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明日へ  作者: yukko
16/57

翔太

拓海君と会う場所に向かう途中、美里のことを拓海君に話すべきかどうかと思いを巡らせていた。

待ち合わせの場所に着いても思いを巡らせていたら、「お待たせ!」と声がした。

目を上げると、拓海君と翔太君……そして…誰?


「あっ! 話してなかったっけ?」

「聞いてませんけど。翔太君が来ること……

 それに……そちらの方についても……何も聞いていませんけれども!」

「ごめん。悪かった。」

「詩織ちゃん、俺も悪かったんだ。

 急に俺から頼んだんだ。俺達も同席したいって…。」

「すみません。」

「あの……取り敢えず、どっかに入りません?

 ここで話すんですか?」

「あ! 入る店、決めてるんだけど……

 いいかな? そこで……。」

「いいです。」

「……あの…さ、詩織ちゃん、敬語止めて貰えるかなぁ~。」

「どうしてですか?」

「……怖いから……怒ってるんだよね。」

「えへへ……ちょっと怒ってました。」

「…ごめん。」

「それだけじゃなくって……そちらの方の前で馴れ馴れしくっていいのかなぁ~

 と。」

「あ……配慮したんだ。」

「もちのろんです!」

「もう、いつもの詩織ちゃんでいいのに……。」

「拓海君に言われてもね。」

「取り敢えず、入ろうか? 店に!」

「はい。」


店に着き、予約してくれていた席に着いてから、ゆっくり紹介してくれた。

翔太君の隣の美人さんは、翔太君が別れた後も忘れられなかった人だった。


「そうなの! 良かったね。戻れて!」

「ありがとう。」

「それで? もう一度お付き合い出来ました!だけなのかなぁ~?」

「あぁ……。」

⦅まぁ……見つめ合ったりしちゃって……ラブラブじゃん。⦆

「結婚することになったんだ。」

「おめでとう! 良かったね。翔太君!

 おめでとうございます。」

「ありがとう。」

「ありがとうございます。」

「…ということで、詩織ちゃんに会いたかったんだよ。」

「拓海君、私たち二人お邪魔でしょ。」

「そう言えば!」

「邪魔じゃないよ。」

「いいえ、お邪魔に違いないので……拓海君、出ましょう!」

「おうよ。

 その前に、俺、トイレに行って来るわ。」

「おい!……たく、直ぐに出ないと!なのに……。」

「詩織ちゃん、そんなに気にしてくれなくても……。」

「あ……翔太君、拓海君が知らなかったら言わないでほしんだけどね。」

「うん。…何かな?」

「美里もお付き合いしだしたんだ。」

「そっか……良かった。」

「それでね、プロポーズして貰ったんだって……。」

「それで?」

「受けたって言ってた。」

「そっか……幸せなんだな。」

「うん。幸せになったよ。

 お二人もお幸せに!」

「ありがとう。」

「ありがとうございます。」

「あの、後学のために教えて頂きたいんですけれども…。」

「何?」

「彼女に!」

「あ!」

「何でしょうか?」

「何故、別れ話をされたんですか?」

「私、仕事が好きで、今までのキャリアを捨てたくなかったんです。

 海外へ行く話が出ていて、私は彼よりも仕事を選んだんです。

 そして最近、帰国したんです。

 帰国して彼から申し込まれて……夢みたいでした。

 仕事も彼も好きなので……。」

「俺は仕事に打ち込む彼女が好きなんだ。

 だから、彼女を支えたいと思ってる。」

「いいですね。

 いい夫婦になりますね。」

「ありがとう!」

「ありがとうございます。」

「お待たぁ~。………詩織ちゃん、聞かないの?」

「何を?」

「大か」

「聞きません! 止めぇ~!」

「そう?」

「早く帰りましょう! 後は若いお二人でっ!」

「見合いかっ!

 ……じゃあ、次は結婚式でお会いしたいです。」

「はい。私も……。」

「じゃあ……詩織ちゃんを送ってくれるよな。」

「もちのろん。」

「さようなら。」

「さようなら。」


この瞬間まで拓海君に美里のことを話すかどうか決めかねていた。

 

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