人で楽しんでおいで。)

「うん。」

「はい。ありがとうございます。」

(じゃあね。詩織ちゃん。)

「はい。お土産楽しみにしてください。」

(ありがとう。)

「お土産期待しないでね。」

(期待したら駄目なのか?)

「まぁ、そこそこの品かな?」

(無事に帰って来なさい。それだけだ。)

「はい。」

(じゃあな。)


電話を終えてから美里の「あっ!」に驚いた。


「どうしたの?」

「聞くの忘れた!」

「何を?」

「あと2人分……。」

「あっ! ……もう、いいじゃん。」

「そだね。」


神戸牛に舌鼓を打った後、二人で露天風呂にゆっくり入った。

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