宴会
あの後早々に教会を追い出された俺達はネルの家の個室の宴会場にいた。
ネルの家は中規模の七宝樹という宿屋をしている。基本的には食堂や酒場での営業がメインだが、奥には個室がありそこでは高価なフルコースを頼むことが出来る。
一泊銅貨五枚の部屋から一泊金貨六枚の部屋まで多様な部屋がある。そして食堂の奥には個室の宴会場がありそこにオレとネルとジークとラーネの四家族全員が集まっていた。
そこに三十人近い人数が集まっていた。
因みに習わしで外に出ることができない七男とかーちゃんは家で留守番をしている。
まずオレの家は12歳のいちにぃからつい先日ステータスの儀式を終えた五男六男ととーちゃんの8人で
ネルの家は12歳の長男から4歳の七男と父親の9人で
ジークの家は12歳の長男から四男のジークと父親の5人で
ラーネの家は12歳の長女から五女のラーネと父親の6人
それぞれの母親と3歳以下の子供を除く28人が集合している。
「ガハハ!しっかしすげーなお前んとこの坊主は!新種のスキル持ちだっつんだからな!!」
「おいランブク飲みすぎだ。お前のとこのジークも冒険者向けのスキルじゃねえか、まるで剣士のお手本のようなスキルだらけだしな」
「あたぼうよ!ジークのヤンチャさは兄弟1だかんな!
そういうラゾイロのとこも斥候向きのスキルだったじゃねえか!」
「おうよ!うちのラーネちゃんはかわいくてすごいんだ!」
「あの二人は相変わらずだねラース」
「そうだな、お前のとこのネルウァは商人にぴったりのスキルだったな。しかも加護付きだ商人ギルドからも話が来るだろ。」
「お前のクリウス君はどうすんだい?職人ギルドにいれるのかい?」
「うちは基本的に放任主義だ、アイツが入るっんならいれるが冒険者でも学園に行きたいでも言ぇぁ好きにさせるさ。」
そんな男達と違って俺達子供はやっぱりステータスの話で盛り上がっていた。
「なあクウやっぱりお前のステータスすごいよなもう一度見してくれよ」
「いいけどいちにぃ達のステータスも見せろよ?」
「おう、勿論だ、ここにいる兄貴と姉貴全員のステータスを見してやるよ」
「おい何言ってやがる!?」
「よっしゃー!じゃいっくよー!」
「ちょまっ…まあいいか」
[名前]クリウス
[性別]男
[年齢]5歳
[種族]人間
[レベル]1
[生命力](D)15/15
[魔力](A)38/38
[体力]11
[精神力]23
[器用]18
[素早さ]12
[運]19
[スキル]【錬金術】【基本属性魔法】【魔本】(鑑定・アイテムボックス)【木魔法】
「やっぱすげーなバケモンになるんじゃねえか」
「おいコラテメェ!シュバルク何、人の弟をバケモノ呼ばわりしてんじゃ!吊るすぞ!」
「おい!ちょっと待てってマジで蔓出すなよ!ってテメェ!ナトレス酔ってんじゃねえか!誰だコイツに酒飲ませたのは!」
「テヘッ!」
「テメェかよノーネぇぇ!あっちょっそこはやめて!あぅ!」
「腐腐腐腐腐」
……ってな具合にそれぞれの長男・長女が暴走してるけどそれ以外は特に平和に話したりしてるな。……うん。平和だないちにぃが出した蔓がシュバルクのケツに服の上からめり込んでるけど、平和だな。ノーネ姉ちゃんが腐女子とは知らなかったなー(棒)ってか腐女子がこの世界にいるってことが驚いたな。因みにネイムスはオレのステータスの異常さをオレと他の兄弟達に教えようとしてくれてる。
「まずクウ君のステータスは数値が異常に高いんだ
冒険者で例えると
S人外
A超一流 LV.100まで
B一流 LV.50 ステータス平均200
C中堅 LV.40 ステータス平均100
D一人前 LV.20 ステータス平均50
E駆け出し
F見習い LV.10 ステータス平均30
G仮登録
H体験 10~11歳の子供限定
このFラン冒険者がレベル10くらいでなる数値を一部だけどLv.1の時点で上回ってるんだよ。
つまりクウ君は魔力だけで言うとFラン冒険者の平均を越えるから異常だって事だね。さらに鍛えれば鍛えるほどレベルアップの時に成長するからどこまで成長するか想像できないよ。」
「ねえネス兄さん。何でクウのスキルに魔法が二つあるの?」
「それは別におかしなことじゃないんだよ、魔法にはいくつか種類があってね。基本属性魔法・上位属性魔法・失伝魔法・血脈魔法。これ以外にもあるんだけど……
基本属性
火・水・風・土・光・闇
上位属性
炎・雨・空・岩・癒・病
派生属性
天気・草・毒・物理・地面・飛行・念・虫・岩・霊・竜(龍)・妖精(精霊)・善・悪・鋼・木・花・
自然系属性
木・草・花・焔・川・河・海・大海・太陽・竜巻・嵐・蔓・雷・
生物系属性
霊・竜・龍・妖精・精霊・動物・魚・虫・蟲・鳥・魔
鉱物系属性
土・石・岩・鉱・砂・金(硬貨)・大地・金(鉱物)
その他属性
薬・時間・空間・毒・神
これが主な属性一覧だよ。一行目が基本属性魔法でクウ君のスキルは【基本属性魔法】だから基本6属性全てが使えるってことだね。これは別に珍しいことじゃないんだ。6属性使えるからって生活魔法ぐらいしか使えない人が大半だしね。それに一つの属性(例えば火魔法)しか使えない人と比べると滅茶苦茶強いって訳じゃないんだ、手札が多い分器用貧乏になるみたいだね。それに属性の進化もしづらいみたいだし。
属性の進化はねこんな感じだよ
火・炎・灰・焔・太陽
水・雨・氷・流・大海
風・空・雷・嵐・大気
土・岩・鉱・脈・大地
光・癒・清・聖・命
闇・病・濁・邪・死
そして血脈魔法だけど、これはその一族だけが持っている場合と強さが違う場合があるんだ。
後者の場合は分かりやすく言うと僕が火魔法を使ったときは握り拳ぐらいの大きさだけど、血脈魔法の火魔法だと同じレベルで同じ魔力を使っても、火が頭ぐらいの大きさになる。それに魔法の自由度も全く違うんだ。ナトレスを見てみて」
そこには、天井や床、壁等のありとあらゆる木から蔦が出てきてシュバルクを空中に吊るしてるいちにぃの姿があった。蔓の太さも前衛の冒険者の腕ぐらいの太さがあった。
「普通の木魔法だとあんなに太い蔓はでないんだよ。出ても木の枝ぐらいの細さだね。つまりクウ君の【木魔法】も血脈魔法だってことだね。あと、こんな例もあるよ【火魔法】と【基本属性魔法】って具合にね。この場合は火魔法が血脈魔法で基本属性魔法よりも強力だから別れてるパターンだね。
まあ普通は【火魔法】【水魔法】みたいな2属性持ちの方が多いんだけどね。」
「「「「へぇー」」」」
回りで聞いていた他の兄弟もなんだか分かったような分からなかったような声を出していた。それにいつの間にか来ていたそれぞれの父親も「ほぉー」「知ってたか?」「しらん」「よく知ってるな」って後ろでこそこそと話していた。
「それよりも僕はクウ君の【魔本】っていうスキルに興味があるんだけどね!」
「お!待ってました!」「どんなスキルなんだ」「本ってなにー」「まぼん?」
それぞれ思い思いにガヤガヤと騒いでいたが、一様に目はこっちを向いていた。
そんなみんなの目にムフゥと自慢げに胸を張っておれはスキルを発動した。
「仕方ないなー『ブック』!」
ぼふん!と辞書くらいのサイズの本が現れて中に浮いていた。
「『オープン』」
するとパラパラとページが捲れてちょうど真ん中ぐらいで止まった。そこには何も書かれてなく、白紙のページだった。
「『クローズ』」
そう唱えると今度は逆向きにページが戻り元の閉じた状態になった。
………
……
…
「それだけ!?」
「そんな分けないじゃん!ペンで絵を描いたり文字を描いたり出きるよ!」
「メモ代わりに出きるのか、でもショボいなーもっとこう、バーとかガーとか出来ねえのかよ」
「なんか期待外れね」
「もっとすごいって思ってたー」
みんな好き放題言ってくるな~!仕方がないな!そこまで言うならとっておきのやつを見せてあげる!
「むぅー。これだけじゃないし!こうなったら取って置きのみせてやる!ネル!この本の魔方陣の部分に手を置いて!」
「えっ!ぼく?
えっとこうでいいの…?」
そう言って閉じた魔本の表紙の魔方陣の部分に手を置いた。そして、自分も上の部分を触ったまま
「じゃあいくよ!『鑑定』!」
と言った。すると表紙が捲れて一番最初の白紙だったページにネルのステータスが表示された。
[名前]ネルウァ
[性別]男
[年齢]5歳
[種族]人間
[レベル]1
[生命力](C)18/18
[魔力](C)19/19
[体力]18
[精神力]19
[器用]19
[素早さ]14
[運]36
[スキル]【審美眼】【目利き】【値踏み】【従魔術】
[称号]商人の神の加護
「さらにこんなことも出来るんだよー!ポチっと」
勢いに乗ったオレがスキルの【値踏み】を触れるとページの下の空白の部分に【値踏み】の詳細が出た。
【値踏み】
その物にふさわしい値を見積もってつけること、余りにも見積もりと離れている場合は高い場合は赤に安い場合は白に適正の場合は青に光る。
「レベルがあるスキルだと+5のスキルレベルまでに覚える技を見れるんだぞ!」
どうだ?すごいだろ!って思って周りを見たら何故かスキルを持ってる大人達はみんなポカーンって顔になってた。
「ど、どうしたんだよみんな…………」
「「「ハッ!」」」
「クウ!お前のその魔本は鑑定が使えるのか?!」
「うわっ!…いちにぃ落ち着いて!アバババ」
おれの声で正気に戻ってきたみんなのなかで一番早く突撃してきたのがいちにぃだった。興奮して肩を掴んでブンブン揺らすからなんか気持ち……悪く……なって…きたかも。
「おい、ちょっと落ち着け。クウがリバースしそうになってるぞ」
「…………あっ!ごめんなクウ。父ちゃんもありがとう」
良かった!父ちゃんが止めてくれなかったら、せっかく食べた御馳走が飛び出す所だったよ。
「おう。気を付けろよ?
それでクウ。俺も気になってるんだがお前のその魔本スキルは鑑定が使えるスキルなのか?」
「うーん。そうだけど、そうじゃないよ。
このスキルは人によって使えるスキルが違うんだ。えーと、なんて言ったら良いんだろう?…………あっ!そうだ!『鑑定』!からの詳細ポチっと!」
分かりやすく言うのってムズいよな!だから魔本スキルの鑑定を使って説明を見せたんだ。
これが【魔本】の説明だ。
【魔本】
スキルを使用すると魔本と言われる本型のアイテムを召喚できる。
この本は【魔本】スキルを持ってる者にしか開くことは出来ず。その者の許可無く使用できない。
使用する場合もスキル保持者が触っている状態でのみ使用可能。
このスキルはスキル獲得の義かスキルオーブでの獲得しか出来ない。
【魔本】スキルには初めからランダムに2~5個のスキルが付属している。又魔本に付属しているスキルには一部仕様が変更されてるスキルがある。
【魔本】スキルはアイテムとしての【魔本】を吸収することが出来、その【魔本】に付属しているスキルを獲得できる。
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