美里
有馬温泉への旅行からどの位経ったのか……。
美里から電話が架かって来た。
「詩織、拓ちゃんからメッセージが来たのよ。
拓ちゃん、詩織へ連絡取りたいって……。
どうする?」
⦅あ! 翔太君のことかな?⦆
「私のメアド教えていいよ。」
「分かった。
……けど、なんだろうなぁ~。
拓ちゃん、詩織にメッセージなんてぇ……。
もしかしてぇ……拓ちゃん、告るのかなぁ~。」
「それはない!」
「即答だね。」
「自信があるから! モテないって自信!」
「ええ―――っ!」
「それより、そっちこそ、どうなのよ。 年下君!」
「えっ………まぁ……なんとなく?」
「疑問形で終わるって何?」
「うぅ~~~ん。なんだろ?」
「付き合ってください!って言われたのよね。」
「うん。」
「それで?」
「……なんとなく?」
「なんとなくお付き合いし始めました!ってか?」
「……うん。なんとなく……。」
「おめでとう! 良かったじゃん。」
「ありがとう。」
「ちゃんと見たんだよね。」
「うん……見たと思う。」
「まぁ、結婚が決まったら、ちゃんと紹介してね。」
「まだまだ、先だよ。」
「先ってことは……。もしかしたら、プロポーズ?」
「うん。」
「キャ―――っ! 目出度い! めでたい!」
⦅拓海君、知ってるのかな?⦆
「受けたのよね。」
「いちおう?」
「何故に疑問形!」
「なんか、嘘みたい……なんだよね。」
「まぁ、急転直下だもんね。」
「自分でも驚いてるの。」
「そうだろうね。」
「でっ、お幸せですか?」
「……うん。」
「良かったぁ~!」
「ありがとう。
……あの時……心配かけてゴメンね。」
「いいえ~、どういたしまして!」
「じゃあ、詩織のメアド、拓ちゃんに送るね。」
「頼みます!
……美里……。」
「うん?」
「絶対に年下君と二人で幸せになるんだよ!」
「うん。」
「じゃあ、この辺でっ!
拓海君からのメッセージを待つから……。」
「うん。じゃあね。」
「うん、またね。」
電話を終えてしばらくしたら、拓海君からメールが届いた。
「会って話がしたい。翔太のことで……。」という内容だった。
約束をして、会うことになった。




