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転生して十年経ったので街を作ることにしました  作者: 笹村工事
第二章 街の予定地に魔物が溢れているので対処を始めるよ
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2 街予定地に到着するまで車内販売試食会 その5 パエリヤ風釜飯 実食

 ふたを開けて目に飛び込んできたのは、目に鮮やかな黄色のご飯と魚介類。

 尻尾を落とし開いた海老に、柵状に切り分けたイカ、そしてあさり。

 ひょっとすると、こっちの世界の物なので、似てるだけで違う物かもしれないけど、詳しくない俺だとそうだとしか思えない。


 他にはトマトが彩り鮮やかに乗せられている。

 皮をむいて、酸味のある種の周りを落とし、果肉だけをスライスしてあった。

 

 具材は全部、綺麗な焼き色が付いている。ご飯と一緒に煮込んだんじゃなくて、それぞれ別に調理して乗せたみたいだ。


「こっちも美味しそう。どれから食べようかな~」


 うきうき気分で、食べる順番を決める。

 味も楽しみだけど、こういう選べる楽しみも、食事の時にあると嬉しい。


「まずは……これからいってみよっと」


 海老をスプーンに乗せて、一口ぱくり。

 舌の上に乗せて感じたのは、バターの風味と旨味のある塩味。

 噛み締めれば、じゅわりと旨味のエキスが溢れてくる。


(うん、美味しい)


 噛めば噛むほど美味しさが溢れてくる。 

 陸の物とは違う、海産物のさっぱりとした旨味のある塩味が口の中に広がっていく。


 それと同時に、香しいバターのコクのある旨味と、ほんのりとした甘味が合わさって美味しさを盛り上げてくれる。


(これ、バターは分かるんだけど、隠し味かなんかで他のも使ってるな。なんだろ?)


 どこかで食べたことのあるような、なつかしい味が気になりながら、今度はご飯を口にする。

 バター風味の炊き込みご飯が、海老の旨味と合わさって更に美味しい。


 ぱくぱくとご飯を更に口に入れ、今度はイカを食べてみる。


 ぷりぷりの食感が、食べていて楽しい。もちろん味だって文句なし。

 淡泊だけど、濃厚な旨味が味わえる。

 これもバターの風味と一緒に、ほんのりとした甘味が。


 それが舌の上に残っている間に、ご飯を食べていく。

 ぱくぱくと、どんどん進む。


 間に一口、お茶を飲んで、口の中をリセットしたら、箸休めにトマトを食べる。


(ん、甘い)

 

 酸味はほとんどなくて、果物みたいに甘い。

 けど、決してくどい甘さじゃなくて、口の中をさっぱりさせてくれるような、ほど良い甘味。

 噛んだ瞬間、たっぷりとした汁気が口の中に広がる。

 微かな酸味がアクセントになって、食欲を増してくれた。


 でも少し、スプーンを進める手を止める。

 次に食べようと思ったあさりを前に、ちょっと悩む。


(混ぜて、食べてみようかな?)  


 ご飯をほぐし、あさりを混ぜ込む。ごはんの底に、おこげがあったので、それも一緒に混ぜてみる。

 そして、おもむろに一口。

 じっくりと噛み締めて、美味しさに頬が緩む。


(うん。これ正解だった)


 あさりの美味しい塩味と、コクのあるバター風味のご飯。そして香ばしいおこげが合わさって、美味さ倍増。

 たまらず一気にご飯が進む。止まらず食べ続け――


「ふぅ……美味しかった」


 食べ終われば満足感が。視線をみんなに向ければ、食べ終わったみんなも、食べてるみんなも、みんな笑顔だ。

 それに、美味しそうに食べているのを見て、嬉しそうな笑顔も。


「美味しい?」

「うん! 美味しい!」


 ミリィは、隣で一緒に食べているリトの世話をしながら、やさしい笑顔を浮かべている。

 それを見詰めるカルナは、眩しい物を見ているように目を細めていた。


 少し離れたテーブルでは、笑顔でご飯を食べているリトを有希が微笑ましげに見つめ、その隣に座っているララが、少しだけ構って貰いたげに、時々視線を向けている。

 そんな2人を、同じテーブルのロッカは苦笑するように見詰めていた。 


(うん、なんか良いなぁ……)


 蒸気機関車の試運転を兼ねての移動だったけど、仲の好い皆とちょっとした小旅行の気分が味わえて、心地好くて楽しくなる。


「ごきげんだな」


 嬉しそうな声に視線を向ければ、五郎の姿が。


「ご飯が美味しかったからね。ありがとう。すっごく、美味しかったよ」

「料理人としちゃ、最高の褒め言葉だな。でも、まだ早いぜ。まだ、他の試食品も作ってるんだからな」

「うわっ、それは楽しみ。でも、作ってるって、いま作ってるってこと?」

「おう。ピザと、豚の照り焼き風サンド。あと、デザートのプリンだな。プリンは、持ち込んだ氷で冷やしてる最中だし、ピザとサンド用のパンは焼いてる所だから、ちょっと待っとけ」

「うわっ、出来立て食べられるんだ。石窯を詰み込んどいて好かった……と、そうそう、さっき食べたパエリヤ風のおかず、何か隠し味使ってた? なんだか懐かしい味がしたんだけど」

「お、気付いたか。ありゃ、甘酒だ。つっても、こっちの世界の食材と菌で作ったヤツだから、正確には違うけどな」

「へぇ、甘酒か。どおりで、どっかで食べた気がしたんだよね。ひょっとして、甘酒自体も用意してある?」

「おう。要るんなら、あとで持って来るぞ」

「ありがとう、頼むよ。あっ、それならついでに、出雲達のご飯も一緒に持って来てくれる? 持って行ってあげたいから」

「良いけど、別に要らねぇんじゃねぇか」

「え? なんで?」

「だって、ここに来てるぞ、あいつら」


 五郎の言葉に、俺は慌てて視線を追って、運転をしている筈の出雲達に気付いた。

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