とあるチームに誘われて
皆様も二次創作書きましょう。なお原案の作品に書き方まで準拠はしていないのでそこはご了承を。
そのアナウンスが出てから、私は絶望していた。というより、楽観視していた自分を呪ったとさえ言っていい。
「私、どうしたらいいの」
別に私は特別な生まれでも何でもない。ただ普通に生活していただけの女子高生だ。だからこそ、どうしてこんな事件に巻き込まれなくてはいけないのか理解できなかった。
「はあ」
「君、職業を教えてくれないか」
「はい?」
そこで、突然大柄な男性が道端に座り込んでいた私に話しかけてきた。髪はつんつんしていて、鎧姿のためすぐに騎士だと分かる。
「実は、探している職業がいるんだが中々見つからなくってな」
「はい、どんな職業ですか」
「衛生士だ」
「え」
「こうなった以上凄く重要な職業だと俺は思うのだが、どうにも見つからなくって」
「私、メディックですよ」
「何!」
男性が驚き、そして喜ぶように私の顔を覗き込んでいる。
「本当にメディックなのか!」
「はい、まだなりたてですが」
「そんなの大したことではない! 俺も最近上級職になったばかりだからな」
おっと、と男性は言って名乗り始める。
「挨拶をしていなかったな。俺はヒバチって言うんだ。あんた名前は」
「ミロです」
「よし、よろしくなミロ。早速俺の仲間の元に行こう!」
そう言って、私は連れられるのだった。
「帰ったぞ!」
「え、マジで衛生士雇ったの」
ヒバチさんの仲間が宿屋に来て早々、そう言われる。分かってはいたが、やはりつらい物はある。
「ああ、しかもメディックだそうだ!」
「ふーん、まあ何でもいいけど」
「それより挨拶しましょうよ、いきなりでは話も出来ないでしょうし」
「じゃあ私からしまーす」
そう言って、ポニー—テールを揺らした人間族の女性が話し出す。
「私はマリコ。ソードマスターよ」
続いて隣に立つ男性、というより巨人族(多分)のヒバチさんがまた名乗りだす。
「さっき名乗りはしたが、改めてヒバチだ。職業はパラディンだ。そしてこのチームのリーダーをしている」
次に立ち上がったのは中性的な人魚族外見の人。
「ウィザードのテルルです。一応これでも男性です」
そして椅子の上に足を置いている猫人族の女性が話し出す。
「シーフゥーのユカだよ、しくよろ」
今度は身長の低い小人族(多分)の男性が話し出した。
「シャーマーのオノットだ。お互い頑張ろう」
最後に明らかに魔人族と言った外見のハイテンションな男性。
「リッパーのオニキスだ。よろしくな!」
そして、順番が来てしまったために私も自己紹介をする。一応人間族だ。
「ミロです。一応なりたてですがメディックです。よろしくお願いします」
そう自己紹介をしたところで、ドンと背中を押されて倒れそうになるがどうにか踏みこたえるとそこにはヒバチさんの屈託のない笑顔があった。
「よし! それじゃあまずは作戦会議をしようか! 幸い金はいくらでもあるからな!」
そう言って、ヒバチさんはお金を宿屋の店主に払って一部屋、にしては大きい部屋を借りる。
「よし! それじゃあ早速作戦会議をしようじゃないか」
そう言うと、ヒバチさんは早速地図を広げる。
「今はカーソル・ウィンドウが出ない。つまりこのような今までフレーバー程度だった手書きの地図が凄く役に立つようになる。何せ、今までと違い圧倒的に冒険における死亡のリスクが上がった。だからこそ、少しでも生き帰りの生存率を上げるアイテムは重要になる」
「なるほど、高い金払ってもいいから手に入れろって言っていたのはそういう事だったんだね。露店でそれなりの出費だと思っていたけれど」
オノットさんが納得しきりに頷く。
「ああ、これでどこにどんな危険があるか、こうして安全地帯の宿屋なんかで事前に相談できる」
「それで、何がしたいの」
「別の街まで急いで向かう。だからこそ、皆の持つ金を全部はたいてもいいから武器や防具を揃えて明日の朝早速出発だ」
その言葉に、一瞬何を言っているのか理解できなかった人と、理解できたが反発する人たちの温度差が生まれる。
「ちょっと! どうしてそんなことしなくちゃいけないのさ!」
「そうだよ! Lだってもらったばかりだって言うのに!」
マリコさんとユカさんが口々に反発する。
「俺はむしろこれから忙しくなる前に動くべきだと思うがな」
その言葉に、私たちはどういうことかと顔を見合わせる。
「良いか、まずこの世界で生き残りたいならどうするべきだ」
「そんなもん、強くなるべきじゃないのか」
オニキスさんが答える。
「じゃあ、そのためには何をする必要がある」
「何って、武器を揃えたり……あ」
「そうだ、武器を揃える、防具を揃える、アイテムを揃える。これがまず俺達に必要な事だ」
「そっか、だからメディックを探しに行ったんですね」
そこで、テルルさんが閃いたように話し出す。
「普通に考えたら、皆装備や防具を出来るだけ高くて高性能な物にしたいはずです。ですが、アイテムも必要なら、値段と性能を下げなくてはいけない。もしくは、回復薬を諦めて回復魔法の使い手をチームに引き入れるくらいです、出来ることは」
「そんなの、出来る訳ないでしょ。回復できるのなんかメディックかエクリスター位……」
「私だ」
「そういう事だぞ。ははは」
ヒバチさんは呵呵大笑としているが、私含めて皆が皆驚いていた。だって、さっきアナウンスがあって何時間経った? いや、何時間しか経っていない? まだ一日も経っていないんだよ、なのにこの人はもうこの現実を受け入れて生き残る術を模索しているというのか。
「とにかく、これで俺がメディックを探したのにも納得できる理由が出来たよな。もちろん、回復薬をじゃあ買わなくていいって訳じゃない。MPだって温存しないといけない状況はあるかもしれないからな。だが、長期的に見てメディックの意味が変わったことに気が付いた奴は直ぐ動くと俺は思うがな」
「……ごめんなさい、正直メディックが重要だとは思っていなかった」
「ユカさん謝らないでください」
そう止める私だが、正直早速このチームで危機がもうすぐ訪れるとは思っていなかった。
原案となった元の作品です。著者:ヨシオカ フヨウ様
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