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1 プロローグ

「大変、申し訳ありませんでした!」


 真っ白ロング髪の中世的な顔をした男性が、どこぞの企業の謝罪記者会見の如く、直角のお辞儀をして、玲那の前で謝罪をした。


「十七歳でこの世を去ったあなたの魂は、輪廻転生、同じ世界で新しい生を得るはずだったのですが、手違いで別の世界に移動してしまいました。元に戻すことが困難となったため、あなたの魂を別の世界に降ろすことになった次第です」

「はい?」


 一体なんの話をしているのか。

 玲那は呆然と、口を開けたまま男を見つめた。


「今後、このようなことがないように、一同徹底してまいる所存です」

 謝罪文をそのまま丸覚えしたかのように、聞き覚えのある口上を述べるが、そこに反省の色は見えない。人形のような整った顔は、表情が読めなかった。ただの無表情だ。


 今いる場所を考えれば、ここは死後の世界か。壁も何もない、真っ白な世界。そこに玲那は男と二人、向き合っていた。目の前にいるのは、人とは思えないほど美しい男。さながら天使のような様相だ。

 その男が説明をくれているわけなのだから、やはり死後、次の世に生まれ変わるための話をしているので間違いない。ただ、その次の世が、今までとは違う世界になるという。


「まあ、ぶっちゃけ、人手不足で間違って魂が別の世界に入り込んでしまったので、仕方なくその世界に組み込むことになったわけですが、なんとか順応してください」

「なんですかそれ。元の世界に帰してくださいよ!」

「一度魂を移動させたら、また殺すしかない」

 聞き捨てならないと言い返せば、男は無表情のまま、物騒なことをボソリと呟く。


「あなたの魂を救ったと思って、新しい世界で頑張ってください」

「適当すぎません? 神様なんでしょ!?」

「神の使徒です。お詫びと言ってはなんですが、その代わり家と土地は与えますし、好きに生活してくださって結構ですよ。年齢も同じくらいに設定しておきますので、ご安心ださい。では、どうぞお気を付けて、いってらっしゃいませー!」

「ひえ、ちょっと、詐欺ー!!」


 どこぞのレジャーランドの出発挨拶か。そう突っ込む間もなく、玲那の足元で、ふわんと床がなくなって、底なしの穴に落ちるかのように、叫び声と共に、一気に落下していった。

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