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転生して十年経ったので街を作ることにしました  作者: 笹村工事
第一章 街を作る準備をするよ
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10 王都のみんなに会いに行こう その3 勇者仲間に会おう

「久しぶり、山田」

「上の名前で呼ぶんじゃないわよぉ!」


 中華テーブルを前に座っていた山田薫(やまだかおる)が、身体をくねくねさせながら声を上げる。


「ちゃんと(かおる)ちゃんと呼びなさいっ、(かおる)ちゃんって!」

「え~。調子乗りそうでやだ~」

「アンタがかわい子ぶってんじゃないわよぉっ! お尻揉んであげるからこっち来なさい!」

「断る! 俺の尻も何もかもリリスの物だからな!」

「キーっ! 隙あらば惚気るわねアンタわっ!」

「もちろんだ!」


 いつもの如くいつものように、(かおる)とバカな会話をする。

 勇者の中で、特に仲の好い一人なので、気安いのを通り越してこういうバカ話が出来る相手だ。


「とにかく良いからこっち座んなさい! 私の隣に! なんなら膝の上でも良いわよ!」


 ガチで男好きなのはともかく、隙あらばこっちの尻を本気で揉もうとするのは頂けないが。

 ちなみに(かおる)は、20代後半に見える男である。

 さっきからくねくねと奇怪な動きをしているが、それを見てもなお「美形」だと思えるほどの、正真正銘の男だ。


 そんな(かおる)は、幻惑の女神ヘルの勇者であると同時に、王都の男娼たちの顔役だったりする。

 元居た世界でも、自力で自分の店を持った上に、愛人5人に店を持たせていたというだけあって、かなりの辣腕だ。


「囲ったつもりの子にお金持ち逃げされてブロークンハートなのよぅ! お尻揉むぐらい良いじゃないのよぅ!」


 かなりのアホでもあるが。


「知るか! ってか、またか! 顔ばっかで選んでるからそんなことになるんだろうが!」

「お尻も見てるわよ!」

「相変わらずだね、アンタら」


 バカ話をしている俺と(かおる)にツッコミが入る。視線を向ければ、胸が大きいので窮屈そうに作業着を来た、20代前半に見える女性の姿が。


「久しぶり、(さき)


 彼女は、生命の女神ドゥルガーの勇者である、佐々木咲(ささきさき)だ。

 生命の神与能力(チートスキル)を使い、他の同系統の神与能力(チートスキル)を持った勇者達と協力して、農業や畜産に勤しんでいる。

 (かおる)の隣に座っていた(さき)は、


「久しぶり、陽色(ひいろ)。珍しいわね、こっちに来るの。有希(ゆき)に誘われたの?」


 いつものように、寝起きみたいな、とろんとした表情で訊いてくる。それに俺は笑顔で返す。


「うん。こっちに来る用事があったから、ついでに有希(ゆき)の所に寄って、誘って貰ったんだ」

「あ、そゆこと。だから有希(ゆき)と一緒に来てたんだ」

「そうだよ。そういえば、みんな来るって聞いていたんだけど、他のみんなは?」

「都合と時間が合ったら、て話だったから、いま来てるのはうちらだけよ」

「そっか。残念だけど、待ってたら、他のみんなも集まるかな?」


 (さき)と話しながら、有希(ゆき)と一緒に開いていた中華テーブルに座る。

 いま居る部屋は、祝福の女神ヘスティアの勇者、大口五郎(おおぐちごろう)が開いている料理店の地下室だ。

 勇者のみんなが集まって食事会が出来るぐらいの広さとテーブルがある。


 わざわざここにみんなが集まっているのは、下手に勇者のみんながぞろぞろ集まると、何事かと思われるからだ。

 ここに来るみんなは、有希(ゆき)のどこでも倉庫のドアを通じて来るようにしている。


「そういえば、今日の新メニューって甘い物って聞いたけど、なんなのかな?」


 待ち遠しくなって、俺はみんなに聞いてみる。

 五郎(ごろう)は、元の世界で本格的に修行した料理人だけあって、色々と美味しい物を作ってくれるのだ。


(待ち遠しいな~)


 うきうきしながら待っているのは俺だけでなかったのか、みんなも期待感をいっぱいにして口々に喋り出す。


「詳しくは、来てのお楽しみ、ってことらしいっすよ」

「うちの所に水飴と蜂蜜の発注があったから、それ使った何かじゃない?」

「洋菓子かしらぁ? でも和菓子も良いわよねぇ。こっちの世界に来てから、一度も食べたことないわぁ」

「和菓子か。こっちの豆を使った料理って、しょっぱい系しかないから、あんことかあると嬉しいよね」

「あんこっすか。だったら大判焼きとか、たいやきも良いっすね。リト達も喜びそうっす」

「それならカスタードもありじゃない? ブロイラー方式で卵の安定供給の目処立ったから、作って欲しいのよね。あ~、シュークリームも食べたい」

「え? ブロイラー実用段階にまで来たの? マジで?」

「マジよ。卵ご飯を食べるために必死になったんだから」


 徐々に話が変わって来たころ、部屋の入り口の扉が開かれる。


「待たせたな!」


 勢い良く入って来たのは、目つきの鋭い20代前半に見える男性、大口五郎(おおぐちごろう)だ。

 五郎(ごろう)は、大きな皿に乗せられた真っ白なお菓子を俺たちの前に差し出し、自信たっぷりに言った。


「中国皇帝も愛した『龍のひげ』だ。美味いから、食ってくれ!」


 そうして差し出されたのは、


「わたがしじゃん」

「わたがしっすね」

「わたがしかぁ」

「わたがしよねぇ」


 一口サイズの綿菓子にみえる何かだった。

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