ライとモコモ
4
ふぁーあ
最近、特に昨日は色々あったけどよく眠れた。
パラパラパルパラパラパラパルパラ
ネジの外れた道化のような音声の目覚まし時計が7時を知らせる。
自作だが、なぜこんなアラームにしたのかは覚えてはいない。
ハンター試験は12時から受付が開始され、会場である王国中央修練場まではここから1時間程度で着くため、まだ時間に余裕がある。
コンコン
『おはようライ。起きてるかい?』
『起きてるよ。入ってくれ』
モコモがこの時間に寮にいるのは珍しい。
『今日はゆっくりなんだな。』
『流石に今日ばっかりは急いでも仕方ないからんね。』
細目が柔らかい印象を与え、彼の人柄の良さを外面から感じることが出来る。
『ついにこの日が来たんね。』
『あぁ。』
『ライは特にハンターになれるこの日を待ち望んでたからんね。』
そうだ。
ハンターに憧れる理由なんて考えればいくらでも浮かんでくる。俺の場合、幼い頃に魔物という未知の恐怖から自分を守ってくれたヒーローの背中を追うのは至極当然な事だろう。
『そういえば昨晩セルネが外に出ていった気がしたんだが。』
『僕もこの部屋に来る前にセルネの部屋に寄ってみたんだけんど、返事が無かったから気になってたんだ。』
『起きてないだけじゃないのか?』
『セルネは起きるのだけは早いんだ。昨日まで僕が寮を出る時間はいつも食堂でご飯食べてたんよ。』
『?!初耳だぞ。』
部屋から直接飛び降りてきて、朝食を食べていないのかと思ったら先に食べていたのか。
『意外だよんね。
でも今日は3人で会場まで行こうって約束してたのんに。』
『それも初耳だ。』
荷物を持ち部屋を出て寮母さんに確認をとる。
『セルネちゃんは昨日の夜から外出届を出したまま帰ってきてないね。』
『そうですか。ありがとうございます。セルネの分まで5年間本当にお世話になりました。』
寮母さんはニコッと笑うと事務室の奥の寮母室に戻っていった。
昨日も似たようなやり取りがあっただけにこの会話は照れくさい。
しかし昨日見たのは夢じゃなかったのか。
『それにしてもなんで深夜の外出を許可したのかんな。』
『俺たちはもう卒業した身だし、セルネに関しては上位3名のうちの1人だからな、無理に縛ることも出来ないんだろう。』
『あぁ、そっか。』
『流れで寮を出てしまったが、まだ4時間近くあるぞ。』
『セルネは荷物もって出ていったって言ってたから寮に戻ってくることはないと思うけんど、約束忘れるわけもないし、何かあったのかんな。』
昨日、俺の知る限りではセルネがそんな行動をとる素振りがなかったが。
『まぁどうあれ、会場で待っていれば来るだろう。』
『そうだんね。』
時間はまだまだあるが、若干の不安を抱えながらも会場へと向かった。
ようやくこれからか!?って感じですね!
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