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Tomorrow Hunt  作者: hiro
8/14

武器

7


『それでは時間になりましたので説明を始めます。』


そう言うと試験官は床に降り立ち、髪色は金から黒に変化した。


『はぁはぁ。これ疲れるんですよね。一応威厳のために飛んでますが。』


黒髪になった途端、口調はくだけて親しみやすくなった彼女はニコッと笑うと話を続けた。


『ボダラ=ポール(22)、そしてライ=トーラス(17)。ここに2人のハンター試験合格を認め、つきましてはボダラ=ポールはEランク、ライ=トーラスはFランクハンターの称号を与えます。』


Eランク?!


Fランク以外のスタートなんてあるのか。


『はい。ありがとうございます。』


普段のおチャラけた態度とは反対に、まるで結果が当然であるように、彼の返事には一切の迷いがない。


面接のみでの飛級に返答を忘れて驚いていると、それを見たボダラが笑いかける。


『俺はハン学に入るのも少し遅れたから。お前よりスタートが遅い分、こう見えて頑張ってんのよ。』


ハンターを目指す者は必ずハン学を卒業しなければならない。俺は本来の1年生である13歳から通うことが出来たが、彼のように遅れて入学するものももちろん居て、その中で彼は本来5年を要する修業期間を3年で終えている。


おちゃらけているように見えて、しっかりしているのか。


話が終わると試験官は目の前にご馳走でもあるかのように豹変し、どこからともなく奇妙な箱をいくつも取りだした。


『じゃあ、お待ちかねっ!これからが本番だよ!』


実は俺もこれを楽しみにしていた。これを得て、ようやくハンターになったんだと自覚できるこの時を。


『武器を選べっ!』


彼女はハイテンションで叫んだ。少し情緒が心配になる。本当に最初の金髪の女性と同一人物なのかすらも疑わしい。


『なんだなんだ、おっまえ乗り気じゃないのー???』


『まさか。実は俺、もう武器決めてるんです。』


『実は俺も決めてんだよね。正直どれでもよかったんだけど、一度選んだら二度と武器系統を変えられないって言われたら考えざるをえないよな。』


ボダラは武器を選ぶ前に、目を丸くしてこちらを見つめてきた。


『そういえば、お前はなんの能力持ってんの?』


今度はしっかりと目を覚ましたボダラが質問をする。


『音の能力ですよ。』


『音?でもお前放送部にいなかったよな?音って言ったら放送系だろ。』


『放送委員会に入ったら、放送関係の仕事に就く生徒が結構多いじゃないですか。俺は絶対ハンターになりたかったので。』


『ふーん。』


ボダラはどうでもいいやと言わんばかりのリアクションを取ると再び武器に視線を戻した。


自由な人だなと少し呆れる。


『俺はこれにするぜ。』


そう言ってボダラが手にしたのはブレスレットだった。


ブレスレットは基本的に能力の発動を早める効果がある武器だ。


『あなたは素の能力が充分強力だから、能力底上げ系のその武器はいいと思う。意外ではあるけどね。』


『まぁ、俺にはこれが一番あってるんすよ。』


『自分のことは自分が一番よくわかっているってわけね。いいわ。ブレスレットと契約を結びなさい。』


『おす。』


次に彼女はギラりとこちらを睨み、一瞬で俺の目の前まで移動してきた。


『で?あんたは何にするの?』


威圧的な態度に、どこかガイダーと対面しているかのような錯覚を覚えた。しかし、有名なハンターにこのような人は見覚えがない。


『お、俺は銃系統の武器にします。』


『音って言ってたわよね。音+銃なんて斬新ね。聞いたことがないわ。でもそれだけに面白くていいんじゃない?』


『ありがとうございます。』


ガイアという剣使いのハンターに憧れる俺は、彼の背中を守れるような男になるべく武器には銃しかないと、幼い頃から決めていた。


そう、記憶喪失の俺が持つ、最も古い記憶であるあの日から決めていたことだ。

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