01.転生
始めましての方もおしさしぶりの方もどうも霊馬です。
ちょくちょく書いてた小説を試しにあげてみることにしました。
人気があれば長く続ける予定です。
思いの外評価やブックマークが付いていたので手直ししながら続きを書いていきます。
気長に待っていて下さい。
転生
『さあ起きろ!いつまで寝てるんだ!!』
「うわっ!!」
いきなり知らない男の怒鳴り声で叩き起こされた俺は、何処か分からない大理石の床と二人掛けのソファーが向かい合わせに2つとテーブルだけがある謎の空間にいた。
「誰だぁ?あんた!」
いきなり叩き起こされて知らない場所にいて警戒してる俺はイライラした様子を隠さず、ヤカラのように言い放った。
この場所には俺以外にさっきの声の主で二十歳ぐらいの長身の堀が深い顔でムカつくがソコソコイケメンな男性が立っていた。
『俺様はディグスファーブス。お前が言うところの異世界の輪廻転生を司る神だ。』
いきなりそんなことを言い出したそいつはソファーにゆっくりと座りながらこちらをじーと見ている。
っていうか輪廻転生を司る神だ!って頭可笑しいんじゃないか
『今回の候補は随分と口が悪いんだな。まあここはまだ俺様達の世界じゃないから多めに見てやるが…お前は気づいてるのか?自分が死んでるってことに。』
あ?何言ってんだよそんな訳…………あっほんとだわ、俺死んでんだな。
『おいおいおい!随分簡単に受け入れんだな!?普通もっと混乱したり受け入れられなくて泣き叫んだり喚いたりするもんだぞ?!』
んな事言ったって俺が死んだのは事実でもう葬式も終わってるし、親友を守れたんだからそれでいいだろ?
『だろ?じゃないんだが……。今回の候補は随分と変わってるな。確かお前は……幼馴染みで親友の少年と一緒に変な組織に誘拐されて何とか親友を逃がしたはいいが結局殺された。結果その親友は助かって無事保護された…な。今回の候補は随分と修羅場を潜ってきたようだな。それにしても……そこまで割りきれるってお前はすごいな!ハッハッハッハ!』
んでお前は何の用なんだよ。異世界の輪廻転生の神が一般市民の俺に何かあんのかよ。
『お?神だってことは信じてくれたんだな。さっきまであんなにバカにしてたのに』
そりゃあ俺が死んだのが分かったんだから百歩譲って信じてやるさ。それにさっきから俺の心を読んでくるし、神ならそれぐらい出来るだろ?
『なんだ気付いてたのか、まあいい。じゃあ無駄話は辞めて本題に入るぞ。お前には今2つの選択肢がある。
1つはこのまま元の世界の輪廻転生の輪に入ってこのまま消えるか。
2つ目は俺様達の世界に転生するかだ。
俺様達の世界は簡単に言うと剣と魔法の世界で王や貴族がいてスラムや奴隷もいる。勇者や魔王がいて魔物やダンジョンがある。ステータスやスキルもあるが命が軽い世界でもある。
さあどうする?』
そんなの決まってるだろ?お前達の世界に転生するさ!
地球で一度死んだんだ、今度は違う世界で生きるのも楽しそうじゃねえか!
『お前ならそう言うと思っていたぞ。なら転生の説明だ。
まずスタートは赤ん坊からだ、出生はランダムで場所もランダムで性別も種族も容姿もランダムだ。
必ず産まれた直後は親がいるがその後は知らん。
ここで決めるのは転生特典のスキルのみだな。どんなスキルがいいかはこのボードの中から選べ』
そう言って差し出してきたのは半透明なボードだった。そこには数えきれないほどのスキルが書かれていた。
うっわ、スキル以外全部ランダムかよ。しかもスキルもすげー数があんな、おいディグスファーブスこういうのでテンプレな【鑑定】と【アイテムボックス】のスキルはあるのか?
『ああ勿論あるぞ』
じゃあその2つと……お!これなんかいいな【錬金術】これも追加で、後は……なあこの【基本属性魔法】ってやつはどの属性があるんだ?
『ああそれか。それは基本属性って呼ばれてる魔法が全部入ってるやつだな。詳しくは火水風土光闇の六属性だな。』
じゃあこれも頼む。これぐらいかな?そういえばこの4つってどれぐらいの奴が持ってんだ?
『そうだな……。あの世界で大国と呼ばれる王国で例えるとこうなる。
王国の人口が約5000万人で
【鑑定】大きな街に2~3人
【アイテムボックス】小さな街に1~2人(馬車1台分の容量があれば商人として十分に生計を立てられる。それ以上だと馬車3台分で貴族のお抱え。裕福な平民の家ぐらいの容量があれば王族のお抱えになれる。)
【基本属性魔法】国民の半分ぐらい(その八割以上が生活魔法レベル。それ以上だと貴族や王族のお抱えの場合が多い。)
【錬金術】豊かな村に1人
ぐらいだ。まず間違いなくこの4つを持っていたらめんどくさいことになるな。どれだけ使えるかはお前次第だが、基本的にレアなスキルばっかりだ。』
んーどうするか、んーーー。
そうして悩むこと体感三十分以上。見かねたディグスファーブスがこんな提案をしてきた。
『そんなに悩むなら新しいスキルを創るか?あの世界じゃあ毎年何個も新しいスキルが発見されてるから珍しいことじゃないぞ。』
おいそれを早く言えよ!悩んでたのがバカみたいじゃねえか!じゃあこんなスキルはどうだ?
そこからは二人の話し合いが続いた。思いの外長くなりだいたい3時間後に意見が纏まり新しいスキルが創られた。
それがこのスキルだ。
スキル【魔本】( )は神がつけた制限
・スキル所持者は魔本を召喚することが出来る。
・(魔本の召喚できる数はスキルのレベル1つに付き1冊)
・魔本は召喚した本人しか使うことが出来ないが召喚者が触れている状態で触れば召喚者でなくとも使用できる。
・スキルの【魔本】はアイテムの魔本を吸収できる。
・吸収した魔本に付いていたスキルを得ることが出来る。
・(吸収できる魔本とスキルの数は自分の最大魔法量に関係している。)
・各属性魔法の魔本はそれ単体では属性強化装置にしかならない。
魔法を使用するためにはダンジョンから出る魔本の紙片(◯◯◯には魔法名やアーツが入る)というアイテムを合成するしかない。
・特定のスキルがあればスキルの【魔本】に付いてるスキルをスキルが付いてない魔道具の魔本に付与できる。(二つのスキルを同時に発動しなければならない。高難易度)
・魔本を使用したスキルは一部仕様が変化する。
・スキルの魔本には初めからランダムで2~5個のスキルが付属している。
(このスキルはスキル獲得の義かスキルオーブでの獲得しか出来ない)
俺が転生した後にアイテムとしての魔本があの世界に出始めるそうだ。だいたい産まれてから三年後から。
このスキルを創った代わりに【鑑定】と【アイテムボックス】のスキルは【魔本】の付属スキルに入ることになった。
最終的にスキルは【錬金術】【基本属性魔法】【魔本】の3つになった。
『じゃあそろそろ。転生してもらうぞ?後転生したら世界の説明とか注意事項とかのチュートリアルみたいな本を知識として与えるから最初はそれを見て暇を潰しとけ。
最後にお前には使命はないが地球の科学技術を無闇矢鱈と広めないでくれ。世界には世界の成長の仕方、スピードがある。過ぎた文明や技術は世界を滅ぼす事に繋がる。まぁ無理にとは言わないから、向こうの世界でも頑張れよ?
無礼な転生者?』
ディスクファーブスのその声が聞こえたと思ったらだんだんと目の前が暗くなり――――
《オギァ!!オギァ~!!》
『御目でとさん、男の子だよ。』
そう言って皺くちゃな手で差し出されたのは産まれたばかりの男の子(俺)だった。
そこから俺のこの世界での生活が始まった。
─それから三年─
『クリウス~!何処にいるんだいー!出てきなー!』
「ねーちゃん、シー!だかんな。かーちゃんに見つかっちゃうから」
『でもクー、今日は大事な日だから早くいかないとかーちゃんに怒られるよ?』
あれから三年おれはスクスクと大きくのびのびと過ごし今日で三歳になった。ちょっ~とだけやんちゃだがこんぐらいは普通だよな?
あの後、おれはクリウスと名付けられ元気に過ごしてる。
おれの上には兄が二人姉が一人いて俺の下には弟が四人いる。
それぞれ十歳の長男、八歳の次男、六歳の長女、三歳の三男、二歳の四男、一歳の双子の五男六男、末っ子四ヶ月の七男。これに両親二人を合わせた十人家族が今世のおれの家族だ。
『そうだぜクウ。今日はステータスの儀式だろ?それに行かないと外には出れないぞ?外に出たいだろ?』
「うわ!…なんだ、にーにぃか~………んー? !! 外にでれるの!!!」
いきなり、話してきたからびっくりしたが、話してきたのはおれの兄貴でこの家の次男だ。因みにさっきから一緒にいるのは長女だ。見た目はまた今度。そんなことより、そう!おれはまだ外の世界を見たことがない。今までずーとこの家の中だけにいて外には出してもらえなかったんだ。後ステータスの儀式については知らん。
『ああ、だから早くいこうな………そっれ!その前にやることがあるけどな。』
話しながら俺を背中から脇に手をいれだっこしたにーにぃを見上げながら、やること?って聞くと無言で顎をしゃくって前を見るように促された。それにしたがって前を見ると………まるで鬼のように怖い顔をした母ちゃんがこっちにずんずんと来るところだった。
あーあれぜっったいに怒ってるな~。
そんな呑気に考えてるけど実際はサーと顔が青くなり
「に、にーにぃ。はなしてー!おーろーしーてー!」
っていいながら手足をバタバタさせながら必死に逃げようとしていた。
するとさすがに八歳児の筋力では暴れる三歳児を捕まえておく事はが出来なかったのか、拘束が外れた。おれは怒れるかーちゃんから逃げようと反対方向にトテトテと走っていくが、首根っこの服をつかまれ、一瞬だけ幼児体型のお腹のお臍を出して走る間抜けを晒した後がっしりと拘束された。
「んーーー!」
憎たらしげに睨んで見上げるがこっちを全く見ずににーにぃに声をかけている。
『全く、しっかりと持っておけよな。じゃないと俺らまで怒られるんだから。』
『悪いな兄ちゃん』
そう。俺を捕まえた犯人は一番上の兄のいちにぃだったのだ!
そして俺はいちにぃが近くまで来ていた鬼に、流れるように渡して、まるで荷物のように肩にのせて運ばれているのだ。
「たーすーけーて~!う~りゃぁ~ぎ~り~も~にょ~!」
《バチッ》
「いた~い~!!」
暴れる俺のお尻を叩いて大人しくさせながらずんずんと進んでいく。ああこの世は薄情なり。
読んでいただきありがとうございます。
是非感想や評価をお願いします。