第五話「あぁ、持ってるよ...」
「ピピピピッ...」
部屋中のどこにいても聞こえそうな位、大きいアラーム音。
俺はその音に気づき、目をぱっちりと開ける。
ああ、眩しいなぁ...
と、つい、口で言ってしまいそうなくらい、
眩しい光が俺の全身に当たっていた。
今日は金曜日。
今から学校へ行く支度を.....
何故か、津軽零奈が俺の部屋にいる。
うん、この状況はなんなんだ?
「おはよう、和司君!一緒に学校行こ!」
ああ、分からんなぁ...
「なぁ、何故お前がここにいるんだ?」
「えっ、何でって、和司君と一緒に学校行きたいから...」
「ちげぇよ!何で俺の部屋にいるんだよ!」
いかん、女の子に対して怒鳴り声を挙げてしまった。
「だ、だってぇ...一人が寂しいからぁ...」
泣きながら、理由を言ってくる。
「ああ、分かったから泣くな。怒鳴って悪かったよ。」
「じゃあ、学校に行こ?」
(立ち直り早いな!なんなのこの子。)
俺は支度を少し早めた。
しっかりと部屋の鍵を閉めて、零奈とエレベーターに乗った。
「っていうか、何故俺の部屋に入ってきたんだ?」
「ドアが開いてたから...」
ああ、そういえば昨日は確か寝落ちしてたわ。
チーンと、エレベーターの音が聞こえると、駐輪場の方へと向かった。
「あれ、お前はチャリ通(※)じゃないのか?」
「うん、歩きながら周りの景色を見渡すのは好きだからね。」
へぇ~と返事を返して、自転車を出して、零奈に合わせて、自転車を押していった。
「そういえば、お前って一人なの?」
「うん、何だか周りの雰囲気に馴染めなくてさ、だからこの学校に来たの。」
そういう会話をしている内に学校に着いた。
俺は、1年C組だ。
そして、零奈も同じC組だった。
「あれ?お前もこのクラスなの?」
「うん、そうだよ。」
教室に入り、席につく。
ああ、気持ちいいなぁ。
既に効いていたエアコンの風が俺の体を冷ます。
周りを見ると、既に何人かは来ていた。
何故か、全員女の子。
うん、またかぁ...
と、思い、椅子に腰掛けていると、このクラスの男子が入ってきた。
名前は東上雅人。
クラスではもう人気になっている人物だ。
彼の席は俺の真後ろ。
俺は六列中の三列目の上から二番目だ。
雅人も椅子に深く腰掛ける。
「なぁなぁ、新しいゲームの新作が出るって情報知ってるか?」
彼は急に俺に話しかけてきた。
クラスの有名人が俺に話しかけてくるとは。
「えっ、あぁ、知ってるよ。俺はその為に今、手伝いとかをしてお金を貯めてるんだ。」
少し何故か、自慢げに言ってしまった。
「あぁ、あのバイトみたいなやつか。俺は別にそういうのしなくてもいいからな。」
あっ、分かった。こいつ、お金持ちの息子か。
まぁ、結果は分かっているが、とりあえず聞いてみる。
「親が過保護か何か知らねぇけど、小遣いを大量にくれるんだよね。」
いつもアニメで起こっているパターンとは全然違うかった。
「明日発売だから、一緒に買いに行かねぇか?」
へぇ~。まさかこんなに俺に絡んでくるとは。
「あぁ、いいよ。何時集合だ?」
「そういうのは、またメールするよ。っていうか、スマホ持ってる?」
彼は何故か心配そうにこちらも見つめる。
「あぁ、持ってるよ...」
雅人の意外な行動に少し引いてしまった。
雅人とメアドを交換し、授業が始まる。
もちろん、先生の声を変更した状態で。
「キーンコーンカーン...」
チャイムが鳴る。
下校のチャイムだ。
俺は、零奈と一緒に帰り、自分の部屋に入る。
俺は、財布の中身を確認する。
この一週間で頑張って手伝いをしたため、13万8600円。
余裕で足りる。
俺は、わくわくしながらPCの方へと向き、FPSを始める。
そして、土曜日。
早朝の3時から雅人とゲームショップへ並び、じーっとする。
開店するのは朝の7時。
こうなると思い、フルに充電したスマホをバックから出し、ゲームを始めた。
彼も、同じくスマホでゲーム。
ずーっと集中してやっていると、気づけば6時50分。
やっと、ゲームが手に入る。
運が良く、前から5番目だ。
残りの10分はぼーっとするだけ。
「ゲームショップ開店でーす!」
店員が列に向かって、大声で開店を知らせる。
もちろん、全員ダッシュ。
何とか、ゲームを購入し、雅人と店を出た。
「じゃあ、今からすぐに家に帰って起動するわ。また向こうの世界で会えたらな。」
と言って、雅人は走って家に帰った。
「さて、俺も家に帰ってやるか。」
そう言って、俺は家に帰る。
どうも!作者のわくさんです!
ここまでこの作品をご覧下さり、ありがとうございます(__)
次回からは話のパートが別れ、2つのストーリーになります。もし良ければ、両方とも見ていただければ、幸いです。
また、次の話でお会いしましょう!