11話 『一時の日常』
今回は短いですー
レイナとメイの料理が完成し、次々と木の机に並べられていく。
メインは木の器に入っているシチュー。日本では嗅いだことのない匂いがする。
ただ、不味そうな匂いとかではなく、ついつい涎が垂れてしまいそうな匂いだ。
「さ、食べましょ!」
「守人! 早く座ってよ!」
「お、おう。すまん」
俺たちは席につき、食事を楽しむ。
食べているあいだは軽い雑談をしていた。
そんな中、俺はレイナに聞きたいことがあった。
「なぁ、レイナは魔法を飛ばせるよな? あれは精霊が後押ししてくれてる感じなのか?」
一通りシチューを食べたレイナは、口を拭いてから俺の質問に答えた。
「そうね。精霊と契約していれば魔法を飛ばすことが出来るわ。だから今の人達は魔法を石に込めているでしょ? 精霊がいないと魔法はその場から動けないのよ。ま、その代わり魔石と違って詠唱が必要だけどね」
レイナは立ち上がり自分の器を片付け始めた。
メイも食べ終わったようで片付け始めている。俺も残っていた料理を急いで食べ切り、少し遅れて片付けた。
「あっ、そうだ。レイナ、これを切ってくれねえか? デザートにいいんじゃねえか?」
レイナは驚いたように俺を見つめた。どうやらもう寝るつもりだったようだ。
「で、なにを切ってほしいわけ?」
少しだけ不機嫌になっているレイナに俺は持っていたリンゴンを取り出して渡した。
「うそっ……本物初めて見たわ……」
「マジ? 結構あったぞ?」
「うん!いっぱいあったよ!」
「そ、そうなのね。この森のことなら大体分かっていたけど、この実があるところなんてあったなんて……ま、まぁいいわ! デザートとして食べましょ!」
レイナは笑顔でリンゴンを切り、木の器へと盛り付けた。
そして、俺はレイナへとリンゴンがあった場所を大まかに教え、俺たちは眠りについた。
ただ、またもレイナがメイと俺が寝るのは危ないと言って、俺が一人部屋でメイとレイナが一緒に寝てくれたことにむしろ助かったのは内緒だ。
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次の日の朝、俺はメイに叩き起こされた。
どうやら朝から精霊の契約をするようだ。
「あなた、眠そうね。メイを見習って欲しいわ」
「いや、そう言われてもなぁ……まだ日の出だぞ?」
「わたしはいつもこの時間に起きてるよ?」
「わたしもこのくらいには起きるわね」
「朝強すぎだろ……」
「「なんか言った?」」
俺は欠伸をしながら少し背伸びをする。
朝早すぎたのが少し辛いが、太陽の光を朝から浴びるのは中々いいものだ。
「そろそろ行くわよ」
「うん!早く行こー!」
外に出た俺の前を歩き出した二人を見ながら少しだけ前の世界のことを思い出した。
今思えばこの世界も時間軸などが似ている気がする。
「神さまが配慮してくれたのかな?」
「守人ー!寝ぼけてないで早くしてよー!」
「分かったから毎回急かすなよ!」
とりあえず今は考えるのをやめ、メイの元へと急ぐことにした。




