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明日へ  作者: yukko
12/57

帰路

帰り美里は言った。


「ありがとう。居てくれて……。」

「いいえ…(けしか)けたからね。」

「……そのお陰で長い…想いを吹っ切れたわ。」

「私もね、吹っ切った。」

「詩織も?」

「うん。……私ね、ず~~っと好きだった。

 でもね、執着かな?って思ったの。」

「執着?」

「うん。他の人を好きになることが無かったし……

 好きだと言われたことも無かった5年間だったのね。

 するとね、もう彼しかいないのよ。

 好きだって言ってくれた人……彼以外一人もいないの。

 だから、執着したんだと思うのね。

 嫌いになった訳じゃないけど、愛じゃなくて執着だったんだと……

 ようやく……5年もかかって分かったのよ。

 情けないことだな…。」

「情けないって言わないでよ。

 それを言ったら私もだし……。」

「美里は違うと思うよ。」

「なんで?」

「だって、他の人から想われてても見向きもしなかったから……。」

「そっかな?」

「そうだよ。

 私は何も無かったからね。

 ……負け犬の遠吠えだけど……。」

「いいじゃん! 負け犬の遠吠え!」

「私、仕事を頑張ろうと思う。」

「仕事?」

「うん。何か資格を取って…一生の仕事を見つけたいなぁ~。」

「しごと……。」

「美里はもうちょっと周囲を見ようね。」

「なんでよ。」

「居るからね。きっと、美里とピッタリ合う人が……。」

「そっかな?」

「目を見開いて良く見てね。」

「うん。そだね。

 ……今頃、あのお二人さん、どうしてるのかな?

 後一泊するのかな?」

「もう一泊?」

「うん。ほんとは二泊だったんだ。

 でも、仕事休めないんじゃないかと思ったからね。

 お父さんに一泊だけにして貰って、残りの一泊はキャンセルして貰った。」

「そうだったんだ。

 ……あの二人、パートナーに間違われてたりして…。」

「それはないでしょ。」

「なんで?」

「だって、翔太君はイケメンだから、そういうことも有りだけどね。

 拓ちゃんは、どっちかというとブサメンじゃん。

 イケメン&イケメンでないとね。

 ボーイズラブは考えられないよ。」

「それって、漫画の世界でしょ?」

「うん。」

「実際は違うよ。」

「そう?」

「そう! 見たんだもん。」

「何を?」⦅ワクワク ドキドキ⦆

「男の子二人が…。」

「うんうん。」

「恋人繋ぎして歩いてるのを……。」

「恋人繋ぎ……♡ 」

「その子達フツーのフツーの子だったよ。」

「ふぅ~~ん。」

「拓海君、ブサメンじゃないし!」

「ええ―――っ!?」

「フツメンじゃない。」

「フツメン……いやいや違うよ。ブサメンだよ。」

「美里は面食いだからね。」⦅やっぱ、拓海君は……振られるのか…。⦆

「やっぱ、翔太君みたいな人がいいな。」

「心がイケメンがいいよ。」

「そだね。」


少し元気そうに話す美里を見て、無理をしていると感じた。

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