ステータスの儀式
2話目まで来ていただきありがとう!
短めなのでサクッと読めると思います!
「じゃああんた達留守番を頼んだよ」
「任せて!母ちゃん。ちび達の世話をしながら待っとくから」
母ちゃんといちにぃ達が話してる間おれはというと父ちゃんと手を繋ぎながらウズウズしてピョンピョンと忙しなく動いている。
「クウ。ちょっとじっとしてろ」
「とーちゃん、だってだって外だぞ!外!おれ外に行くの始めてだからワクワクしてるんだ!」
「そうかい、じゃあ早くいこうかね」
いつの間にか横にいたかーちゃんが俺の手を握りながらドアを開く。
「うわぁー!!」
家から出るとそこはガヤガヤと活気がある裏通りだった。
石造りの家や土壁の家にレンガの家、屋根は全て薄い緑色でいろんな匂いがたくさんしていた。
「ほらあんた達行くよ!」
「うん!」
そうして俺は始めての外へ足を踏み出した。
歩き出してすぐに大通りに出た。後ろを振り替えると大きな三階建ての今出てきた家が見える、一回の部分がお店でガラスのような透明の板が付いたショーウィンドウから覗く商品がとっても綺麗だ。この辺りには三階建ての大きな建物が多いようで広場のようになっている周りに6、7軒が小さな通りを挟んでならんでいる。
そこからさらに進むと、次第に屋台や露天が増えてきて、いい匂いがあちこちから漂ってきた。まるでお上りさんのようにキョロキョロと辺りを見渡してふらっと行こうとするのを両脇の両親に手を引っ張られて止められることを繰り返していた。
そうしてしばらく歩くと白く輝いている大きな教会に着いた。両親に引っ張られるように進むとそこには多くの同じくらいの子供が沢山いた。
「なあとーちゃんここで何するんだ?」
「今日はステータスっていう自分はこういう人ですって知ってもらうためのものを神様からいただく儀式をするんだ。
後、5歳になったらスキルっていう自分が何が出来るか分かるものも頂けるぞ。」
「ふーん」
『おーいそこにいるのはラースじゃないか!』
始めての教会を前にとーちゃんとふらふらと歩いていたら野太い声でとーちゃんを呼ぶ声が聞こえた。かーちゃんは他の母親と井戸端会議をしに突撃してるよ。
因みにとーちゃんの名前はレウィラースって言って親しい人にはラースって呼ばれてるみたい。
「おお、ネモスティお前の所も今日だったんだな。ほらクウ挨拶しな。」
そして目の前までやって来たのは三十代くらいのがっしりとした男と俺と同じぐらいの優しげなタレ目の男の子だった。
「おれの名前はクリウス!家族にはクーとかクウってよばれてるんだ!よろしく」
「お!挨拶できて偉いな。俺はネモスティ、この街で宿屋七宝樹をやってるんだでこいつがネルウァ…ほらお前も挨拶しろ」
「う、うんパパ。僕はネルウァ……家族にはネルって言われてる、よろしくね」
「ネルか!よろしく!!」
そう言って俺たちは握手をしていろんな話をした。家の事やかーちゃんととーちゃんの事、にーちゃん達の事も話した。
クリウスは六人兄弟で男ばっかりらしい。そのうち最初にネルウァが呼ばれてその後すぐに俺たちも呼ばれた。
祭壇の前まで行くと神父らしき人が待っていて俺たちの名前を確認して祝辞を述べた。
『神よあなた様のお見守りのお陰でレウィラースの三男クリウスが三つの年を終えることが出来ました。この者にあなた様のご加護を是非ともお与え下さい。』
『さあクリウスよそなたの目の前にある水晶に神への祈りを込めて触れるのだ。』
そう神父が言い終わると祭壇にあった水晶がゆっくりと浮き上がり俺の腕の高さで止まったまま淡く光だした。
何故か優しく撫でられてるような気持ちになり気づいたらそっと水晶に触れていた。
すると、天から優しい光が降りてきて俺をふわりと包み込みすぐにふわっと淡く光るシャボン玉のように天へと帰っていった。
暫く呆然としていたがとーちゃんに声をかけられて歩き出した。そして気がつけば家に帰っていた。
その夜庭の木の下に一人で座って空を見ていた。
今、家族の誰かが俺の顔を見たら別人だと思うぐらい雰囲気が違っていた。いつもの勝ち気そうなやんちゃ坊主の顔じゃなくて、物静かな儚げな顔をしていた。そして……
『ステータス』と呟いて現れた半透明な画面をジッと見る。
そこにはこの世界に来るきっかけになった輪廻転生の神ティグスファーブスからの手紙があった。この手紙は俺が産まれてすぐにある程度の事を書いたチュートリアルみたいなものを与えてくれていたがその続きのようなものだった。
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さて無事に三歳になれたようだな。俺様からのこの手紙は0歳、3才、5歳、10歳、15歳の五回だけしか見ることができない。
ステータスについては本能的に分かってるだろうが一応説明しといてやる。
[名前] そのまま
[性別] そのまま
[年齢] そのまま
[種族] そのまま
[レベル] そのまま
ステータスには産まれた時から成長限界値が()のなかに表示される。
表示は《SABCDEFG》で表示される。
S 格が違う
A 一流
B 才能あり
C 普通より出来る
D 一般的
E 普通より出来ない
F 才能無し
G 全て悪い方になる
[生命力]( ) / 後どれくらい生きられるか、0になれば死ぬ。部位欠損の場合は最大値が低下する。
[魔力]( ) / 後どれくらい魔法が使えるか、0になれば気絶する。部位欠損の場合は最大値が低下する。
大体三歳ならすべてのステータスが、5が平均だな。生命力と魔力が5以下なら病気などで死ぬ可能性がすごく高いってことになる。ランクで言うならD以下だな。
[体力] スタミナ
[精神力] これが多ければ魔力も多い
[器用] 手先の器用さや命中率に関係する
[素早さ] 足の早さ等に関係する
[運] そのまま運
後は5歳になるとスキルと称号が付与される。それまではスキルを使うことが出来ないから気を付けろよ。その時にお前が希望したスキルも付与するからな。後今日からダンジョン等でアイテムとして魔本が出てくるから頑張れ。
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[名前]クリウス
[性別]男
[年齢]3歳
[種族]人間
[レベル]1
[生命力](D)5/5
[魔力](A)7/7
[体力]5
[精神力]7
[器用]7
[素早さ]5
[運]9
やっぱり俺は魔法タイプのようだな。家に帰った後、みんなで見たときも驚いていたけど、さてこれからどうするか。
今この体の中には二つの思考が存在している。
年相応の精神のおれと前世の17年分の精神を持っている俺。考え方や思考能力は違うがどっちも俺であることには変わりはない。表に出るのはおれで俺は思考能力でサポートする形になる。
でもティグスファーブスからの手紙が来るときには俺が表に出ることにする。勿論一人きりの時だけだが。
そして外に出たことでチュートリアルの本も更新されたようだ。この村の事が新たに追加された。
この村はミミル村といい。ダンジョンの近くにある村で、村の規模は町と呼べるぐらいの大きさだが住民はそんなに多くない。ほとんどが冒険者や商人で後は領主の騎士や兵士等だからだ。そして村の周りには広大な畑があり、その収穫物とダンジョンから得られる薬草や木の実に木材とモンスターの素材と少しのアイテムがこの村の特徴であり、この村には三つのダンジョンがある。駆け出しレベルが1つと初心者レベルが2つある。
そして同じような村があと2つダンジョン都市を囲むようにある。
そしてこの村はダンジョン都市とその回りの村の食料の生産基地でもある。
他の2つの村はダンジョンの数こそここより少ないがその分レベルが高い。そしてダンジョン都市の周りにも複数個のダンジョンがある。
その為、この村は冒険者が多い割に治安が良い。
そんな村だからこそ俺が過ごすにはぴったりだと思う。
この先はこの世界でやりたいことだけをやることにする。だって前世の自分がやりたいことなんてそんなに無いんだからな。俺は地球で産まれた俺じゃなくてこの世界でとーちゃんとかーちゃんに育てられたおれだってことだな!
そうしておれは家族のみんなが待っている大好きな家に帰っていく。その背中はとっても小さくて、でも何処までも伸びる大木の芽のようだった。
(クウ)ここでおれの家族の見た目紹介をするから見てくれよ
まずはとーちゃん!
レウィラース (32歳)水色の髪と深い緑の目のゴツいやんちゃ気なイケメン
次はかーちゃん
ハレスア (30歳)金色の髪と明るい茶色の目のふくよかな肝っ玉母ちゃん
次はいちにぃ
ナトレス(10歳)金色の髪と深い緑の目の同年代では大きめの体でかっこいい系のイケメン
次はにーにぃ
メノケス(8歳)明るいオレンジの髪と優しい黄色の目の大人しい系イケメン
次はねーちゃん
ノモネア(6歳)根本に行くほど濃い水色で毛先に行くほど銀色になる不思議な髪を腰の辺りまで伸ばしてて青紫の目のかわいい系の女の子
次はおれ!
クリウス(3歳)真っ赤な髪と茶色の目をしたやんちゃ坊主!
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