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戦国時代の考察

 戦国時代とは、大名同士が争い、下克上により高い地位へと上り詰める者も出る乱世であり、一般に、1467年の応仁の乱、又は、1493年明応の政変を始めとされる時代である。


 応仁の乱は守護大名が二分して戦った大戦である。

 守護職は大きな権力を手にする者と疲弊し弱体化する者に分かれ、守護代を抑えきれなくなり、取って代わられるものを出てくるようになる。

 これほど、守護大名の統制が取れないほど室町幕府の将軍の権威が弱まるに至ったのは、これ以前の1441年嘉吉の乱において、将軍・義教が赤松満祐に暗殺された背景がある。

 そして、明応の政変によって、将軍の擁立によって細川家が権力を握る事となる。

 故に、室町幕府の政治体制が動き始めた1441年も候補に入れておきたいところであるが、明応の政変以降も、室町幕府は存続し、細川家も家臣という立場を崩してはいない。後の三好政権になっても同じである。

 だが、1565年の永禄の変で足利義輝が暗殺され、1568年に足利義昭が織田信長によって擁立されるまで、征夷大将軍が空白となり、幕臣も各勢力に分かれて、幕府の機能自体が停止し、誰の目にも室町幕府の終焉が見える結果となった。

 だからこそ、1565年を戦国時代の始まりとすべきではなかろうか。


 理由はそれだけではない。戦国時代というからには、やはり合戦に注目したいものだ。

 この頃、世界的にみても大きく戦争の仕方というものが変わった時代である。

 技術革新により、鉄砲の出現がある。

 黒色火薬と丸い鉛弾を使った火縄銃の性能については、弓よりも射程と威力があり戦場を支配した。命中精度が低く、遠距離では役に立たなかったなど、様々な見解があるが、意見が分かれるのはもっともな話でどちらも正解なのである。

 黒色火薬は調合によって、爆発力にかなりのムラが出来るものであり、湿度などの気象条件ももちろん影響したであろう。それに、鉛の弾が問題である。柔らかく加工しやすい金属であるが、そのため保存方法や持ち運びによる傷などによって劣化する。また大量生産が始まると、消耗品の弾は粗悪な物も多く出回っていたであろう。

 銃の扱いに熟練した者が弾をやすりで調整しベストなコンディションで撃つ場合と、大量に生産された銃を並べて撃つ場合では、空気抵抗を受ける鉛の弾では随分と違った結果が生まれたのである。


 だが、銃の出現はそれほど戦場に大きな影響を与えたわけではない。


 古来の合戦とは、武士による戦いで権力者である武士と供回りが一戦闘単位と言ったところだ。

 しかし、支配者層の武士がそれほど大勢いる筈もなく、応仁の乱のように各地で戦いが始めれば兵が足りなくなり、太田道灌の足軽軍法に書かれているように足軽という兵種が出てくる事になった。

 合戦のたびに足軽を雇い、数を揃える事で有利に合戦が進められる数の戦いとなるわけだが、集めすぎても、合戦が終わると武装した足軽が野盗になったり、農作業に従事していても一揆の火種となったりするため、意外と面倒な存在だったのである。

 この様な兵を管理するためには、より少ない集団で管理せねばならず、守護、守護代、さらにその下が自分の兵を持つことになり、雑賀衆のような傭兵集団となって、合戦のたびに呼び集めて戦わせると言った方法になる。

 この場合、大元の指揮系統はあっても、自分の所属している集団が手柄を立てないと褒美がもらえないため、小集団が競って動くことになりプラスに働くこともあれば、不利と見るや勝手に戦場を離れたり、命令を無視して味方の村を襲い略奪を始めたりと、マイナスな作用もある。

 

 近くを攻め領地を周囲に広げていったいる間は、自分の領地さえ見ていればよかったが、守護職ではなく、幕臣として政権を動かす立場となれば話は別である。

 将軍を擁立し、京都から各地の大名を討伐するとなると、大集団での連携した作戦の必要性もあったが、それ以前に、自分の領地から出て相手の領地まで遠征しなければならないと言う事だ。行軍や戦闘に日にちがかかれば、それだけ食料が必要となる。各自持ち合わせた食料がバラバラで無くなれば撤退では、戦いにならないため、一括で管理せなばならない。これにより、兵糧を運ぶ部隊などの後方活動、合戦で手柄が立てられない部隊の必要性が出てきたのである。

 全体の中の役割の分担をさせるには、全体を一つの集団としなければならない。

 そのために常備軍の必要性が出てきたのである。

 支配者層の武士ではなく、特権階級である武士である。これが腐敗し社会悪の要因となるのだが……。

 常備軍は制度さえ出来てしまえば、いくらでも遠征する事が出来、一番弱い部分を全力で倒すことで、領主集団の戦力を頼みに戦っている相手には無類の強さを誇ったのである。ヨーロッパが簡単に帝国に攻め取られて行った理由でもある。

 1565年、永禄の変により、足利義輝が暗殺され、複数の将軍候補が現れた時、戦国大名たちの立場が変わったのだ。

 領地を守るだけの守護か、政権を手に入れ天下人となるか。

 天下を取るために軍隊の編成競争が始まった時代こそ、戦国時代ではなかろうか。




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