独身二人
恋に恋する時は過ぎてしまって、いつの間にか結婚・出産を終えた友人が増えて来たお年頃。
そんな二人に、この季節は切ない……。
切なすぎる季節がまた廻って来た。
街はクリスマスソングが流れている季節に……。
⦅あぁ~~~っ! もうなんか……
皆、パーティしないといけないの?
悪いわね。今年も一人よ……一人!
苺ショートケーキでも買って帰ろうかなぁ?
一人でチキン……ケンタッキーでちょっとだけ買って……。
そして、苺ショートケーキよね。⦆
会社からの帰り道、クリスマスソングを聞きながら独り言を心の中でそっと……。
電車に乗る前にスマホの通知音がした。
⦅誰かなぁ?⦆
⦅美里…。⦆
メッセージを読むと……。
「詩織、おひさぁ~。
元気だった?
私はまぁまぁかな?
ところでクリスマス、暇だよね。」
⦅おいおい! 決めつけないでよね。
って…暇ですけどぉ~。⦆
「ねぇ、温泉に行かない?
親が行く予定だったんだけど、行けなくなっちゃったんだ。
だから、二人でどうかな?
ってことで、返信を待ってます。
良いお返事を待ってますぅ。
じゃあね。バイバイ。」
⦅クリスマスに温泉って……。⦆
返信をする指の動きが前に言われた。母に……。
「めっちゃ早いね。
お母さんなんて人差し指で必死よ……。」
⦅お母さんと比べられてもね…。⦆
美里への返信メッセージの途中で母との会話を思い出し吹き出してしまった。
美里への返信は……
「美里、おひさぁ~。
温泉って……クリスマスに?
でも、行かせて貰います!
暇なもんで~。
二人で温泉でクリスマスってのもいいよね!
詳細を送っておくれ―――っ。
待ってるよ~。
じゃあね~。」
独身30歳の私と美里。
二人で温泉へGO~!