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平民王子の覇道  作者: 宮本護風
第2章
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第15話 再会

翌日、ダリオはメガロシュへと向けて兵を率いて出発した。その日からレオポルドとエステバンは協力しながら、ゴリモティタ再建に向けて尽力した。ゴリモティタにおける品不足の解消、そして物価高騰を防ぐというメガロシュで行われている民衆のための政策を数多く打ち出した。ゴリモティタは、スコターディア帝国とアインフォーラ王国の境にあったため、農業で盛んでもあるし、交易でも栄えている。そこでレオポルドは商業状況改善に、メガロシュでのノウハウがあり、やりやすい農業状況改善はエステバンに任せた。

改革途中、レオポルドは難題にぶつかった。ゴリモティタは商業都市でもあるにもかかわらず、来る商人はとても少ない。数えられるほどだ。

「これは何故なのだろうか」

そう思ったレオポルドはゴリモティタのそれぞれの地区長を集めて、尋ねた。

「それは関所での通行料、そして、商売をするための営業税がいるからでしょう」

ゴリモティタがスコターディア帝国領だった頃は、領主が私服を肥やすために、様々な税金を課していたのだ。事実、レオポルドも偵察に来た際、営業税を取られていたが、レオポルドは偵察に夢中だったため、すっかり忘れていた。

「そうだったな、ならばそれらはすべて免除しよう」

「!?」

地区長たちはは目を丸くした。

「それは本当でございますか!?」

以前ではありえなかった、レオポルドの太っ腹な申し出に商人たちは耳を疑い、レオポルドに真偽を確かめた。

「ああ、今は収入などより、この地を栄えさせることが最優先だ。これからゴリモティタの通行は無料、路上であっても、自由に営業することを許そう。そうすれば、農民たちも商業活動ができるし、商人にとっても、自由に商業活動ができるし、好循環が生まれるだろう」

「ありがとうございます! レオポルドさま!」

地区長たちははこのことを早速領民に伝えに走った。しかし、そのうちの一人はレオポルドの顔をまじまじと見ている。

「俺の顔がどうかしたか?」

レオポルドが尋ねると、その地区長は恐れ多く質問をする。

「私の見間違えでなければ、なんですがあの時の商人さんですよね?」

レオポルドは彼の質問にふっと偵察の時のことを思い出した。リンダとアルを引き取った商人だったのだ。

「おお! あの時の! 久しいな!」

「まさかあの時の商人さんがこの国の新しい領主さんだなんて! いや、縁とは不思議なものですなぁ!」

二人は再会を喜ぶ。

「名前を申しておりませんでしたな、私はアルベルトと申します。でもどうして商人さんが領主様なんですか?」

アルベルトは一番根本的な質問をする。

「俺はアインフォーラ王国の第四王子なんだよ。メガロシュというところを治めている。あの時はスパイ活動中だったんだ。ゴリモティタ侵略を国から命じられていてな」

事情を聞いたアルベルトはすぐさまひざまづく。

「それは恐れ多い! あの時は事情を知らなかったとはいえ、数々の無礼、お許しください!」

「いいんだ、顔を上げてくれ」

レオポルドはアルベルトに優しく声をかける。

「私の家ではいつも夕食の時に、リンダとアルが言うんです。『レオポルドさん、何してるんだろう』って。今からでも、ぜひ会いに来ていただきたいです! ささ、どうぞ私のうちへお越しください!」

「そうだな。しばらく彼女たちにもあっていないし、お邪魔するとしようか」

レオポルドはアルベルトに連れられて、街へと出た。



アルベルトに連れられて、レオポルドは見覚えのある場所へとやってきた。

「はい、到着しましたよ」

「そういえばここだったな」

「懐かしいでしょうか? あれから結構経ちますからね。忘れていらっしゃるかと思っていましたよ」

アルベルトはレオポルドが忘れていてもいいように気をつかってくれいるのだろうか。

「ではおあがりください。おーい! リンダにアル! 懐かしいお客さんが来てるぞ! 玄関へ来なさい!」

家の奥の方から、たったったと音を立てて走ってくる男の子。アルだ。

「わっ! レオポルドさんだ! 会いたかったんだ!」

「アルか。元気そうでよかったよ。俺がいなくなってからもいい子にしてたか? アルベルトさんの言うことをちゃんと聞いているか?」

「うん! いい子にしてるよ! おじさんのお手伝いもしてるんだ!」

「それは感心だな」

レオポルドとアルが久方ぶりの再会に喜んで、会話が弾む。しかしリンダの姿が見えない。

「ところでアル、リンダ姉さんはどこだい? 姉さんが一番会いたがっていたのにな、お礼も言えてないって」

アルベルトがアルにリンダの行方を尋ねる。

「姉ちゃんなら水汲みに行ったよ! そろそろ帰ってくるんじゃないかな?」

アルがそう言った直後、後ろの扉から大きな声の挨拶が聞こえてきた。

「ただいま! 水汲んできたよ!」


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