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転生して十年経ったので街を作ることにしました  作者: 笹村工事
第一章 街を作る準備をするよ
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1 女神さまに相談しよう

 王宮で無理難題をぶち投げられたその日、俺は愛しの女神さまに聞いてみた。


「どんな街が欲しいですか? リリス」

「突然、どうしたの?」


 執務机の端に、ちょこんとお尻を乗せて。

 愛しの我が女神は、耳をくすぐるような心地好い声で返してきた。


「プレゼントをくれるって言ってたけど、まさか街をくれるの?」

「ええ、そうですよ」


 俺の応えにリリスは、ちょこんと首をかしげる。

 うん、今日も我が女神は、かわいい。


 俺の視線の先に居るのは小柄な少女。

 夜闇を思わせる艶やかな黒髪を背中に届くほどに伸ばし、透き通るような白い肌は瑞々(みずみず)しく張りがある。

 淡い空色のワンピースに包まれたその体は、これから伸びやかに育つ硬さと共に、女としての柔らかさも同居していた。


 蠱惑的でありながら清純な、相反する魅力を持っている。

 彼女が我が愛しの女神たる、この世界に俺を転生させたリリスなのだ。


 リリスは思案するように黙っていたが、不思議そうに問い掛けた。


「どうして、そんなことになってるの?」

「王に無理難題を投げられたからです」

「ん……どういうこと?」


 よけい分からなくなったというような表情をするリリスに、俺は続けて言った。


「話すと少し長くなりますね。でもそんなことよりも大事なのは、貴女がどんな街が欲しいかです」


 これにリリスは、お尻を乗せていた執務机から、ぴょんと降り立ち。

 床に脱いでいたミュールを穿いて俺の傍にまで来ると、


「本気で街をひとつプレゼントしてくれるの? 陽色(ひいろ)


 リリスは俺の膝の上に座り、身体を預けてくる。

 やわらかな重みと、温かな肌の温もり。

 心地好さを感じながら、俺は返した。


「貴女のための街を造ろうと思っているんです。貴女が受け入れてくれるなら、貴女にその街の、守護女神になって貰いたいと思っています。嫌、ですか?」

「嫌じゃないわ。でも、唐突ね。事情がまだ呑み込めないわ。王宮に呼び出されたかと思ったら、帰って来るなり私を()んで、そんなこと言うんですもの。ね? ちゃんと説明してくれるんでしょう?」

「勿論ですよ」


 俺はリリスのお腹に手を当てるようにして抱き寄せながら、王宮での出来事を説明した。

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