恋愛被害
「「あーあ、彼女欲しいなー」」
冬服期間の汗が滴る。
もう、春の陽気などとほざくことはありませんね。
暑すぎです。日に灼けます。
そんな春の猛暑日に新入生のとある"男女"2人がすれ違いざまに偶然ハモった一言。
「純哉、次移動だぜー」
「えー、体育館だろ?蒸し暑いじゃねぇか」
「あ、あの…咲間さん、次移動…」
「んー?大丈夫!まだ八分あるし…おっ、あの子いいね」
私立等星高等学園、今年の新入生には色んな意味での問題児が入ってきたらしい。
そりゃ、あまり好ましくない服装の奴とか無駄にうるさい奴とかも居るが…
あの二人は別格だ。
「‼︎ユウちゃん‼︎」
「あっ、憐」
「何処に居たの探したよー‼︎」
此方を清楚に可愛らしく振り向く少女に鼻の下を伸ばして頭を撫でまくる。
髪が靡く度に香るこのシャンプーは最近ちょっと品質を変えた某社の某シャンプーか…?
「憐‼︎髪が崩れちゃうよ‼︎」
「わっ御免‼︎ユウちゃんが可愛すぎてつい‼︎」
「もう冗談はやめてー‼︎」
「ユウちゃんみたいな子がずっとそばに居てくれたらなー」
「憐‼︎」
女子らしいきゃっきゃうふふのようなやり取りだと思われるが片方はスラックスを履いて髪も短く加えて惚気顔が酷い。
「お前から移動誘ったのにスマホばっか見やがって」
「彼女からだから許せ」
「‼︎⁉︎」
「許せ」
そして冒頭のような事になる。