表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まだ魔王討伐に行くのは優秀な幼なじみ達だけだと思っているごく普通の少年の日記【連載】  作者: 日暮キルハ
まだ魔王討伐に行くのは優秀な幼なじみ達だけだと思っているごく普通の少年の日記
5/102

四日目

 落ち込んでも仕方ない。

 一夜空けて、ようやく今、俺はその結論に辿り着いた。

 思えば昨日はほんとにどうかしていた。


 たしかに状況は悪い。

 本当だったら村に帰れるはずだったのに、気付けば魔王討伐についていって死ぬような思いをするか、不敬罪で死刑になるかの二択を迫られるわけの分からない状況に追い込まれていた。

 そのうえあれやこれやといううちに不明だった俺の立場はすっかり『料理人』ということで外堀は埋められてしまった。


 たしかに一見するとろくなものじゃない。というか改めて書き記してみてもちょっと吐きそうになるくらい酷い。昨日の俺があんな怪文書みたいな日記を書いてしまったのも納得の惨状っぷりだ。

 でも、それだけじゃない。決して、悪いことしかないというわけでもない。


 悪いことが続くとついついネガティブになってそれにしか目がいかなくなってしまう。けれど、探せばそのなかには気付かないだけで良いことも紛れているものだ。

 少なくとも、俺はこれでユーリ達と離れる必要はなくなった。別に俺だって好きで距離をおこうとしているわけではないのだから、捉え方によっては一緒に冒険をできる機会を手に入れたとも言えるはずだ。

 それに、こんなことでもない限り、きっと俺はずっと村から出ることなんてなかっただろう。そう考えると外の世界を知ることができる良い機会に恵まれたとも言える。


 悪いことが起こったからと言って落ち込んでいたって何も変わらない。そういうときにこそ、どうすれば状況を打開できるか、最善の結果を掴むために何ができるかを考えなくてはならない。


 幸いなことに、と言っていいのかは不明だが、魔王を倒す為にユーリ達は今よりも強くなる必要があるらしい。一人につき一人の教育係がついて修行をつけてくれるのだとか。

 そのような事情もあってすぐに魔王討伐に行くわけではないし、もちろん料理人の俺にそんな修行はあるはずもないので時間はそこそこ猶予がある。


 この時間を使ってこれからどうしていくかをじっくり考えて行けばきっと何かが思い浮かぶはずだ。



 落ち込んでたって仕方ない。

 俺にだってできることはきっとある。

 どんなときだって、前向きな心を忘れない限り、道は開く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 連載有り難うございます(笑) ってか、魔王倒したら王様達から狙われるの確実ですやん(笑) 良くて全国指名手配? もう第三王子も拉致って、無理矢理仲間にするしかないような気がする… と…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ