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5話 『今の魔法』

 メイと共に昔に存在したエルフ族を探しに小さな森へと俺たちは向かった。


 と言っても、今いる辺りから一時間程度で辿り着いてしまう。メイは夜には着くと言っていたが、どう考えてもそんなに遅くはならない。


「夜に着くとか言ったから遠いと思ったけど、結構近いんだな。まぁそれはそれで良いんだけどよ、でも夜じゃねえと光らないし、夜まで待たなきゃだろ?」


「あぅ……冷静に考えれば近かったや。ごめん。あ、あと、多分昼間でもほんとに居るなら居るとは思うんだけど……やっぱり、人に会いたくないなら夜の方がいいと思うよ!」


 メイの言う通りだな。夜になれば辺りは暗くなる。いくら森が光るといっても、やはり姿を隠すなら暗闇のが良いだろう。


 とすれば、今はまだ昼。夜まで待ってなきゃいけないだろう。

 と言っても、することはないし、聞きたいことは……あ、そういえば一つ聞いてないことがあったな。


「あ、そういえばさ、お前が戦闘の時に使ってた石? ってなんなんだ? 爆発してるように見えたけどよ」


 この世界に魔法があるのは分かるが、あの石の存在は謎だ。

 火があの石に入っていて衝撃で爆発でもするのだろうか。


「あー、これの事よね」


 そう言うと、メイはポケットからいくつかの石を取り出した。

 一つだけ赤く光っており、他の三つはただの石ころみたいだ。


「で、それはなんなんだ? 石、だよな?」


 メイの持っている石を手に取り、重さなどを確認するが、特にその辺の石ころと変わりない気がする。


「うーん。石といえば石なんだけど、特殊な石なんだよね。『魔石』って言ってさ、魔法を封じ込めて、詠唱一つで使えるってやつ。石の大きさによって閉じ込めれる魔法が決まってるんだけど、今じゃ石を使うのが多くなって、魔法を飛ばすということが今の人たちじゃ出来ないんだ。昔の人は石がないから魔法を飛ばしてたみたいなんだけどね」


 メイは石をコロコロと転がしながら俺へと説明した。

 メイの説明通りならば、今この世で魔法は相手へと飛ばすものではなく、その場で発動して石に封じるためにあるって感じらしい。


 俺の知っている漫画や小説だと魔法は飛ばしたりしているが、それは昔の時代のようだ。


「どう考えても魔法は飛ばした方が強いと思うけどなぁ……」


「いや、そうでもないと思う! 例えば、魔石を使えば牽制にもなるし、剣を振りながらでもサッと投げて使えたり出来るから。それに、魔法を飛ばすにはしっかり詠唱しないといけないらしいし!」


「ん? なんだ、お前は魔法を飛ばせるのか?」


「んーん。昔いたエルフの集落で村長のおじいちゃんが低位の魔法なら飛ばせてたけど、確かに威力は魔石よりも断然高いようだけど、魔石も魔石で使い方があるしさ、それに魔法を飛ばせなくても弓を使えば遠距離は補えるしね」


 それからもメイの話は続いた。

 どうやら、人間世界の魔法、いや、今のエルスたちもそうらしいが、魔石に魔法を封じる専門が居るらしい。


 それでも、正直なんで魔法が飛ばせないのかわからない。

 手に魔法が出せるのならばそれを飛ばすというのが出来ないものなのだろうか。


「ま、俺は魔法を使ったことないしな。考えても仕方ねえか」


「あ、それなら後で私の知ってる魔法を教えようか? って言っても、一つだけで低位炎魔法だけど。ほら、ゴブリンに投げた魔石あるでしょ? アレだよアレ」


 たかが一つの魔法でも教えてもらうべきだろうか。

 いや、そもそも俺という現代人に魔法が使えるのかも分からないし、一応教えてもらった方が良さそうだ。


 もし使えるのならなにかの役に立つかもしれないしな。


「あぁ、後で頼むよ。今はとにかくお腹が空いちまったわ」


「あ、分かる。わたしもお腹ペコペコで……」


 メイが自分のお腹を触ると同時に、メイのお腹から食べ物を求める音が聞こえ、メイは赤面した。


「あ、ちょ、へへへ。お、お腹空いたから、ちょっとそこの森行こっか!うん! 」


 恥ずかしいのか、目的地である小さな森の手前にある大きめの森へとメイは足を運んでいた。


「それもそうだな。この森を夕方には抜ければ大丈夫だろうし、入ってみるか!」


「そうだ!森にはモンスターが居るから気をつけてね! 今の私は使える魔石が一つと、小さな短剣しかないから。それに、守人は何も持ってないでしょ?」


「そうだな。武器がないから戦いようがねえしな。逃げる、というより出会わないように注意しねえと」


 「うむうむ。我らに勝ち目はない故な」


 「また口調が変だぞ?」


 やはりまだ慣れてないのか、それともたまたま出てしまったのか変な口調が出てきていた。


 「良いの! 早く行くよ! わたしの胃袋が待ってるから!!」


 「分かったから、一人で行くなって!」


 俺はメイの後を追い、広い森へと食料を求めて入っていった。


 果たしてこの森に食べれる物はあるのだろうか。

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