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転生して十年経ったので街を作ることにしました  作者: 笹村工事
第一章 街を作る準備をするよ
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12 帰り道で襲撃されました その3 魔物との戦闘

 呪文を唱えることで、圧縮状態で保存していた魔術を活性化させる。

 解放された魔術は、俺の魔力を糧に実体化。

 一振りの妖刀として現れたそれを手に、俺は魔物に対峙する。


 その瞬間、横なぎの斬撃が。


 音すら切り裂くような鋭さで迫りくるそれを、俺は手にした妖刀で迎撃した。


 重く鈍い音を響かせ、俺は魔物の斬撃を弾く。

 それに魔物が反応するより早く、俺は重心を落とし、一気に踏み込む。


 身体強化魔術により人体の限界を超えた俺は、一足で10m以上離れていた距離を瞬時に詰める。

 あと一足。踏み込み一つで斬り裂ける距離に近づいた所で、魔物の胴体が波打つ。


 マズい、と思うより早く、魔物の新たな攻撃が放たれた。

 

 無数の針が、魔物の胴体から放たれる。

 不意打ちに近い、必殺の一撃。

 しかしそれは、なにも無い虚空を貫くことしかできなかった。


 すでに攻撃が放たれた瞬間には、俺は上に跳ぶ事で回避している。

 弧を描くようにして魔物の頭上を跳び越え、空中で身体を上下反転。

 頭から魔物の背後に自由落下し、交差した瞬間、横なぎの一撃を放った。


 手応えと共に、魔物の首を斬り裂く。

 だが、浅い。半ばを切り裂く事は出来ても、斬り飛ばすには届かない。


 俺が斬撃を放った瞬間、前に出た魔物がギリギリで致命傷を避けたのだ。


 それを確認しながら、俺は妖刀を持たない左手一本で地面に着地。

 そのまま腕を曲げ、魔物から距離を取るべく、反動を付けて跳ぶ。


 今度は足から地面に降り立つと、魔物の出方を見極める。

 見れば魔物は胴体を、くしゃりと細く絞るように縮めると、縮めた分の体積を左腕に集中。

 膨れ上がったそれを、十数本の細く長い板状の刃へと変えると、一斉に俺に向け放って来た。


 上下左右、連続して放たれた斬撃は途切れることなく、俺を追い詰めるように重ねられる。

 だが、その全ての追撃を、俺は置き去りにする。


 身体強化魔術を、更に一段押し上げる。

 地面を削るような勢いで、俺は魔物の斬撃の尽くを回避。

 荒地から林へと、緩急をつけジグザグに軌道を読ませない動きで辿り着く。


 周囲の木々を盾にするように動けば、魔物はお構いなしに斬撃を放つ。

 切り裂き抉れ、破壊されていく周囲の木々。

 それを目の端で捕えながら、俺は思う。


(威力が低い。手数だけ多くして、僅かでも傷を与えれば良いとでも言うような攻撃だな)


「……毒か」


 考えをまとめるために呟きながら、俺は今まで戦ってきた経験を元に判断する。


(十中八九、間違いないな。攻撃力を捨てても、それなら手数で補える。悪くない手だよ。でもな――)


 魔物の斬撃を避けながら見極めていた俺は、兆しを捉え林から跳び出る。

 繰り返した横の回避の動きから、真っ直ぐに跳び込んで行く点の動きに変え、魔物の間合いを侵略する。


 一跳びに半ばまで距離を詰めた所で、魔物は刃物と化した無数の触腕を引き戻し、再び俺を斬り裂こうとする。

 だが、その動きは鈍い。今までの滑らかさは失われていた。


 それは毒の効果だ。最初に魔物を斬り裂いた時に与えた毒が、効いている。

 俺が手にする、魔術により生み出した妖刀村正。それは斬り裂くと同時に、相手に毒の効果を持った魔術を食い込ませる。

 生物であれば神経系を混乱させ、魔力によって動く魔物であれば、命令系統の伝達を阻害する。

 魔術であるため、相手の魔力量や密度、あるいは魔力操作能力の高さによっては、短時間で解除されることもあるし、そもそも効かない事さえある。

 目の前の魔物に対しては、ごく短い時間、動きを鈍らせることが出来る程度だろう。


 けれど、それで十分。

 あとは、死線を潜る覚悟を持てば良いだけ。


 更に、俺は踏み込む。

 放たれる斬撃を避け、斬り裂き弾き、あるいは斬り飛ばしながら、前へ前へと距離を詰める。


「ギイイイィィィィィッ!」


 威嚇するような、魔物の憎悪の声。

 無駄だ。意味が無い。

 そんな物を上げる余裕があるなら、死線に踏み込め。


 俺はそれを証明するように、前へ前へと踏み込み続け、ついに到達する。


 踏み込み一つで斬り裂ける、必殺の間合い。

 それに気付いた魔物が、俺を抱き潰すように腕を動かそうとするが、遅すぎる。


 一歩踏み込むと同時に、重心を落とし。魔物の股下から脳天へ、全身のバネを連動させるようにして妖刀を振り上げる。


 手応えと共に、留まることなく一刀両断に魔物を斬り裂いた。


 真っ二つ、左右二つに魔物は斬り分けられる。

 その瞬間、魔物の表面が粟立つ。それに舌打ちをする余裕も無く、俺は大きく後方へと跳ぶ。


 そして、魔物は間髪入れず爆発した。

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