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機械仕掛けの街は光を知らない  作者: 理央
第一章
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君と

「一体いつまで歩き続けるの…?すでに10時間くらい歩いてるよ…。」

「ん?さっき休憩したばかりじゃないか。あとこの2倍くらいは歩くよ?もちろん夜は休むけど」

いや、最初のしばらくって…。

「どれくらい距離があるのよ…。」

スタート地点もどこかわからないし、ゴール地点もどこかわからない…。

東海って言ってたし、海岸沿いに北東に進んでるからもしかしてスタートは静岡あたり?海風で寒いし、ここからの道のりから考えてもついていくべきじゃなかったかも。

「顔についていくべきじゃなかったって書いてるぞ。」

「…バレたか。」

「そんな表情してたら、誰だってわかるさ。でも、ここで頑張らないと、君も困ることになるぞ。」

「それはそうだけど…。こっちも服装が服装だし、もうちょっと考えてよ。」

今自分が着ているのは、制服。それもセーラー服。風が冷たくて、とても寒い。

対して、彼は上は長袖、下は肩でつる、ちょっとぶかっとした作業用?ズボン。

めっちゃあたたかそう…。

「たしかに寒そうだが、このルート以外だと山越えになるぞ?そっちのほうが大変だ。」

コハルの言葉は、もっともだ。山越えのほうがはるかに大変だ。

「でも、…。上着くらい持ってないの?」

「普段は移動しながら過ごしてるから、

荷物はできるだけ軽くしないと。それに、この服もかなり重いぞ。ユウカの服のほうが軽くて動きやすそうじゃないか。」

セーラー服が動きやすい方だとは、思ったこともなかった。

「でも喜べ、もうすぐ日暮れだから、移動はここまでだ。」

気がつけば、あたりは薄っすらとあかくなり始めていた。

「暗くなったらテントが張れないから、手伝ってくれ。俺は火をたく。じゃないと暗くて何も見えねぇ。」

「わかった。」

コハルは返事を聞くと、近くの林へ木の枝を集めに行った。

テントを見ると、見た感じ骨組みがない。どうやら、空気で膨らますものみたい。

広げ、固定し、手動のポンプで空気を入れる。テント自体はかなり軽かったけど、人二人が余裕で入れるサイズのテントができた。コハルも焚き火の準備ができたみたいで、火をつけている。…摩擦で。きつそう…。

数分して、火もついて、野宿の準備ができると、あたりはほとんど真っ暗になった。

二人で、何も言わずにカロリーメイトのような、保存食を食べた。火が、暖かかった。あのとき見た火は、こんなにも包み込むような暖かさはなかった。ただ、人を燃やしていた。ただ熱かった。思わず泣き出した。コハルがそっと肩に手をおいた。涙が溢れ出た。こんな暖かさは、初めてだった。

僕が泣き止んだ頃、コハルはふと聞いてきた。

「言いたくなければ言わなくてもいいが、これまで何があったのか、教えてくれるか?」

僕は、一言ずつ、少しずつ話し始めた。

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