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機械仕掛けの街は光を知らない  作者: 理央
第一章
12/59

疑問

『2054/10/02

あれから一ヶ月。歯車を回したのは果たして正解だったのだろうか?今は何の動きもない。あんな世界の法則を無視したものは動くわけもないと思っていた。だが、動かす時が来てしまった。動かした。そして、それは動いてしまった。連合のしたことも世界の法則を無視したものであるが、我々がしたことはそれを遥かに超えるものだろう。それでも、今になっても何も動きがないということは、やはり失敗なのだろう。そうだ、我々は何もしていない。何も知らない。歯車は、永遠に地下にある。ただの置物なのだ。誰も動かすことのできない、ただのオブジェなのだ…。』

「文字が…、出てきた!」

「まさか本当にこんな事ができるとは思ってもいなかったけどね。」

そんな会話をコハルとしながら、僕はこの内容について考えていた。歯車?法則?失敗?何がなんだか分からない。でも、一つ言えるとすれば。

「これは、僕に関係ありそうだな…。」

「そうかもしれない…。いや、そうだろう。だが、情報が少なすぎて何もわからないな。」

「なんとも言えないな。」

みんな黙り込んでしまった。

「今言えることは、優花くん、君がここにいるのは、この文を書いた人の所為かもしれん。」

「…ですよね。」

「他に手がかりはないんだろ?とりあえずこれについて考えようぜ。」

そのコハルの言葉に、僕と師匠は頷いた。


…結局考えてもわからなかったので、コハルと外に出た。はしごを登りきると、何日ぶりかもわからない星が空に広がっていた。

「きれい…。」

「そうだな。今日は特にきれいだ。」

しばらく地面に寝転がって空を眺める。

「あの星の輝きも、実際は昔の光なんだな。」

「だね。今はどうなっているかはわからない。」

そのまま、続ける言葉も思いつかず、ただ星の光を受ける。

「そろそろ戻るか。冷えてきたし。」

「うん。」

コハルと僕は起き上がり、地下へと潜った。


朝はやってくる。今日も。毎日。

こーん、こーん

壁にかけられた時計が鳴る。朝の6時。

僕は布団からでて、パーカーを羽織った。僕専用の部屋(師匠が用意してくれた。)をでて、リビングに向かう。

「あ、おはよう。」

「おはよう、やっぱりコハル早いね。」

「そりゃね、コックの朝ははやいぞ〜。」

コハルが笑いながらそう言ってきて、思わず僕も笑う。

その後、僕も朝食の準備を手伝う。ちなみに、師匠もすでに起きているはずだが、毎朝体操したり、地下にある畑の整備をしたりしているようだ。昨日の朝に初めてそれを知った。無限に出てくる野菜は畑からであった。まあ、そりゃそうだよね。

朝食を食べ終わり、昨日の夜と同じようにコハルと外に出た。通路は片道10分だから、いつもは行かないけれども。

外は霧で白くなっていた。

「寒い…。」

今は12月。息も白くなっている。

「もう冬か。」

コハルも呟く。

ふとコハルを見ると、ある一点を見つめている。スクランブル交差点の方。距離がかなりあるから、晴れていてもいつもみえない。でも今日は、僕もスクランブル交差点に違和感を感じていた。何と言うか、磁場の異変?

その時、僕らはハッとした。誰かが、こっちに来ている。徐々に、徐々に。コハルは万一に備えて、拠点のハッチを隠す。…え、拠点に逃げないの?僕も逃げる気はないけれども。あと10メートルといったところで、その人も僕らに気づいたようだ。そして、。

「何者だ。」

そいつは、僕らに拳銃を向けた。

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